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ついつい凝視してしまったからだろう。視線に気づいたのか、こちらの方に顔を向けてきた。年齢は、僕より少し幼いような感じの女の子だ。女の子は唯々僕を見ているだけだった。警戒していないし、不思議にも思っていない。そんな、何も考えていないような顔だった。
「あ、あの。君はどうしてこんなところにいるの?」
意を決して聞いてみた。返事はかえって来るか分からないけど。
「…….。」
「……。」
返事は無し、か。分かっていたけど、無視ってやられると相当心にくるな。
そんな僕を他所に顔を曇らせた少女はブランコに座っていた。
「えーと、聞こえてますか?」
「…….。」
そんなに無視されるとさすがに虚無りたくなっちゃうよ。いや、本当にマジで。
「…….。」
「…….。」
「はぁ、あなたに言う必要ありますか。」
「というか、いきなり話しかけてきて何なんですか。」
「自分優しい男ですよアピールしたいなら、他所のとこ行ってくださいよ。」
「えっ、あの…」
急にそんな喋られても、よくわかんないよ。ただでさえ、普段から会話という会話をしてない俺にとっちゃ、返す言葉も出てこないよ。クラスで騒々しく話してる陽のものなら、軽く流すこともできるんだろうけど。俺からしたら至難の業だ。
「その…何というか…。こんな暗い時間帯に女の子が一人でいたら、少し心配にもなるだろ?」
「そうですか。では、私は大丈夫なので。早くお帰りいただけませんか?」
別に一人でいるからって、ワンチャンを狙って声を掛けたわけじゃないんだけどなぁ。
「なぜ隣に座るんですか。」
「別にいいじゃん。僕が何をしようが僕の勝手だよ。」
少し強引な手段をとるしかないと思い、空いてる隣のブランコに腰を下ろす。
今思うべきじゃないんだろうけど、かわいい子だな。忖度なしにそう思わせるほどの美しさだった。駄目だ、駄目だ。正直に言うと、少し…いや、大分見惚れていた。
「で、こんなところで何をしていたの?」
「…眠れないんで、町探索を兼ねた散歩です。」
「町探索?」
「今日、この町に引っ越してきたばっかりなんです。あの人達の都合で。」
「あの人達?」
「私を産んだ人達のことです。」
「……」
両親のことを、あの人達と呼ぶって、あなたの両親上流階級の人なんですか。それとも…他人行儀な呼び方だし。こんな夜中にこの場所に居るのって、家族が関係しているのか?まぁ、そんなこと考えるだけ無駄だ。
それよりも今はこの子と向き合おう。
「ねぇ、夜は好き?」




