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拝啓、終末の僕らへ  作者: 仁乃 戀
第三章
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不慣れな場

 「……はぁ…………」

 「……よっ、と……。 婆ちゃん、これで終わりかー?」

 「ええ、そうね。 お手伝いしてくれてありがとうね。 お陰で思ってたよりも随分早く終わったわ」

 「いーのいーの、俺らがやりたくてやってるんだから!」


 太陽が真上からじりじりと肌を焼く。

 そんな中、僕らが何をしているのかといえば、畑のビニールシート張りだ。


 最初、お婆さんからは庭の雑草取りという仕事が僕らに与えられたのだが、それが予想よりも早く終わってしまったのだ。

 それで、お婆さんから家の中に入ってゆっくりしようという話になったのだが…………。


 「シャッチーがあんな事言わなきゃ今ごろゆっくりしていられたのに……」

 「別にこれくらいいいじゃんかぁ。 人助けだよぅ、人助け」

 「暑くて倒れそうだよ……」

 「体力ねーなー。 運動は大事だぞ?」

 「引きこもりで悪かったな……」


 そう、何を思ったのかシャッチーが突然『婆ちゃん、他にやることはないの!? 俺らまだまだいけるよ!?』とか調子に乗って言うものだから、じゃあ折角だし、という流れで手伝いが増えてしまった。

 別に断固拒否するほど嫌ではないのだが、何にせよ日射しが強くて、外にいるだけで汗が止まらないのだ。

 軽い人助けって思えば楽か、と思ってついてきたのが間違いだった……。


 女子はどこに行ったのかって?


 「あ、おかえりー!」

 「うぇ~、2人とも汗だくじゃん」

 「水も滴るいい男って言うだろ?」

 「「いいから早く汗拭け」」

 「はい……」


 勿論、家で待機だ。

 人数の都合上、僕らの班は女子が4人、男子2人という分け方になってしまったから、僕らは2人だけで作業をしていたのだ。

 男子からしたら合法的にハーレムのような状況が出来るし、その中に明梨が混ざっていることから当たり班などと呼ばれていた。

 僕は、女子が多いとかは全く見てなかったのだが……。


 「私はお昼ご飯作るわね。 ゆっくりしてて」


 そうして僕らは地べたに座って待つことにした。


 僕はこういうとき、何を話したらいいのかが分からなくていつも黙り込んでしまう。

 何か会話があったとしても、上手く混ざることができずに逆に浮いてしまう。

 この状況は苦手だ。


 そして、予想通り沈黙が漂う。

 うまく明梨やシャッチーが繋いで、僕は適当に相づちでも打っておけばいいか。

 気に病むことでもないか……。


 「ねえ、友潟君ってさ」

 「え!?」


 絶対にこないと信じ切って外を眺めていたら、僕の名前が出たのが聞こえて振り返る。

 誰が呼んだのかと思えば、明梨でもシャッチーでもなかった。

 相変わらず名前は覚えていないが、どんな人かはわかる。

 クラス内ではかなり上位に入るくらい男子から人気を得ている人だ。

 女子からも人気があるが、対立しているグループもあるみたいで、時々口喧嘩をしているところも見るから、僕は勝手に警戒している。


 「そんなに警戒する?」


 僕の反応にやはり思うところがあったのか、彼女は苦笑して聞く。


 「い、いや。 僕の名前が出てくると思ってなかったからさ……。 どうしたの?」

 「そんなに畏まらなくてもいいのに~。 それで、友潟君ってさ、なんで昨日のカラオケ大会出たの?」

 「なんで、かぁ……」


 チラッと僕の正面に座る明梨に目をやる。

 明梨たちと一緒にやる話が出ていたからって正直に言ってもいいのだろうか……?

 まあ、明梨自身は元々出る気がなかったみたいだけど……。


 すると、僕の視線に反応した明梨が小さく頷く。

 ……ということは、別に言っていいのだろう。


 「実は、明梨とか他クラスの人たちと一緒に出ようって話になって……」

 「あっ」


 僕が答え始めた瞬間、明梨が小さく声を漏らしたのが聞こえた。

 その声はここにいる全員の耳に届いたようで、明梨の方に視線が向く。

 それに対して明梨ははっとした顔をして口に手を当てる。


 ……隣で顔を赤くしてもじもじしているシャッチーには後で制裁を下しておこうか……。

 っていうか、あれ……?

 心なしか明梨の視線が痛いんだけど…………言わないで欲しかったやつ……?


 「2人ともな~んか仲良いよね~? これは、この宿泊行事中に関係を調べておく必要があるかなぁ?」

 「私もちょっと気になる~!」

 「お、俺も……」

 「シャッチーは動機が不純そうだからダメ」

 「なんでだよ!!」


 シャッチーが出てきてくれたおかげでとりあえずこの場では流れたが、後で質問責めに遭いそうだ……。

 そして、さっきから明梨が僕から目を離さないことに対して僕は自然と身構えてしまうのだった。

いつも読んでくださりありがとうございます!


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