第37話 第二章 赤い守り (5/6)
「この前の件だが、俺に覚悟がなかった。ガーディアン・レッドの暗殺に協力する。必要なら俺が手を下しても構わない」
ミキとアカリは顔を見合わせる。
「いいの? あんたの考えに反するでしょ」
エヴァンはゆっくりと言う。
「中途半端な協力はかえって危険だ。殺人に協力する以上、本気でやる必要がある」
ミキはうなずく。
「それなら動きを説明する」
ミキはそう言うと作戦を説明し始める。
「標的は、レッドが普段乗る車を襲撃してくる可能性が高い……。となると、ハイウェイをある程度警戒に入れる必要がある」
エヴァンは少し困惑した。
「標的? 標的はガーディアン・レッドじゃないのか?」
ミキはニヤッと微笑む。
「あのあと別の依頼が来たから私らはそっちを受けることにした」
「別の依頼?」
ミキは指を鳴らすとホログラムで一人の男の映像を出す。そこにはデューパスが映っていた。
「デューパス・ランドルフ。シトラスカンパニー幹部からの直々の依頼だ。ガーディアンレッドの暗殺部隊の始末」
エヴァンは呆気に取られる。
「あんたの覚悟は伝わった。今回はただ総合的に判断してこっちを受けた方がいい気がしたんだ。標的が変わっても問題ないだろう?」
エヴァンは少し笑って頷いた。
エランドはなんとか立ちあがろうとするが、肩の怪我が痛んでうまく立てない。
ネフィラはアカリの居合を剣で受けながら、エンジェルに連絡する。
「私の剣を大量に送ってくれ」
エンジェルは頷くと、近くに置いていたケースから矢を一本取り出す。その矢の裏側のボタンを押すと、矢が一気に十本に増えた。
「上でコントロール預けますよ」
そう言うと、エンジェルは十本の矢を全て同時に放った。矢はそのままハイウェイの空中で止まると、どんどん形を変えて、ネフィラが使う剣と同じものになった。
「あとは任せます」
ネフィラは、一気に力を入れてその剣を落下させた。
「エヴァン!」
ミキが叫ぶ。エヴァンは瞬時に照準を変え、ネフィラの上空に浮かぶ剣を何個か、レーザーを直撃させて折った。しかし五本を超える剣がアカリに向かって襲い掛かる。アカリは自分の真上の剣だけを弾いた。
「だいぶ漏れたね」
アカリはエヴァンに文句を言う。
「連射機能がいると、竜宮さんに頼んでおく」
そう言うとエヴァンは再度装填を始めた。
ネフィラは周りに散らばった剣をまた浮かせると、こんどは一つずつ回転をさせ始めた。そしてそれをかわるがわる、アカリに向かわせ始める。
「サポートしてやんな。エヴァン」
しかし、エヴァンはスコープから目を離さずに言う。
「剣を捌きだすとジリ貧になる。制御元を断とう」
アカリが剣をよけながら言う。
「制御元?」
「本体の腕だ。あそこで剣の動きを制御してる」
「あそこまで行けない」
「アカリがやる必要はない。周りの剣を一瞬だけ引きつけてくれ」
アカリは頷くと、あえてネフィラから少し距離を取った。そしてエランドが、落としたヒート・セイバーを拾うと、二刀流の構えを取る。
ネフィラは一気に回転させた剣で攻撃する、アカリはなんとかそれを一つ一つ凌ぎながら、ヒート・セイバーのスイッチを押してネフィラに投げる。
ネフィラは咄嗟に手を前でクロスすると、回転している剣の四本がネフィラの前を守るように現れ、ヒートセイバーを防ぐ。
「ここだ」
エヴァンはドラグーンのトリガーを押す。高エネルギーのレーザーが一気にドラグーンから放たれると、反射板が一気に移動して、レーザーの動きを変え、ネフィラの腕を貫いた。
直後、浮かんでいた剣は制御を失い全て地に落ちる。アカリは一気に近づこうとするが、それをエヴァンが叫ぶ。
「待て! 様子がおかしい!」
腕をダランと下げたネフィラは今度は突然金切り声を上げるように叫んだ。するとネフィラの周りから一気に衝撃波が拡散する。
アカリは、一気に距離を取ったが、衝撃波で吹き飛ばされる。エンジェルは遠目でその様子を見ながら言う。
「潮時だな……。フラン! 帰るぞ。これ以上長居は無用だ」
外で警察の相手をしていたフランはうなずく。エンジェルの合図で一気にパルスシールドが破られ、中に入れるようになる。フランは又タイヤで一気に加速すると中にいるネフィラを抱えてその場を逃亡した。
「アカリ! 聞こえる?」
アカリは吹き飛ばされたが、とくに怪我はなかった。
「うん」
「早く逃げな。警察に見つかると厄介だ」
アカリは頷くと一気に走り出した。そして顔を変えながら外に停めてあった車に乗り込むと、猛スピードでその場を後にする。エランドはただその場で倒れ込んでいたが、すぐに警察の救助がはいる。
「あんたも帰りな」
エヴァンはミキに言われて引き上げる準備を始めたが、その時後ろで物音がした。
振り返るとそこにはイルザが立っている。
「見つけた……。鬼人の共犯者」




