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よるの住人  作者: 雪月花
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いつだって、同じ夢を見る。

父さんと母さんが、僕を泥沼に引き込もうとして、両足を引っ張ってくる夢。

父さんと母さんが、僕を優しく呼んで抱きしめてくれる夢。

もう、声すら忘れてしまったと言うのに。

ねぇねぇ、今日どこ行く~?」「アハハハハ」「あのゲーム超面白いよな」...


今日は僕の学年の入学式で、入学式が終わると、SHRがあった。SHRが終わったら友達作りに奔走している人や、さっさと帰る準備をして帰宅する人が概ねだった。

僕はというと、家に帰っても家族はいないし、人間関係を築くことは苦手なため、教室の窓から外の景色を堪能することに徹していた。決して、周りに合わせたくない一匹狼などではない。この教室は四階でそれなりに高い。なので、結構遠くまで見えて、眺めが良いのだ。といっても、見えるのはビルや小さくも大きくもない中くらいの山がほとんどで、すぐに飽きるような風景だろう。今は出席順で窓側の席になり、こうして風景を見ることができているが、明日早速席替えするそうなので、見納めになるかもしれない。今のうちに堪能しておこうと思い、見ている。


「あ~、眠い」


でかい欠伸が出てしまった。

昨日も中々眠れなかったからだろう。ほんと、自分の体質が嫌になるよ。


「さっさと、帰ろ」

「ただいま、父さん、母さん」


仏壇に手を合わせながら言う。

父さんと母さんは僕が小さい頃に死んでしまった。

家族三人で温泉旅行に行った日、事故にあった。老爺が運転していた逆走車と正面衝突し、死んでしまった。運転席と助手席に乗っていた、父さんと母さんが。僕はというと、後部座席に座っていたからか生きてしまった。いっそのこと、あのとき後追いをして、死んでいたらどれだけ楽な人生だったのだろうか。そう思う時だってある。

父方の祖父母が生活費を、母方の祖父母が固定資産税とかの税金回りを払っていてくれるので、特段困ったことは、生活していて今のところない。両家とも家に来ないかと言ってくれたり、本当に優しい人たち。でも、父さんと母さんと一緒に過ごした大事な家だから、その申し出は断った。 僕の大事な…大事な家


「さてとっ、ご飯の準備しますか。」


マイナスな気持ちを追い払うように、お風呂にお湯はりをしてから料理を始めるためにキッチンへ出向いた。


「今日の晩飯は何にしようかな~」


基本材料は、日曜日、水曜日に買い溜めをするので、その日の気分で冷蔵庫に入っている食材を使い、作っている。我ながら高校生にして所帯じみたな、なんて思いながら今日の晩飯は若竹煮とナスのチーズ焼きを作ろう。と、今晩の献立を決めて作り始める。幼い頃に両親がなくなり、今の高校生になるまで、祖父母が料理をわざわざ作りに来てくれていたので、料理はどちらかと言うと初心者だろう。ちゃんと作れるかは不安だが、練習あるのみなので、まずは作ることに専念した。


「まぁまぁ、美味しい。」


良かった。失敗することが杞憂で終わって…。少し怪しかったところもあるが、そこはこれからの自分にこうご期待だ。さっさと洗い物をして、風呂に入ろ。四月とは言え、まだまだ冷え込んでいるので、体をぽかぽかに温めたいのだ。どうせ寝る頃には冷めているだろうけど。


「今日も、寝れないな。」


少し散歩するか。

悪夢を見るようになったのは何時からだっけか。もう、ずっと前のことなのにな。あの夢を見るのは、僕が弱いままだからだろう。本当、情けないな。僕は。

最近では、夜の街の景色を楽しむのが日課になっている。昼間とは違った、陰鬱というか、ミステリアスな雰囲気が、気に入ってしまっていた。

誰だろう。こんな時間に公園でブランコを漕いでる女の子がいた。



「誰だろう。どっかで見たことあるよう、な?」

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