pagguhit ng isang busog(引かれた弓)
「任務は基本的に空でドラゴンを探してもらうことになるだろう。ドラゴンを見つけたら殺すのではなくまず報告を。そして指示に従い捕獲作戦を実行するということになる」
「捕まえると、あれを?」
正気の沙汰じゃあない。正直な話あれに航空機が敵うとは到底思えないのだ。実際に戦った自分が言うのだから、間違いない。捕まえるにしても腕もない飛行機でどうやって捕まえるというのだろう。銛でも打ち込むのだろうか、しかしそうすればドラゴンと繋がった状態になるため、思いっきり引っ張らられればバランスを崩して墜落しかねない。機体が破損する可能性だって十分にあるというもの。どういう算段があって将軍はそんなことをしようというのだろうか。
そんなヒューの疑問を読んだかは不明だが、作戦の一例についてゲイツは語り始めた。
「ドラゴンとの実践の経験が皆無なためにあくまで計画の一例に過ぎないが、まず長距離戦闘機で長い距離を追い回し、体力を減らすとともに自然にこちらの制空権内に追い込む。そこに機動力に優れた小型戦闘機隊で一気に消耗させ弱らせる。いくらドラゴンといえど、無敵では無かろう。弱って高度を落としたところで地上に追い落とし、戦闘爆撃機からガス弾を投下し昏睡状態にする。そして網をかけ縛り上げる。まあこんなところだろうかな。回数を重ねていくうちにより最適な方法を見つけられるだろう」
そういうゲイツの顔は、自信ありげではなくむしろ冷めた表情であったのを見て、彼は将軍は楽観主義者ではなく現実的に物事をみている男なのだということを感じていた。だからこそ、それほどの男が何故そんな空想上 (であった)生物にこだわる理由が見えないので、ヒューの不信感を拭い去ることができなかったのである。
ここでふととある引っかかりを恐る恐る尋ねた。これは非常に大事なことである。
「中将殿、その、閣下はドラゴンを捕獲なさるおつもりなら私はどうやって……仇を討てばよいのですか」
明らかな矛盾について尋ねるが、やはりゲイツはそういうことを聞いてくるのはわかっていたと言わんばかりに一拍の間を置いて立派な返答で彼に応えた。
「そうだな、君の仇のドラゴンがもし出たとしても、まずは捕獲してもらうことが優先だな。だが、いずれ少なくとも君に引き渡すことは、シュバステンの旗の下に誓おう」
「……わかりました。その御命令謹んでお受けいたします閣下」
ヒューは目を瞑ると、頭を下げる。中将もの階級の人物にここまで言わせたのだ、ならばその誓いに泥を塗らぬよう従わねばなるまい。それがシュバステンの男というもの。それに、最新鋭機ならばきっとあのドラゴンにも勝てるはず。そう信じて、彼は第一〇一戦闘機大隊の下へと進んだ。
「異動についてはすぐに部下から連絡を寄こすだろう。君は部屋に戻って荷物の整理でもしていたまえ」
「整理?ここではないのですか?」
てっきりこの基地での再編成だと考えていたため、つい聞き返してしまう。この基地がゲイツ中将の現在の本拠地のようなもので、彼が何かしらでここを後にしてもそれが終われば必ずここに戻ってきていた。それにはここがこの周辺で一番の規模を誇る航空基地であるためだった。
「当然だ。これは特別なことなのだよ。それにここでは水上機は使えないではないかね」
確かに言われてみればそうだ、ここには近くに川はあるものの、細く浅く水上機を運用するには無理がある。湖はあるが、規模としては実に小さいものだ。離着水すら厳しいのに、組織的運用ができるはずもなく、水上機を含む小~大型航空機を保有する部隊を更に置くには、当基地は幾分狭かったのだ。
「オーバーハリケーンはいい機体だよ……」
大方の話が終わりヒューが部屋を後にするとき、ゲイツがおもむろに呟いた。彼は窓の外を見ていたためはっきりとはわからなかったが、ヒューが振り向いたときのゲイツの顔は読むことのできない顔だったといつか彼は語った。




