表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/16

10 進化

後書きに設定を少し書いてます。

10 進化




あの強行偵察で終わるとは思えず、国としても準備を急ぐ事になったらしい。

そしていよいよ戦時特例税になったのだが、尖兵の撃退の功績を鑑み、うちは免除になった。

さすがにあれで当たり前に取ったりしたら、もう2度と助けに行かないからな。

そういう話し合いもあったのだろうが、本戦になったらまた応援に行くようにとのお達しだ。


今回の事は恐らく、代替わりのごたごたと、飛竜部隊編成前のこの時期を狙ったものなのだろう。

だから乗り切れば恐らく、当分は問題あるまい。


でもうっとうしいから、とっととこっそり片付ける事にした。

深夜に闇化して空を飛べば、誰にも見咎められない存在となる。

まさに闇夜のカラスだ。

赤点の集合している場所を探れば、果たしてありました。

単に殺すのはもったいないので、ここは全員老人になってもらおうか。


僅か残しのライフドレイン。

朝まで掛かってようやく半分。

それでこんな感じ。


99999/99999


満杯だな。

なら後は経験吸収といきますか。

まあ、素人クラスに落とすだけだから、死ぬ事は無いから心配するな。

全員、レベル1になってもらうだけだ。


それから夜ごとに経験値泥棒が出没し、全員は戦うどころの話じゃない。

訓練をしてもよろよろと動く奴や、熟練のはずが素人のような練習風景。

とてもこれから戦争しようという風景ではなく、異変として本国に送られる。

本国でもそんな事では勝てるものも勝てないとして、兵士の交換になるらしい。


そうか、またくれるのか、悪いな。


結局、南の国の兵士は全員が新兵のようになり、訓練のやり直しになったらしい。

ご苦労様な話である。そしてレベル分にして、449もありがとう。

推定10万の兵の経験は、とってもありがたかったよ。


本当にとんでもなくレベルが上がりました。

しかし、そうなるとパワーバランスが崩れる訳で、片手落ちにしない為には・・

王都に終結しつつあった兵達の熟練度が何故か下がり、混乱のうちに戦争反対派が勢力を強める。

兵達の体たらくを槍玉に挙げ、向こうも手間取っているようだし、ここは様子を見るべきと・・

そんな冷戦のような状態にまで戻り、数年の猶予が出来たようだった。

追加で150ほどありがとう。少なめにしたからそれで良いよね。


ああそうなると西の国も遠征しないと・・ああ、北の国も遠征しないと・・

結局、大陸中の勢力の経験を満遍なく抜く事になり、戦いは回避されたかに見えた。

だが、どのみち戦争にはなるだろう。

数年の猶予が出来ただけでも今回の遠征の意味はある・・なんて、単に経験値泥棒が暴れただけだな。


西で263、北で257・・本国の150と合わせて、相当なレベルになっちゃいました。

魔導体のスペックはとんでもないようで、ますます表に出す訳にはいかない技術となったようだ。


     ☆


「魔法炊飯器のぅ」

「小型も作ってみたけど、いくらで売れるかな」

「時代を先取りじゃな」

「じゃあしまっとこ」

「厨房に置いてあるのはそのままで良いのじゃ」

「はいはい、取りませんよ」

「うむうむ」


まあ取らないよな。

日々おにぎり作ってるんだし。

今、厨房には5つ置いて、使用人達にひたすら炊かせている。

炊けたらおにぎりである。


米の袋は60キロ、6キロ炊きだから10回分。

数十年の成果は物凄い量で、少々使ったぐらいじゃ無くならない。

浅い底の箱を大量発注してあり、それに5×20個で日々たくさん作られている。

具材に困ったが、魚の干物を大量に作り、作った醤油で味付けして具材にした。

他にも蒲焼風の具材・・シーサーペントウルフの肉ってまるでうなぎの如しなんだよな。

記憶のままに蒲焼のタレも何とか拵えてみたし。

カルロ解体のその肉・・ありがとうな、カルロ・・かつての旦那様。

スキル間に合わなくてごめんな・・


     ☆


いつの間にかきな臭さは収まり、数年の余裕が出来たようだった。

そんなある日の事、使用人の中でも一番の年寄りさんが危なくなる。

彼は屋敷を掌握している執事長なので、居なくなると困るわけで・・

こっそりと施術して因果を含ませようと思ったのだ。


「いいね、他言無用で孫って事で」

「そのような事が可能とは・・」

「旦那には既に、だからさ」

「畏まり申した」


【バック】


あれ、マナまだあるのかよ。


《情報が追加されました》


また来やがったよ。


『生命系はMP10万消費・不足はMP0まで』


こんなのが足された。

やれやれ、MP10万未満では表示されないってか。

でも良かった。今相当多いのに、0にされたら1週間は何もやれないとこだった。

乗り物でも作ってみようかと、ひとまずは馬車の改造をやってみる。

馬車の本体とシャーシを分解し、シャーシの四隅に鉄から板バネを練成して取り付ける。

そして板バネの先にこれまたコイルを練成して取り付ける。

本体の四隅に柱を取り付けて、コイルに通す。

これで大きな揺れと小さな揺れを軽減するはずだけど・・


「実に乗り心地が良かったぞぃ」

「大量生産やれそう?」

「板バネとコイルがあればの」

「ん、作るよ」


大量の鉄鉱石が運ばれてきて、それがいきなりコイルと板バネに練成される訳で・・

その日のうちにサスとショック一体式の製品を全て練成し、コーツに渡しておく。

どうやら領地の特産になりそうだと。

確かにそれから注文が相次ぎ、領地の馬車は全てサスとショックの付いた馬車となる。

安楽馬車の名で国内の商会が欲しがり、大金で売れていく事になり、領地経営は楽になる。


「もう税金を止めても良いぐらいだぞ」

「止めて始めたら文句出るし」

「まあそうだな」

「さて、この状態でしがみつく」

「む・・どうする気だ」

「さあ、このまま散歩しよう」

「ふふふ」

「外に行きたい」

「このままでか」

「そうそう」

「ちょっときつくないか」

「そうでもないかも」

「オレのほうがきついな」


「じゃあ抱っこ」

「ふむ、おんぶはもう良いんだな」

「うん」


     ☆


あれからもう2年か・・そろそろまたきな臭くなりそうなんだけどな。

稲作も順調だし、おかまの製造もやれてるし、馬車の売れ行きも良い。

土手の強化もやったし、灌漑も終わったし、橋も架けたし。

街道の整備もやったし、魔物の駆逐もやったし、領内危険地区も見回って直したし。

『更地』スキル開放で家の建て替えが楽になったし。


もうね、【更地】⇒【家屋】⇒【建築】・・これで家作れるんだよ。


後は内装をやれば良いだけなので、領内の家屋は殆ど新築になった。

1年間に限り、無料でやるって言ったら、物凄い申し込みが来たんだ。

いい修行になったけどね。

【99】になっても終わりじゃなくて、それからは熟練度の問題になるっぽい。

より早く滑らかな発動は、やればやるだけみたいだし。


それももう終わりか・・次はどんなイベントで人を呼ぶか。

ここ数年で領民の人口はかなり増えたんだ。

無料建て替えに新築に、今がチャンスと宣伝しまくった恩恵は凄かった。

もう移民ラッシュみたいになって、あちこちの領主はさぞかし・・

特に人口が減っていた村々を中心にやったから、また人が戻って良かったな。

人が増えたら稲作を薦めている。

連作障害の無い穀物だと宣伝し、これなら毎年の税金に困らないと、小さな村の小さな農地ではこのほうが良かったぐらいだ。

なので今では小麦よりも稲作が盛んになっていて、ようやくパン食から米食へと変わってきた。

毎朝のパンを焼くよりも、ご飯を炊いたほうが楽なのだ。


確かに日持ちは悪いけど、パンと違って粒をそのまま炊いて食えるという利点がある。

粒の状態なら長持ちするし、炊き方もコツを覚えたらそう難しくない。

しかもしかも、混ぜご飯文化も広めているから、山菜や塩漬け肉や魚でもやれているぐらいだ。

後はおにぎりだな。大量に作ったおにぎりを、領内で試食に回したのだ。

あれで飯屋でご飯を出す店も増えてきて、今では大抵の店でご飯が食べられる。


何と言ってもドンブリ文化の伝授かな。あれで爆発的に売れ行きが上がった店もあったとか。

特に寒い日は冷たいパンより温かいご飯。それに載せれば冷たいおかずも暖かく食えると。

まあ、色々やったのは確かだな。醤油の蔵もいくつも建てたし、もちろん味噌蔵もある。

爺さんは喜んでいるけど、本当に良かったのかねぇ、こんなに文化ハザードやっちまって。

すっかりこの辺りは日本食のメッカみたいになってるし。


「ちょっといいですかー」

「はい、何かな」

「ここでご飯が食べられると聞いたんですけど」

「ああ、そこらの飯屋ならどこでも」

「一体どうやって。そもそも米なんて何処にもなくて」

「ああ、ある所で偶然見つけてね」

「野生種?だけどあれは」

「なんかさ、陸稲が湿地帯に落ちたっぽい。だから自然進化だと思う」

「ううう、そんな事になってたとは」

「南の国の外れの湖の畔で見つけたのよ」

「天然の野生種の水稲があったなんて、探しても見つからなくてもう諦めてて」

「あ、あそこの店、ドンブリ物始めたって」

「なんと・・てかさ、アンタ日本人だよね」

「それが?」

「うわー、当たり前に返す人、始めて見た」


     ☆


「申し遅れました。自分はメロードから噂を聞いて来たっす」

「そりゃまた遠いところからご苦労さん」

「それでですね、少し種もみを分けてもらえないかと思いましてね」

「いいですよ」

「本当ですか、ありがたいっす」

「何ならうちの特産の醤油と味噌も買って帰る?」

「わお、感激ですぅ」

「それでね、水稲の田植え経験とか持ってるの?」

「いやぁ、うちは都会だったっすから、そういうのは全然」

「こっちは農家の出なのよ」

「わお、ならいきなり」

「もちろん、最初に苗床から作ったよ。そして田植えもしたし」

「プロなんすね」

「もう3年目になるのかな、ようやく領民にも広がって」

「いいとこっすね、ここ」

「そうですか」

「はい」


どうやら北の国に日本人がたくさん居るようで、その需要も大きいらしい。

なので種もみとは別に白米も売り込んでおいた。

精米の魔導具を供給してからと言うもの、米屋で精米して売られているし。

ぬか漬けも教えておいたから、廃品利用みたいに始めて意外に旨いと好評だし。

だから米屋の漬物が副業みたいになっている。


(うわ、マジこれ。懐かしー、漬物とか何年振りよ。白米もあるし、ここいいな。あっちは同士が多いけど、食べ物は断然こっちね。引っ越そうかしら・・うわこれ、精米の魔導具?凄い、こんなのまで・・これは決まりね。みんなに教えて引越しよ。北の国は冬がきついし、ここならまだ・・)


それからしばらくして日本人の団体客が訪れて、領都を観光しながらあれやこれやと買い物ををしていた。その中にたまたま以前来た客が・・


「やあ、また来たんだね」

「あ、どうも、先日は」

「ねぇねぇ、この人?農家の人って」

「そうそう、だからさ、最初からやれたんですって」

「じゃあここ全部アンタが?」

「まあそうなるね」

「どうしてそんなにやれるのよ。アンタまだ若いでしょ」

「旦那が次期当主なんでね」

「うわ、もう結婚してるんだ。しかも次期領主の奥さんとか、成功者なのね」


やれやれ、人間は煩いな。

しかも、その嫉妬に煌く瞳をどうにかしろ。

思わずその寿命、削りたくなる。


うっ・・揺れない心を揺らすとは、こいつ恐るべし。

てか、揺れたらオレ、危ない人になるんだな。

我ながらちょっとあれはさすがに・・


     ☆


放送局みたいなのは適当に流し、観光客にお勧めの案内をしておく。

もちろん、渾身の作のお勧めも忘れない。


実は錬金術が遂にカンストし、新たなステージへと進んだのだ。

イメージのままに何でも作れるってヘルプにあったので、調子に乗って畳を構築したら作れちゃったと。

わら束の山から畳が10枚出来て、わら束集めて200枚ぐらい獲得。

『家屋』で基礎をやった後、トレント材を転がして『建築』をしたら、木造家屋が作れたんだ。

そんで、中もフローリングにしたり畳もどきを敷いたり、掘りごたつも構築してみたり。

だから渾身の作なのだ。

なんせ魔物素材での木造家屋なので、実に魔導具との相性が良い。

それに融和で色々な対策をしている。

虫避け窓とか雨漏り対策とか、冷えない床に涼しい床。

そういう細々とした工夫も凝らした逸品って自信あるし。


もちろん、屋敷の離れにもミニクラスのを作ってあり、爺さん愛用になっているのは言うまでもない。

現在5~10人用の家屋が3軒作ってある。

家賃はあんまり安くはないけど、日本人ならきっと・・物言わぬ勧誘ってやつね。


「え、この家って」

「日本家屋風の住宅ですね。中にはあたかも畳のようなものを敷いてますし」

「うわ、ちょっとマジ」

「掘りごたつにも挑戦してみました」

「住みたーい」

「団体用の賃貸になりますけど」

「住む、住む」

「良いわね、住みたいわ」


てな訳で、観光客を展示場に案内し、掘りごたつの中の温熱魔導具のスイッチを入れておく。

水道もどきの魔導具に、風呂も魔導具で沸かせるようになっているし、コンロの魔導具もあるし。

後は、テレビもどきの置物も洒落で作ってある。

もちろん、写ったりはしないけどさ・・後は好きに見学すればいいさ。


(こっち来て、凄い凄い・・いや、みんな凄いから・・テレビあるよ・・ちょ、嘘でしょ・・これ、置物みたいよ・・びっくりしたわ・・けど、こういうのも気分が出るわね・・ねぇ、マジで引っ越す?・・うん、確定よ・・でもさ、ケモシティも捨てがたいのよね・・まあね。でも、あっちが癒しならこっちは食い気よ・・確かにね・・ねぇ、お昼、うな丼にしない?・・嘘、そんなものまであんの?・・とにかく、ここは凄いって・・決まりね)


     ☆


観光客は満足して帰り、本格的な引越しを視野に入れた相談会みたいなのを開くらしい。

来るにしろ来ないにしろ、こういうモノ作りは楽しくていい。次は何を作ろうかねぇ・・

ああ、うな丼もどきの食材を卸さないと。あれ、実は、シーサーペントウルフ丼なのよね。

でもそんな事を言ったら誰も食わないし・・どうせそっくりの味だから誤魔化しているだけだ。

かれこれ卸したけど、まだ1匹分も卸せてない。

そう考えると、カルロって凄腕で・・もうあんな人は・・はふうっ・・


そういや、浮き袋があったんだった。

シーサーペントウルフの浮き袋。

あれって丈夫で薄くて・・アレに使えたりしないかな。

思い付いたら早速・・1匹の浮き袋から大量に作れました。

確かあれ、海草のぬるぬる使ってるとか聞いた事があり、入手して作りました。

誰に使うのかって?もちろん、旦那です。


今、統治が充実しているからって、外に出すんです。

そりゃ子供も欲しいが、今はまだって・・

確かに自分も同じなので、今はパスして今度産むと・・


今夜から早速、使わせないと・・


     ☆


日本人がたくさん移住してきた。

その中で話を聞いたんだけど、どうやら北の国にも日本人の街があるらしい。

ケモシティって名前の獣人のやたら多い街らしいけど、それってケモミミの街だよな。

どんなおたくが作った街か興味があったので行ってみた。


やれやれ、やはり彼か・・こんな所で何やってんの。

てか、あっちも何か特殊な手法を持ってんだな。

あれからもう・・なんだし。

何も無かったらとっくに死んでるはずだしな。


まあ、特に用事も無かったが、貢物でもと思って夜の小道具を届けておいた。

だって獣人が妊娠しまくったら可哀想だしな。

こんな街を作るぐらいだから、余程、あっちが好きなんだろうし。

こっそり獣人達のガードです。


特別に1000枚進呈するから、ちゃんと使ってやるんだぞ。

密閉出来るでっかい瓶に海草ジェルを入れて、その中に漬け込んである品。

徳用サイズの瓶だけど、密閉出来るからかなり長持ちするはずだから・・

ちょっと洒落で原材料名書いて入れておいたけどな。


原材料名

・シーサーペントウルフの浮き袋

・海草


天然素材使用の肌にも優しい商品です。

海草ジェルが優しく導きます。


     ☆


確かに日本食もあったけど、うちの領のほうが勝ってるな。

米も無いようだし、それがネックなんだろう。

輸出しても良いけど、あんまりやると特色が無くなるからな。

それに、今は良いけどまた戦争になるのだとしたら、穀物は戦略物資になっちまう。

そんなのうっかり輸出なんかしてたら、それこそ利敵行為だと言われちまう。


だからやるならこっそりだけど、あいつに何かしてやる義理は無い。

それどころか、アンタの手に殺されかけたんだ。

だからあれは、女性の身を守る為の、オレからの意趣返しだ。


それにしても、とんでもない都市だよな。

見てくれは良いが、地下に地獄が広がってるじゃねぇかよ。

闇化で潜り込んで色々調べて見たけど、中々にディープな世界になってんな。


確かにスライムに廃棄物を食わせるってアイディアはいい。

だけど、まさか魔物の養殖とはな。

そりゃ永世中立でもやるんなら必要だろうけど・・その気か。

うちはそんな訳にはいかん。

あくまでも国の中の領だから。

交易が止まったら相当に困窮するだろうが、その為の準備はありはする。


ただな、武装が無いんだよな。

だからそんな事になっちまったら、諦めて流れるよ。

オレはそんなに抗ってまであの領地に拘りがある訳じゃねぇし。

それにしても、その砦は何のつもりだよ。

この世界にそんな光学兵器とか、導入してんじゃねぇよ。

これはヤバいな、こんなのとやり合って勝てる訳が無いだろ。

あの国がどういうつもりかは知らんが、将来的にそうなるならとっとと移住したほうがましだ。


こんな山椒みたいな領が国になっちまったら、さぞかし旨そうに見えるだろうが、それは罠だ。

うっかり口に入れようとしたら、ピリリと刺激を食らっちまう。

それでもやるんだろうな、滅亡するまで。

それが封建社会のメンツでありプライドなんだろうし。

そうだな、そんな事なるぐらいなら、竜の谷でのんびり暮らすってもの良いな。


全面戦争とか、参加してどうなるってんだ。

ぼんやりと外から眺めるぐらいがちょうど良い。

そうだな、そんな事になるようなら、あの地下に隠れ住むか。

色々とヤバい奴らが揃ってるが、少なくとも放送局みたいなのは居ない。

あんなの神経に刺激が来るだけで良い事はひとつも無いからな。


それにしても砦ね・・さて、どれぐらいの攻撃で壊せるかねぇ。

まあしないけど、やるとしたら紅竜キラーのあれでいけるぐらいか。

今なら連続で、ここの全ての砦は壊せるな。

まだ増えるかも知れんが、まあそんな事はどうでもいい。

肝心なのはこの魔法だ。


気象魔法と言うのかよ、またとんでもねぇもんを作ったな。

研鑽負けてんな・・まあ、別にどうでも良いけどよ。

オレのは別に気象じゃねぇし。大地の活性化なんだしよ。


活性化?そうか、そうすれば良いのか・・目処が付いたぞ。


     ☆


大地に魔法を融和させる。

その為の超広域回復魔法。

空中で領に向けて・・くっ、これは・・足りない?マジかよ・・


はぁはぁはぁ・・


領全ては無理か。

なら、町村で個別にやっていくしかないか。


あちこちの町村を上空から活性化させていく。

活性化という手法を思い付いてから、調子良くやれている。

ただ、この身体が邪魔と言うか・・

だから昼間にはやれないスキルになっている。

闇に紛れて闇化でこっそりだ。

てかさ、闇の状態って身体が無い状態っぽいだよな。

あん時、身体はどうなってんだろう。

普通に考えたら小さな隙間とか、入れる訳が無いよな。


『情報公開が成されました』


やれやれ、今の疑問に対する答えなのかよ。

そりゃまた随分と用意の良い事で・・

どうやら身体は自動的にボックスに収まってるっぽい。

つまりあの状態は身体の無い状態なんだそうだ。

となれば、意図的に抜ける事も可能って事だよな。


まるでどっかで見た陰陽の技のようだぜ。

あんな事がまさか、実際にやれるとは思わなかったけどよ、やれそうな感じだぜ。

ベッドに横になって意識を浮かす・・ちょうど頭の映像の中に潜り込む感覚か。

空中の仮想映像みたいなのに潜り込む・・潜り込む・・


何度かやっていると、ふわりと浮く感覚。

慌てて振り返ると自分の身体が寝ている訳で。

うおおお、抜けちまったぞ、マジかよ。


はぁぁ、しっかり軽いなこりゃ。

身体が無いってのはこんなに軽いのかよ。

おっと、なんか抜けているような・・

ええと、アレのように、循環させて・・

思う通りに動くようで、離散しないように膜のように包む感覚で・・

これは疲れるな・・また今度にしよう。


『ハイクラススキル・精神体保持取得』


おいおい、ハイクラスって何だ?

そんなのがあるんだな。

なら、辛くてもやってみるか。


     ☆


慣れると移動がとっても楽になり、昼間の活性化も容易になる。

膜でも物理的に物を持とうとする事は可能っぽいが、下手すると破れちまう。

ただ、破れてもまた作ればいいだけなんだけどな。

そして知らない間に情報が増えていた。

あん時に情報の制限が撤廃されたのかも知れない。


LPライフポイント吸収 魂の吸収 単位は個』

『LP=MP1万相当・未満切捨て』


狼さんはオレに何をさせたいんだよ。

そんなソウルイーターみたいな事させんなよ。

てか、LP1ポイントがMP1万ってよ。

つまりこいつを使えば、あの足りなかった魔法もやれるって事か・・

いかんいかん、誘惑が・・これは罠だ、罠に決まってる。

てかさ、こんな事やったらライフワーク的ゲームはどうなるんだ。

絶対に殺し表記が付くに決まってるだろ。


いかん、興味が抑えられそうにない。

ううう、せめて悪人ならまだ・・

盗賊ならまだ・・


     ☆


やって来ました盗賊のアジト。

今日は彼らの魂を戴くのです。

ちゃんと抜けていますから、見られる事はありません。

身体ですか?ちゃんとボックスに仕舞っています。

ああ、いい感じですね。

これを抜いて・・抜いて・・抜いて・・抜いて・・


マッドさん(仮名)・・妙に楽しそうなその雰囲気は何だぁぁ・・


いい感じですね。

28個も取れました。

ではこの死体は仕舞っておきましょう。

今度は懸賞金をもらい忘れないようにしなくては。

さあ、次の盗賊は何処にいるのかな、くすくす・・


怖ぇぇよ、すっかりソウルイーターになってるじゃねぇかよ、この野郎。


おや、ボクがどうかしたかい?


マジかよ・・返事しやがったよ。


ふむ、どうやら完全に分かたれたみたいだね。


分裂・・精神病?・・嫌だぁぁ・・


落ちつこうよ、あるじ・・


あるじ?オレがか。


そうさ、ボクはあるじの心から生まれた欠片なんだから。


そんな事があるのかよ・・


あるさ、だからボクがここに居る。


『ハイクラススキル・精神体変則取得・常態確認・常態=心の中の上澄みの思考が人格を得たもの』


うお、何か来た。


くすくす、自己紹介の前に説明が来ちゃったね。でも、合ってるよ。


そう・・なのか。


辛いなら寝てて良いからさ。後はボクがやっとくから。


いや、辛いとかじゃなくてだな。


いいから、いいから。


あ、ああ、なら、頼むよ。


くすくす、ボクにお任せ。


     ☆


何か変な事になっちまった。

オレは今、心の底?・・何かそんな所からぼんやりと、あいつがやっているのを見ている感じだ。

楽しそうとは言ったけど、どうしてそんなに楽しそうに殺せるんだ。

あいつ、殺しが好きなのか?

だからあんなに・・待てよ、オレの賞罰・・はぁぁ、終わりか、ならいいや。

最近、色々精神疲れたから、だからまた出て来たんだな。

オレが疲れたら出るのだとしたら、もうしばらく寝ていても良いかな。

色々あってずっと動いて・・少し疲れたんだ。

頼むよ、マッドさん、後は・・


     ☆


困りましたね。私の名前がマッドになりそうです。

折角ですからもっと、お洒落な名前が良いのですが・・

仕方がありません、それがあるじの命なれば・・


さあ、もっと狩りますよ。

あるじの為に、あるじの為に・・


     ☆


(拙いのぅ、あやつの心に刺激になってしもうたかのぅ・・自然発生なれば良いが、人為的と言われると困るのぅ・・確かに面白い人間なればこそ友になりはしたが、ワシのスキルの写しを持って行きおったからもしやと思うておったのだが・・致し方あるまい。その時は正直に告白しようぞ)


(キツネには悪いが、オレも見ているだけではつまらんのでな・・変則か、干渉があったにしても、優秀な事だ、ふふふっ)


     ☆


さて、世界を巡ってかなり集まりました。

ですが少し疲れましたね。

あるじは・・熟睡ですか・・弱りましたね。


ねぇ、あるじ、起きてよ、ねぇ・・あるじぃ・・


     ☆


うっ、あれ、オレ、何時から寝てた?

マッドさんの意識が・・ああ、奥底に何かあるのが分かる。

丸くなって寝ているイメージが・・

疲れたのか、そうなんだな。

うおおお、やり過ぎだろ、こんなにも。

てか、色々増えてるじゃねぇか。


『LP吸収    62148/99999』


万単位って・・酷ぇ事になってんな。

称号もヤバいって・・


『生を啜りし者・命を啜りし者』


ソウルイーターキターー・・


はぁぁ、まあなぁ、人外のつもりでいたけど、色々甘かったって事か。

そうだよな、オレは人外だって散々思ってたんだし、だからあいつもその気になって・・

あるじとか言ってたし、だからそのつもりで動いたんだろう。

けどな、疲れて眠るまでとか無理すんじゃねぇよ。

折角、生まれたんなら大事にしてやりてぇじゃねぇか。

良いな、もう無理すんなよな・・えっと、マッドってのはさすがに拙いな。


よし、お前はこれをやろう。

お前の名前は《イツキ》だ。

オレはもうサツキで良いからよ、お前はこれからイツキとして・・

おうっ、何か心が暖かくなったぞ。

くくく、寝ていても感じているのか?

そうか、なら良いんだ・・そうか、そうか・・


(設定)

常態・形骸・本質のうちの常態の登場です。これはメインストーリーからの設定になってまして、常態=建前、形骸=本音、本質=真の姿なんて感じになってます。サツキは常態にイツキという名を渡しました。つまり既に女である事を自覚し、あの名前は建前として認識した訳ですね。そして揺れない心の奥底には、サツキの本質が隠れています。さて、サツキの真の姿はどのような姿なのでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ