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16 界滅

16 界滅




統一国家となり、世界は平和になったように見えている。


かつての東の国のあの領地も、一時は領空侵犯を撃墜とかしてみたけど、キリが無いから止めちまった。

変な粉とか撒かれて除去する前に、バカが引火させた事件の傷跡も、何とか活性化させてはみたものの、どのみちもう縁もゆかりも無い場所と化していたし、それもシナリオかと思うと守る気にもなれず。

薄い魂の持ち主は、短い人生を繰り返し、そのうち世界と運命を共にするのだなぁと、ぼんやりと考えていた。

あれからカルロらしき波は感じられず、ますますボックスの中の孫の子に導かれていそうな気もしたが、こんな世界で生きても仕方が無いだろうと、そのまま入れたままだ。


確かに世界を出れば超越者になっちまうが、子供を育てるぐらいは構わないだろう。

それとも不味いのか?

いや、さすがにそれぐらいは・・まあ、嫌だと言うなら管理と戦うしかあるまいな。

違反と言うなら抗ってやろう。

ダメなら消えるだけの事だしな。

なんて思うのは反逆になるのかどうかは知らんが、淡い記憶の欠片はそう示している。

抑え込まれるのが嫌なら抗えと・・もっとも、それを可能とするだけの実力を身に付けての話だろうから、孫の子の育成はもっともっと先に話になりそうだよ。

ジュニア・・きっとまた会おうな、クククッ・・


そうそう、そう言えば最後のスキルが開放されたんだっけ・・もうどうでも良いけどさ。

あんなに欲しかったあのスキルが、やっと開放されたと言うのにさ。


【ボディチェンジ】


これって結局、身体再構築な訳よ。

だからさ、もう自前でやれるから意味が無いスキルなのさ。

つまり、オレが研鑽しなくてもそのうち覚えるスキルだった訳なんだよね。

それって心配性かなと思うぐらい、サービスの良い事で・・

たださ、オレのオリジナルの身体はボックスに入り、別の身体での再構築になってんだ。

何でかなと思ったら、元に戻れば18才の身体という、あの制約が元になっていた。

あれって単に、オリジナルの身体を時の止まったボックスに入れているから、元の身体に戻ればそうなるだけなのよ。


つまり、何が言いたいかと言うと、その原本に手を加えれば、10才にだってなれるって事。

試しにさ、作ってみたんだよ。懐かしい身体をさ。そうしたらさ、ハモンに盗られちまってさ。

そんなに過敏にならなくても、相良に見せる訳が無いだろうに・・


まあそんなこんな、楽しくも面白く、また研鑽を楽しんでいたんだ。

そうしたら遂に来ちまったんだ、あちらの世界の危機が。

何とか誤魔化してはいたんだけど、もうどうしようもなくなって、世界を諦めるしかないんだとさ。

そうなればもう、全ての魂を移住させるしか道は無い訳で・・


《ハモン、耐えててくれ、力は送るから・・構うな、転送に意識を、うぐっ・・ハモン・・構うなと言っている・・ああ、悪い》


くそう、末期の世界か・・ひとつでも多くの命を向こうの世界に転送して・・転送、転送、転送・・くそ、食うぞ、悪いな・・転送、転送・・


     ☆


《ハモン、撤退する・・ああ、こっちも、そろそろ・・》

残りの魂は殆どないが、そいつはオレの燃料にもらうぞ。

ハモンを包んで魂を食らい、あっちの世界に転移・・


その瞬間、世界がブレる・・ふうっ、ギリギリかよ。


《存在しているか・・ふう、ヤバかったぜ・・あれが界滅現象か・・ああ、あれに巻き込まれたらタダでは済まん・・役得とは言え、かなり食っちまったな・・気にするな。消滅したら何にもならねぇ・・これでいよいよ終わりか・・そうなるな。まあ、後はなるようにしならんが、それでも世界の結末を見るのも経験さ・・そうか、この世界は貰い受けた事になるのか・・真実は分からんが、結果的にそうなっているな・・防げる手も本当はあるんだろうな・・それは分からん。あるかも知れんし無いかも知れん・・まあ良いさ、あると思って修練すれば、そのうちはっきりするだろ・・そう言う事だ》


ハモンもかなりギリギリだったようで、共にリフレッシュが終わったのは数ヵ月後の事だった。

以前にもやった獣人姿でのリフレッシュだったが、ハモンはその途中で時々相良に呼ばれていたのが災難で・・


《休暇中にごくろうだな・・全くだ。かと言って言えんしな・・あっちもダメージか・・空回りに近いがな・・そりゃ地域調整も歪修復も無しでの上っ面修正で、何とかなると思ってやってたんだろうし・・それがシナリオって事だ・・で、相良の尻拭いをするってオレのシナリオはどうだった?・・お前のはもう破綻しているぞ・・あれっ・・今更だから言うが、お前はあっちの世界で世界を裏から支配してな・・ちょっと待て、そんなの興味無いぞ・・だから破綻したんだろうが・・じゃあ世界を裏から支配して、界滅しないようにするのが本来の道筋なのか・・いや、相良と争う感じになるのかな。それが原因で世界が終わると、そんな感じだと聞いた・・オレのシナリオもう無いのかよ・・本来は向こうもそれで終わる予定だったが、もう少し続く事になったって感じだ・・結果オーライか、この世界にとっては・・まあそうなるだろうな・・それでもあと少しか・・ああ、ひとまず終わりって事で良いからな、後は完全に終わるまでのんびりで良いさ・・よし、修練しながらのんびり待つさ・・ふふふ、お前らしいな》


     ☆


大陸統一の後は平穏と思わせつつも衰退を感じさせる世界となり、それはそのまま移行した。

相良は色々とやっていたようだったけど、終わりの見えた世界をどうする気力も沸かず、ただ世界が終わる日が来るのを待つ日々となっていた。


確かに向こうで何かしようという思いはあったさ、だけどな、イツキが生まれてそんな気持ちは霧散しちまったんだ。

だからそれがシナリオへの介入だと言うのなら、スキルコピーの原本に対してのちょっかいがあるかも知れない。

だけどな、そんなのただの結果論に過ぎない。


普通は並列思考ってスキルから変則など生まれはしないし、生まれるならもっとみんなが欲しがるはずだろう。

それこそ猫も杓子もそれを欲しがって、あいつはこんな世界でのんびりしている暇など無いはずだ。

あちこちの世界の存在が、スキルを欲しがっているはずなんだけど、そんな事も無く職務に従事していると。

だからそんなのただの言い掛かりに過ぎず、出ると思えばコピーしてやってみればいい。

オレは恐らく取っ掛かりが出来ていたところに、誘い水のような状況になったただけだ。

ただのサポートを介入みたいに思われては困るな。


さて、今日も修練するぜ。


やればやる程に進んでいるような気もするけど、それがどうしたって思うだけだ。

面白いからやるんだよ・・自分の手で世界に干渉が出来るんだぜ、こんなに面白い事は無いだろ。

楽しい毎日・・それでも修練に終わりはなく、イツキと共にそれをする毎日。

世界のリフレッシュの方策を探ると共に、歪取りも見かけたらやるぐらいの気持ちで・・

シナリオが終わったと聞かされて、やっと変則と自由に過ごせるようになったのを実感する。

共に精神体となって絡み合いながら、それでも決して混ざる事のないオレ達・・


後どれだけ保つかは知らないけど、世界が終わるまでこうしていよう・・なあ、イツキ・・



ひとまずこれで終わりです。後は彼は新人として・・

ちなみにネイスの前世はロリコン青年だったりします。

え、知ってた? 失礼しました(汗

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