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ゲーテ予科編02

自室へ戻ろうと階段に向かったゲーテの前に、姉が顔を出した。

「白薔薇様は、お綺麗な女性だそうよ?」

ゲーテは母譲りの切れ長でやや釣り上がった目を変えることなく言った。

「しかしご静養されているのなら、なお人前にお顔は出されたくないのでは?」

姉は口を結んだ。

ゲーテは自室に戻っていく。

姉はパタパタと兄と母のもとに駆け寄った。

「ほんとうに分かっていないのね。まあ、今日始まったことではないけれど」

母はまた深いため息をついた。

「伯爵様へ何と書いてよいのやら」

兄も難しい顔をする。

「承諾した旨をそのまま書くと、縁談の合意になりますからね」

姉がパッと目を輝かせた。

「白薔薇様なら、恋心を抱くかもしれないわ」

兄は表情を崩さなかった。

「俺もご令嬢を直接見たわけではないから、なんともなあ」

母は眉をひそめた。

「伯爵家のご令嬢でもだめだったら、どうしましょう…」

兄は腕を組んだ。

「あいつはどんな女性が好みなんだ?」

「あら?それを聞くのがお兄さんでしょ?」

「あいつは女性の話をしないからなあ。聞く機会がないんだ」

母は目を伏せた。

「昔からそうですものね。本家の行事に行っても、女の子は視界にも入っていない子でしたから」

兄は声をおさえて笑う。

「そうでしたね。…もうお断りできませんので、やんわりお返事するしかないでしょう」

母は視線を窓に向けた。

どっさり降った雪が一面を覆っている。

「そうしましょう」

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