王都へ向かう馬車の中で…
「……まぁ、本来ならば全員でがベストだが」
そう言ったヘラクレスとは対照的に、ネメアはアーサーの意見に賛同を示した。
「一人残って貰うのは正しい選択かと」
それが、トゥルムならば尚更だと。
「もし、失敗した時」
その言葉に、アーサーの肩にずしっと重りがのしかかった。
「誰かが真実を世界に伝えに行かねばならない」
既に出回ったテスカトリポカの新聞と、S級冒険者という地位を確立した今のトゥルム。
例え、アーサーの呪いが解けてトゥルムが亜人となっていたとしても……門前払いなどされないだろう。
「相手は…、7本柱に例えられるテスカトリポカだから」
全員の気が引き締まる中、オイフェは小首を傾げた。
「…………ところで、その7本柱って、、誰が決めたの?」
「誰だろう?ギルドではそう言われていたような……」
「……Lランクのギルリー・メルシエ殿、だったかと」
ネメアから出た人物の名前に、オイフェの目が丸くなる。
「いきなり眉唾物のランキングになったわね」
そして、ヘラクレスと顔を見合せふふっと笑う。
「ギルおじさんが付けたランキングだったか…。どうせ酔った席で言ったんだろうな…」
「クー・フーリンに教えとこうかしら」
「ランキング外にされてるって?」
「しばらく、国でこき使われたら良いのよ。あの放蕩守護者」
きょとんとしているアーサーとネメアに、、ヘラクレスが伝えた真実は……、【石盤】という物の恐ろしさをはじめて感じた瞬間だった。
「ギルリーは、、ギルガメッシュ王だ。守護者の一人で…“星のシステム”の重要なギアを担ってらっしゃる…。1000年以上前からな…」
「星のシステム……?」
「………語り部のミカエル殿が、、最後に語ったのはもう200年前か」
少し時間があるなと、ネメアは飲み物を準備する。
「さて、どこから話そうか」
何もない空間に降り立ったのは、宇宙と混沌という二人の神だった。
「…暇だな」
広くどこまでも続く真っ暗な、時間の概念もない空間
「私たちはどこから生まれ、どこから来たのだろう」
「そんな事知るか。何か暇潰しになることをしようぜ、コスモス」
「………暇潰しというのは賛同しかねるが、確かに何もないのは寂しいな」
コスモスは惑星をいくつも産み出して宇宙に並べた
尽きる事なく燃え盛る惑星、凍った惑星、暑い惑星、光輝く小さな星々…
カオスは神を作りだして惑星に送り出した
「生き物が育つ星もあるのか」
地球は、飽きの来ない箱庭だった
「凄いな」
「でも、暇は潰れんもんだな」
カオスは次第に……争いなどを生み出す「混沌」を撒き散らすようになった。
「やはり、こっちの方が暇は潰れるな」
コスモスの作った惑星はいくつも姿を消し、その度に文明は姿を消していく
「カオス、、」
生き物の死を悲しむコスモスとは対照的に、カオスは神々ですら争いを起こさせるようになっていった。
「君は、存在してはならなかった」
コスモスは、カオスの子供たちの力を借りて………
一つの惑星へと、その存在を封印した
「良いだろう、コスモス。今回は封印されてやる。しかし、覚えておけ。星に混沌が満ちる時、俺は復活を遂げる。その時は…宇宙を破壊してやる」
そう、呪いの言葉を吐き捨てて、カオスは永き眠りについた
「この星は、アナザーアース」
石盤を最初の24人に持たせ、24の能力を星へと落とした
「地球から神や英雄をここに定期的に生み出す。交代のサイクルは寿命として石盤に載せる。この星は、カオス復活を阻止する為だけの星だ」
最初の24人から二代目に問題なく引き継がれた頃、この星にも人と亜人という種族が誕生した……。
「その頃くらいからだろうか、争いがうまれだした」
そして、守護者の能力に【混沌】が誕生した
「…カオスの残り火だろうが、守護する者は本来は…私利私欲に使っちゃならんのだ」
星の混沌化の意味は、とても残酷だった
「…クー・フーリンが、、怒ってたのはね。宇宙までアーサーの肩に背負わせようとした、他の守護者の腰の重さよ」




