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神の賽子  作者: 小工枝 攻臣
3人の敵
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16/24

コンコンと戸をノックの音がする。

「どうぞ。」

生徒会室にノックをして戸を引いたのは、豊崎優希。小野と煌の幼馴染だ。

「これはまた珍しいお客さんだね。」

にっこりと彼女が微笑む。

「どうぞ入って。」

椅子から立ち上がり、彼女に席を指す。

「・・・・・・ここで大丈夫。」

彼女の何か分からない返答に戸惑っていると、ガシャンという音が聞こえた。

ガラスが割れたのか……?

中校舎の方を見てみる。


ゾク。

背後に寒気を感じた。

振り向くと、とがった刃が目の前まで迫っていた。


とっさに『炎』の能力で刃を溶かす。

刃が一瞬で消えた。


入り口を見る。

豊崎優希がそこで微笑えんでいた。

彼女が刃を?


「寺島会長。どうして日本人は桜が好きなのか考えたことある?」

彼女が笑う。

その目はとても落ち着いている。

人に刃を向けておいて、彼女は平常だった・・・・・・と思う。

「理由は簡単さ。みんな好きだからだ。もし、梅の花が好きな人が多数いたら、日本人は梅の花が好きだというぞ。」

彼女の落ち着きぶりに冷や汗をかく。

やれやれ、どうしてあいつの幼馴染は厄介な奴らなんだ。

「桜はすぐに散るから美しい。その一瞬の輝きが、限定が、日本人は好きなの。」

キラキラと彼女の周りが煌めいた。

「先輩には言っておきます。私は決して永遠を求めてはいない。でも、一瞬の輝きのためなら――――――」

ピロピロピロと彼女の携帯電話が鳴り出した。

「努力は惜しまない、よ。」

彼女の前に無数の刃が出来るや否や、俺に向けて投げる。

先ほどと同じように炎で焼き払う。

「お前も能力者か。」


下をちらっと見ると、そこには透明の液体が。

水か。

だとしたら、豊崎優希の能力は――――――



キン。

音が聞こえたわけでもないが、そんな音が聞こえる気がする。

生徒会室が一瞬にして銀色の世界になった。


氷。

俺自身の体にも氷がまとわりついた。


「××しい世界。」

彼女が呟く。


ジュワッ。

まとわりついた氷を一瞬で溶かす。


「氷もすぐにとけちゃうから、美しいのか?」

嫌味のために口を開く。

「・・・・・・そうだね。」

空中に氷の結晶を作り、眺めて彼女はうなずいた。


「相手が俺だったのが運が悪かったな。氷じゃ炎には勝てないさ。」

悪役のようなセリフを吐く。

「・・・・・・。」

彼女が首をひねる。

「氷は何もしなくても解けてしまう。コーヒーに入れたミルクは拡散する。・・・・・・この宇宙には一つの方向がある。」

氷対策に生徒会室の室温を上昇させる。

「力が等しくても、この宇宙の法則は、君の敵。だから君は勝て――――――」





会長が「え」の口をしたまま動かない。

十五分待つまでもない。十秒動かなけりゃ、もう十分だ。

「形あるものは全て壊れる。が、その宇宙の方向に抗う。それが生きるってこと――――――」

ニッと笑う。

「なんじゃないかなー?」


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