15 真実
15 真実
領地の日本人達への誘い・・戦争では不利だから北の国へ戻るようにと・・
それでもまだ残っている人達がいるようだけど、それならそれで構うまい。
どのみち独立したからには、もう止まらないだろう。
今のこの領はかつての様相に戻りつつあるようで、折角の改革も水泡に帰しつつあるようだ。
それならそれで良いさ。好きに統治して好きにどうにかなればいい。
もうそんな世界の事がどうでも良くなってきてさ、悪いとは思うけど関わる気にもなれんのだよ。
あいつが王国を接収した後、領の日本人達は全て北の国に戻って行った。
再三の説得が功を奏したと思いたい。
そんなオレは衛星都市に赴き、移民としての立ち位置を確保。
と言ってもただの人形だけどな。
やらせる事は米作だ。
ノウハウはあるので土地を購入しての米作の始まり。
この国にも農家出身が誘致されたようで、もたらされた種もみからの稲作も行われるようになっている。
なのでそれに混ざっての農業の立ち位置だ。
広大な農地は水田に変わり、灌漑用水もこっそりやっておいた。
地域も込みなので特に不思議には思われないだろう。
誘致した稲、小豆、そして竹糖の栽培が開始される。
どうやら衛星都市にも気象魔法が施されるようになるらしく、そう言う事なら多少突いてもバレはすまい。
占有している農地に活性化を施せば、あたかも彼の成長促進魔法だの、豊作促進魔法だのに酷似になる。
そうして近隣に米と小豆を広めながら、竹糖はオレのボックスに収まりながら、農地で働く人達は増えていく。
彼は世界の存在として、主人公を頑張っているようだ。
もっとも、そんな意識も無いだろうけど。
オレはそれからもイツキの様子を見に行ったり、向こうでの歪取りをやったり、人形の様子を見に行ったりと、やる事は変わらない。
ただ、よりスムーズに滑らかに、それだけを考えているだけだ。
この末期の世界の延命という、世界に与えられた命題を、可能な限り先延ばしにするという修練を、ただひたすらやるだけの事だ。
そんな折、たまにおたく達に混ざってモノ作りをやってみる。
錬金術師という触れ込みで、何かしら作っては売ってみたり・・
そういう人間との触れ合いもたまには良いものだ。
元は人間という、この原点を忘れてはならないと思うがゆえに。
ただ、煩い存在は相変わらず消したくなるし、近寄りたくないと思うもの。
なのでフツメンは必須だと思っている。
地味に目立たずモノ作り・・
皮な生活もかなり慣れ、食事などという習慣も抜けつつある。
睡眠も同様ながら、そういうのは不味いので時々消える事になる。
睡眠は地下でとるのだ・・イツキを抱いてゆっくりと。
そんな頃、心が妙に重くなるのを感じた。
やはり促成栽培の弊害か、負担になっているようだ。
なのでイツキの意識の底でしばらく眠ると告げ、イツキは妙に嬉しそうだ。
やはり離れるのは時期尚早なのかも知れず、そう言う事ならしばらくはこのままで過ごそうと思った。
時は流れ、爺さんの波を近くに感じ、ぼんやりとしているうちにそれが消える。
消滅って感じじゃなかったから、もしかすると彼によって送られたのかも知れない。
巡り合って知己になれたのならそれはそれで構わない。
だけどさ、知ってるのに知らない振りは大変だろうと思うけど、まあ頑張ってくれよな。
そしてまたまどろみの中に潜り込む。
オレが動くのは歪取りぐらいになり、空いた時間はイツキの意識の底で眠るようになる。
だってここ、凄く落ち着くんだ。このまま眠りたいと思う程に・・
《あるじ・・起こすな・・え、誰?、まさか・・違う・・でも、僕の相方さん・・そいつは今寝ている奴だ・・え、じゃあ・・内緒だぞ・・う、うん・・オレは本質・・そう、だったんだ・・今、寝ているから少し分かたれた。まだまだ分離には至らんが、分離すれば形骸になるだろう・・そうなんだね・・まだオレと重なっているが、ゆくゆくは分離する。それまで誰にも言わずに待て・・う、うん・・ああ、限界だな、また重なるとしよう》
(僕みたいに分かたれるのかと思ってたら、なんか違うんだね・・じゃああるじだと思っていたけど・・相棒って言うのは本当の意味、だったのかぁ・・うん、それならそれで良いんだよ・・きちんと分かたれるまで誰にも言わないよ)
(クククッ、常態は素直だねぇ・・まあ、お前の相棒はまだまだ先になるだろう。んでな、悪いがサツキが本質さ。オレはちょいとここで見学中さ)
☆
なんか最近、変なスキルが立ち上がったような気がする。
なのに表記が無いのがどうにも変な感じだ。
転移に際して、行く先のイメージを選択しようとして気付いたんだけど、転移のメカニズムの中の現地情報の獲得がやれそうな感じなのだ。
つまり、向こうが何となく見える訳であり、のんびりしているハモンの後ろに転移、何て事もやれそうになっている。
「わっ」
「うおおおお、てめぇ、この野郎」
「よし、成功したな」
「おめぇ、こんな場所、記憶してたのか」
「ハモンの後ろを見て飛んだに決まってるだろ」
「おいおい、お前、見えるのかよ」
「いんや、転移の前に世界の壁に切り目を入れるだろ。そん時に向こう側をチラリと見る訳よ。んで、対象の波を察知して修正してまた切り目。そうこうしているうちにターゲットが見えるようになるってと単純な話だな」
「そうか、そうすれば良いのか」
「そんな今気付いたように言わなくても」
「いや、そいつは今気付いたんだ」
「またまたぁ・・熟練の上級さんが」
「オレは上級じゃねぇ。見れないから俯瞰になるところを勧誘されたんだ」
「けど、はっきり見える訳じゃねぇぞ。慣れてる奴の波だからこそ、それを感じれたんだからなよ」
「それでも大したもんだぜ。よし、オレもそいつを試してみるか」
「相良にもそんなアメを与えてなかったか」
「あれとは違う。信じろ、オレを」
「上の奴らは真実を言わないと相場が決まってるからな。特にオレはまだ世界内存在だしよ」
「ならな、昇ったら改めて言うさ。お前には感謝していると」
「ああ、磨いてます、磨かれてます」
「やれやれ」
(オレが染めたとは言え、こいつはとことんオレの言葉を研磨だと思ってやがんだな。けどな、あのヒントはマジで助かったんだぞ。さすがの素地と言えばそれまでだけどよ、それでもそれはお前の努力の結果、導かれたものだ。上でも素地の良い奴はいくらでも居るが、そこから初心で伸びていく奴がどれだけ居ると思う?滅多に居ないんだぞ。だからな、お前は充分誇っていいんだ・・まあ、誇るような心は不味いんだが、それでもオレは認めているんだからよ)
☆
これはあれだな。
波の立体化とでも言うべきか。
ちょうどコウモリが超音波で物体を知るように・・
ちょうど潜水艦の聴音手がそれと知るように・・
仮想的に頭に映像が浮かぶと思い込めば、それはいつしか現実になる。
なんかそんな話を何かで見た事がある。
頭に映像の浮かぶ・・種族?・・だったかな。
とにかくよく覚えてないが、そういう種族になったと思い込めば・・
世界間転移は消費も多いので、世界内であちこちを視ては飛ぶの繰り返し。
波でなら遠方も何となく分かるし、分かればそれを仮想的に映像にする。
やっていればいくらか慣れてくる訳で・・
そのうちイツキの後ろにも飛べるようになってくる。
そしてそのまま潜り込むのだ・・
《うわ、びっくりした・・くくく、今な、仮想映像の修練をやってんだ・・仮想修練?・・壁の向こうを視るスキルとでも言えばいいか。空間に切り目を入れて向こう側に波を送り込んでな、帰ってきた波の変動で何があるかを知ると言うか・・コウモリみたいな感じかな・・そうそう、そんな感じだ・・面白そう・・だろ・・うん・・ここでもやれそうだろ・・うん、それするよ・・暇かと思ってな・・あは、ありがと、あるじ》
(嬉しいな・・あるじ・・くすくす)
☆
しばらくイツキと共に修練に励んだ後、向こうの様子を見てくるといつもの役目に向かう。
まあ、本当は役目とか無いんだけど、やらせてくれるからやるって感じかな。
それにしても色々買い込んで貿易とかしようと思ってたのに、そんな気持ちが全く無くなったな。
そうと決まればとっとと流しちまうか。
女の夜の友を商会に流してしまう。
「え、これは、どうして」
「入手先は聞かない事だ。それで、欲しいのか欲しくないのか、どっちだ」
「買います、あるだけ売って下さい」
「ちょっとミサキ、そんなものにどうしてよ」
「アンタはこっちの生まれだから知らないだろうけどね、これは月の友よ」
「え、月の友ってあれの事よね。あれは仕方が無いわよ。アンタはもっと柔らかいとか言ってたけど、あれはあんなものなのよ」
「だからこれがそうなのよ。アタシが向こうで使っていた」
「ちょっと、そんな物がどうしてこっちにあるのよ」
「理由は聞くな、欲しいか、欲しくないか、それだけだ」
「だから全部「ダメよ、理由を教えてちょうだい」
「それは無理だな」
「なら、要らないわ」
「ちょっとナツミ」
「ミサキ、ここは彼の領土よ。そして私達は彼に依存しているの。だから欲しいものは全て彼と交渉するべきなの、分かる?」
「そんなの変でしょ」
「ならミサキ、この土地から出て行きなさい。ここは彼のものなの」
「いた・・何これ、頭が・・」
「さあ、考えを改めるのよ、早くしないと」
こりゃいかん。こいつら何かされてるぞ・・ああ、何かの暗示?いや、これは契約か。
逆らえない契約ってのも酷い話だが、だからこそこんな物言いを・・
やれやれ、そんな契約をしてまで・・だから皆が慕っているように見える訳だ。
なんてこった・・
「ミサキと言ったか」
「は、はい」
「そいつを解いてやろう。彼との契約をな・・【反転同期】さあ、もう縛りは無いから」
「あれ、なんか気分が」
「アタシも・・あたたたっ」
【反転同期】
「はぁぁぁ・・サッパリした。ありがとう、本当に」
「色々言えない事もありそうだな」
「ええ、もう色々とありまくりよ。生まれた時から戒めをされてさ、あいつに逆らえない奴隷にされてさ、殺してやりたいぐらいよ」
「よくそんなの沈めてたな」
「そりゃ命がけだからね。表に出したら頭痛から始まって、酷い子はそのまま死んじゃうのよ」
「牢獄だな」
「まさにそうね。でももうそんな縛りから抜けられたのね」
「他人に見せるなよ」
「あ、そうだわね。うっかり見せたら羨ましがって」
「そうじゃないわ。彼への裏切りと殺されるって話よ」
「まあそうなるだろうな。自らの羨望をそいつに代えて」
「2人だけの秘密よ、良いわね」
「うん、ナツミ」
「話が纏まったところで、こいつを大量に裏に流したい」
「分かったわ、うちの伝手を総動員して流すわ。それで、どれだけあるの?」
「4億だ」
「え・・」
「4億袋と言った」
「そ、そんなにも」
「後、ゴムも同数あるぞ」
「これは大変よ。ねぇ、アンタ、うちのサークルメンバーも解いてくれない?」
「裏組織にするつもりか」
「きっとやってくれるわ」
「分かった」
話の流れで変な事になっちまったが、これ、シナリオに影響無いよな。
とりあえず、流通工房って変な名前の工房に入り、錬金術師という触れ込みであっちの品を再現したと言って流す事になる。
もちろん夜の友や月の友は裏で流すが、そうじゃない品は表で売る。
オレのスケジュールに変なのが混ざったが、それでもそれをこなしていく。
そうして数年後、彼からの接触があったと・・
「ちょっとびっくりしたけど違ってたの」
「何だったんだ」
「あのね、何か要望は無いかって」
「ふむ、ならな、原油を要望に出そうか」
「原油?」
「ビニール、ナイロン、その他石油製品を出す言い訳になる」
「あ、そっか、そうよね」
「じゃあ大量が良いわよね」
「ああ、大量に欲しいと言ってやれ」
「分かったわ」
「さあ、ラップを仕入れに行こうかね」
「凄いわね、魔法も極めたらそこまでやれるものなのね」
「アタシじゃ到底無理だわ」
「構わんさ、そんなのはオレがこなしてやる」
「じゃあさ、紙をもっと良いかしら。生産が巧くいっているって言っちゃったのよ」
「やれやれ、まあ良いだろう」
オレは正直に話してやっている。
魔法3種を極めたら、空間魔法で転移を覚えると。
まあその後はお芝居だけどさ。
今のオレは20代後半に見せていて、産まれて20年の地獄でクリアした事になっている。
転移が無いと死ぬような地獄で、死に物狂いで覚えて生き延びた事になっている。
3種の魔法を駆使し、周囲の魔物から身を守りつつ、それらを食って生き延びた事になっている。
そんな環境などとてもやれないと思う皆は、オレの魔法については単に凄いと思うだけだ。
自分では習得環境では死んでしまうと思うがゆえに、羨望など持てはしない。
まあ、持った奴は居たけどな・・
そいつ?修練場に叩き込んでやるって触れ込みで、オレの餌になっちまったさ。
数日後に行ってみたら死んでいた、これで終わった話さ。
工房では他の事ももちろんやっている。
そいつはこれだ・・
エリクシル=赤竜の鱗の粉+ユニコーンの血 HP・MP・完全回復
クリアシル=黒竜の鱗の粉+ユニコーンの血 全ての状態異常回復
メルクシル=古代竜の鱗の粉+ユニコーンの血 生命の水(10年)
こういうアイテムは世界の中で作らないとな。
法則が変われば通用しない恐れもある訳で、だったら通用する世界の中で作るべきだ。
となれば同様に・・
ミスリル=銀+ルガル+ユニコーンの骨
オリハルコン=銀+ミスリル+トルテイン+ユニコーンの骨
ヒヒイロカネ=銀+オリハルコン+メラクル+ユニコーンの骨
神聖銀=銀+ヒヒイロカネ+アラモ+ユニコーンの骨
これもやるに決まっている。
特に生命の水って言うのがどうにもチートだ。
そりゃ古代竜の鱗とか、普通じゃ手に入らないからだろうけどね。
狩らないと言ったらたくさんくれたんだし、有効活用は大事だよな。
ついでにダメ元で彼に鱗の要望を出してみたところ、使い方を知らないのかたくさん送られてきた。
なのでお礼って訳じゃないけど、魔法炊飯器と米を送っておいた。
やはりシステムの違いか、彼のシステムには鱗の活用は無いらしいな。
となればますます、世界を出たら消えちまう製造法に違いない。
製品は恐らく使えようが、材料から製品にはここのシステムが必要だ。
ならば可能な限り作っておくべきだと思ったのだ。
それにしてもまた派手に構造体の破壊行為・・ああ、人殺しの事ね・・をやったものだ。
またあいつ、無意識に罪も無い一般民間人の大量虐殺をやったんだ。
今度は都市4つとか、本当に凄いよな。
大量の魂がうわーんと昇っていったからなぁ・・あれはさすがに食欲抑えるのに苦労・・げふんげふん・・
いにしえの勇者召喚は良いんだけど、本人呼び出すとか間抜けな結果だよな。
そもそも、ハモンも向こうにいて、どうしてあいつが召喚されたのか。
それは以前、ハモンから聞いていたスキルの応用になるんだろう。
オレに食らった反転同期は単に、まさかオレが使うとは思わなかっただけの事であり、普通は流すんだと言われたんだ。
その時に要領を教わって、イツキにスキル使わせての、流す修練もかなりやったんだ。
そいつが今のサークルの奴らのスキル流しになっている。
彼のスキルを本人に反転させず、最寄のモンスターに反転させるって事さ。
最寄のモンスター?地下にたくさんいるじゃない。
だからオーク農場のオークのうち、何十匹かは彼のスキルの影響下に・・もう食われちまってるか。
今のところ、攻性のスキルじゃなければやれているが、咄嗟に瞬間的に流すなんてのはまだ無理だろう。
こいつも熟練あるのみだ。
そんなこんなでこっそり交易とスキルの熟練、世界の安定化への挑戦は行われていた。
表の世界ではすっかり戦争が激化していたけど、ここ、衛星都市では平和なものだ。
あのサークル連中は、本拠地を軍事基地化する時に衛星都市に誘致し、そのままオレの傘下になっている。
傘下と言っても変な契約などはしてないから、あくまでも自由意志での参加だ。
米と小豆と竹糖の農場では、今日も大勢の人が働いている。
そうして採れた産物は工場に送られ、団子となって領土全体に輸送されている。
確かに米と小豆は流したが、竹糖は流してない。
だから糖分は果実由来に頼るしかなく、あの竹糖の産地も戦火で消えてしまった今となっては、もう独占に近い状態だ。
更にそれに紛れて向こうの砂糖も入手して団子にして売るので、うちの団子の売れ行きはかなり高い。
特に甘い小豆を使ったぜんざいや汁粉とか、そういうラインナップを増やした事もあり、うちの商品はどれも派手に売れている。
瓶詰めの小豆の甘煮とか、得意客が相当数確保出来ていて、工場ではひっきりなしに作られては運ばれている。
あいつは汚染物質がマナを消すという結論のようだけど、消すのはマナじゃない。
浮遊素子を消しちまうんだ。似ているのも道理、浮遊素子が更に崩壊し、生まれるのがマナとなる。
純粋なエネルギーが魂であり、その欠片と言えども莫大なエネルギーを秘めている。
そいつが崩壊すれば膨大な量のマナになるって寸法で、LP=MP1万の図式はそういう意味だったのだ。
話が逸れちまったな。
つまり、向こうの商品には汚染物質が付着していると言う事になっているけど、そんなのは関係ないって事だ。
単に含有されるべき活力が少ないってだけの意味しかなく、足してやれば良いだけの事なのだから。
その活力と言うのがオレの生命吸収で吸ったはずのエネルギーになる。
そいつを向こう由来の食品に補填してやれば、本来持つべき活力のある食品になるって訳さ。
だからさ、生命のスキルとライフポイントのスキルは本来、同じ物のはずだ。
単に魂という個数で消費するか、端数で消費するかの違いでしかない。
そいつを理解して消費してみれば、まさに理論は立証されたって事になる。
しかしな、相当に効率が悪いんだよな。
だからこれはあくまでも借り物のスキルでしかないのだろう。
もっと効率が高いスキルが欲しいなら、自力で開発すれば良いと・・そういう示唆も含んでいると。
いやはや、本当に奥の深い話じゃないかよ。
それこそ、万年億年使っても、到達出来るかどうか分からないってよ・・そこまでの時間猶予があるってよ・・
楽しくて楽しくて仕方が無いぞ、クククッ・・
☆
そんなある日の事、地下に元親父の波を感じたんだ。
どうやら送り込まれたらしいな。
早速、身体から魂を抜いて暗示はそこらのモンスターに流しておいたんだけどさ・・
《何してんの、親父・・うっ、ここは、何処だ・・転生終了・・作戦は、どうなった・・失敗・・そうか・・もう転生出来ないよ・・そうだな・・次は記憶無しの転生になるね・・そうなるのか・・その前に面白い事を教えてあげる・・面白い事?・・親父の弟がこの国のトップだよ・・なん、だと・・縁故に頼ればこの国のナンバーツーになれたかも知れなかったのにね、敵対とか何してるの・・まさか、そんな、事に・・青山祐二、京都生まれ・・弟、だな・・そういう奴が相手だと理解したところで、
次の転生いってみる?・・会えないのか、あいつに・・無理ね・・そうか、ならばもういい・・さよなら・・ああ》
オレの裡で永久に眠るが・・あ、こら、盗るな、ハモン・・
《お前な、仮にも自分の親を食おうとするかよ・・いいじゃねぇか、ある物は食ってもさ・・やれやれ、こいつは上に送っておくからよ・・てめぇ、来れない事になっているんだろ・・たまたまこっちに呼ばれてたんだよ・・やれやれ、メインに暗示とか、上司に訴えてやろ・・本当に呼ばれたんだ・・ならそいつを相良に見せてやれよ。
てめぇのアニキだって、クククッ・・そんな事が出来るかよ・・京都にそんな家は無いもんな・・お前・・ふふん、足場作りは良いが、送り先をもうちょっとまともにするんだな。京都の人形が銀行で送金するだけとか、浅いにも程があるぞ・・調べたのかよ・・あのな、うちの特産は竹糖なんだ。そんな特殊な砂糖を使うお菓子の本場って何処だ・・うっく・・レパートリーを増やそうと思って京都を訪ね、ついでに調べたらそんな家は無いときたもんだ・・はぁぁ、参ったな・・もっとも、そいつはストーリーの裏設定だろうから、上の奴らの設定の甘さって事になるんだろうけどな・・それでも指摘は出来ないからな、そのまま使うしかねぇんだよ・・でよ、看板のキツネやらウルフやらの本家は、今は何処で何をしてるんだろうな・・どういう意味だ・・ふふん、分かってるんだよ、表層だって事ぐらいはよ・・お前・・歪の是正には浮遊素子、そいつは魂の欠片。世界の安定には魂があればいい。なのにそれを使わない。何故ならば、ここにある魂はみんな薄いからだ。オレが挑戦してみる気になるぐらい、薄い圧力の魂の群れ。本来の濃縮な魂なんか食っちまったら、オレが耐えられるはずがないだろ。違うと言うなら食わせてみるか、お前の魂を・・参ったな、もうお前には何も隠せんか。罰を受けても良い、これからは真実路線で行くからな・・やれやれ》
(やれやれはこちらが言いたいぜ。全く、なんて成長だよ・・彼の表層ってな、こんなに凄まじいのかよ・・さすがだぜ)




