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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第24話 第二章 クロノス・タワーの攻防 (2/4)

アカリとミキ、そして新たに入ったエヴァン。


三人が今回暗殺のターゲットに選んだ人物は、エヴァンと同じ、遺伝子操作によって自身の能力を引き上げられらたデザイン・チルドレンだった。


厳重なセキュリティが施されたクロノス・タワーで果たして三人は暗殺を成功させられるのか?


登場人物

エヴァン・アトラス:主人公 通称『As エース』 

Dr.竜宮:科学庁のお荷物

ミキ・竜宮:エヴァンのクラスメイト

アカリ・竜胆:エヴァンのクラスメイト

クロノス:本話の暗殺対象

エリス:クロノス暗殺の依頼者

 従業員の一人がクロノス社を辞めて転職し他の企業に技術を無断で教えていたのだ。


 エリスが迅速に対応してなんとかなったが、これは先の事件より何倍もクロノスの心に傷を負わせることになる。


 クロノスにとってハンデを抱える社員達の採用はどこか彼の人間性を失わせないための支えだった。


 その夜、エリスが社長のオフィスを訪ねると、社長の様子がいつもと違った。様子が違う理由を訪ねると、


「ずっと試したかった事がある」


 とクロノスは言った。視線の先にはケースに入った一つのチップがある。


「なんですかこれ?」


 クロノスは悲しい笑みを浮かべた。


「人体の機能補完の最上位は何だと思う?」


「それは……。脳ですか?」


 クロノスはそれを聞いて笑みを浮かべた。


「ご名答。正直この分野は、うちの技術領域を超越してる気もしてたけどね。こんな状況だし、やって見てもいいと思ったんだ」


「やると言うと?」


「埋め込みだよ。脳機能補填を自分の体で試す」


 エリスは耳を疑った。


「そんな!? 危険です」


「被験者がいないんだ。脳機能の補填は前例がないしね。 正直一旦安全性さえ確保できればいい。 僕の望みはこれで足りない所を補ってもらう事だよ」


 エリスはどうにか止めようとした。


「知識さえあれば、全ての物事を正しく解決できるわけではありません。何より私はそのチップがあなたに正しい解決策を教えてくれるとは思えない」


 クロノスは悲しそうな顔をした。


「同意してもらえるとは思ってないよ。ただ決めた事だ。僕がまだ社長でいられるうちにこの計画は成功させる」


エリスはクロノスの焦りを感じた。どうにか止めようとさんざん交渉したが結局クロノスは手術を決行して、自身の脳にチップを埋め込むことになる。


 術後一週間ほどして、エリスは社長と病室で面会した。


「体調はどうなんですか」


「問題ない。スッキリしてるよ。以前より悩む事も少なくなった気がする」


 そう言ってエリスを見るクロノスの目は以前よりどこか冷たく感じられた。


「この事はまだ……」


「言わないさ。しかし、安定期に入れば、大量生産や他の人での実験も視野に入れる。これが進めば、いろんな可能性が生まれる」


 エリスは色んなことを考えた。脳機能の代替ができるのであれば、たしかにかなりの可能性が広がる。


 脳機能がダメになると発達した現代医療でも回復はかなり難しい。


 それを機械が補填してくれるとなれば……。しかし、それで補填された人間は本当にその人と捉えられるのか? 


 一部ならまだしも、大部分を機械が補填している人はもう機械ではないのだろうか。エリスの中には答えが出なかった。


 クロノスはその後復帰すると、脳機能補完プロジェクトに向けて、会社一丸となって方針を定めた。

 

 まず被験者の策定だ。その中で目玉だったのは脳機能を一部失った人を家族に持つ人間を積極的に雇い入れ、家族ぐるみで手術を促すと言うものだった。


 倫理的にグレーだったため、エリスは反対したが、そうするとクロノスはエリスを容赦なく解雇した。


 エリスにとって衝撃ではあったが、諦めるしかない。


 しかし、問題は程なくして起きる。手術後に回復した被験者に人格の変更が認められたのだ。


 だが、大半の被験者やその家族は脳機能の回復があるなら多少の人格変更も受け入れる人間が多かった。


 圧巻だったのは、株主達相手で、老人が多い株主たちに無償で手術提供をすることで、彼らも取り込んでしまった。


 そういった流れを積み重ね、いよいよ本格運用が見据えられてきた矢先、エリスに工場で働いていた人間から連絡が入る。

 

 それはチップの安全性に関するもので、人格形成の変更度合いが大きい人は後に死亡してしまうケースがあると言うものだった。


「社長はこの事を知っててなお、このチップをリリースする気でいます」


 ミキが尋ねる。


「止めなかったのですか?」


「一度会話しましたが、ダメでした。被験者を増やして改良する事で改善していくしかない。そう言ってました」


 ミキはここで話を止める。


「あなたはそれを止めるために殺すと?」


「今のあの人はもう昔のあの人じゃありません。このままだと大勢の人間があれに人格を変えられてしまう。そうなってからでは遅いんです」


 エヴァンは一連の話が他人事に思えなかった。ミキは一応再度確認する。


「どうしても殺さなくてはいけませんか?」


「邪魔するとわかっている私を彼は生かしておかないはずです」


 エリスも焦っている様子だった。


「わかりました。であれば彼の行動パターンと実施の期日を教えてください。前払いで料金を頂いたら実行します」


 エリスは頷いた。契約が済んでアカリが戻った後でエヴァンがたずねる。


「本当に殺すのか? 殺人以外の手段があるような気がしたが」


 ミキは首を振った。


「多分エリスは嘘を言ってない。一応事前にクロノス社の状態は調べたからね。確かに手術後クロノスは人が変わったようになってる。株買ってたから方針転換はよく覚えてるよ」


「殺されると言うのもか?」


「やりかねないだろうね。実際あの男の邪魔をしている人間は懐柔されて取り込まれるか消されてる。これも手術後の兆候だ」


 エヴァンは反論できなかった。今度はアカリが尋ねる。


「それで、どうやって殺すの?」


「直接乗り込むしかないね。奴のいる本丸……クロノスタワーに」


 その一週間後、クロノスタワーの就業時間終了のチャイムが流れるなか、入り口に一人の男が現れる。


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