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拝啓、終末の僕らへ  作者: 仁乃 戀
第三章
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参加交渉

 エレベーターを使ってロビーに向かう。

 エレベーターに向かうときに扉の開いている部屋の様子をいくつか確認したが、部屋の中でゆっくりしている人は数人。

 部屋の並びはクラスごとになっていて、男女でフロアが分かれているから把握しやすいが、M組の男子の大半はどこかに行っているみたいだ。

 ただ、まだ夕食を取るのには早い。

 風呂に関してもまだ指示は出ていない。


 だとしたら、どこに行ったのだろうか?

 外出禁止とは言われていないが、どんなにここが豪華であろうと外は田舎そのものだ。

 外に出ても、目につくのは森と小さめの湖だけだ。

 散歩くらいならわかるが、外で遊びたいと思う人はまあいないだろう。


 ……別に僕が気にすることはないか。




 「お待たせ。 何かあった?」

 「ううん、特にこれといってやる事はないけど、部屋にいてもやることないし、お喋りでもしたいなって思って誘ったの」


 そこには明梨と玲、それに石島もいた。

 さっき一緒にいたとはいえ、さらりとこの輪に溶け込んでいる彼に気付く。

 すると、その視線に気付いた彼が慌てて声を発する。


 「ああ、ごめんごめん。 僕も暇だったからさ、ご一緒させてもらっていい?」

 「いや、いつものメンバーに1人加わってて少し驚いただけで、別に敵対視してるわけでもないし、何も問題はないよ」

 「なら良かった。 今度からは優って呼んでもいいかな?」

 「なら、僕も充って呼ぶようにすればいいか?」

 「うん。 是非そうしてくれ」


 気が付けば会話が良いテンポで繋がっている。

 これも彼の魅力のひとつだろう。

 相手の懐にうまく入ってきて、不快な思いを与えない。

 彼自身は全く意図していないだろうが、立派なスキルだ。


 「そういえば、明梨。 今日の夜の話、どうする?」


 少し雑談を交えたあと、ふと思い出したことを口にする。


 「あ~、そのことなんだけど……」


 少し躊躇って視線を泳がせた後、少し申し訳なさそうにして言う。


 「優に出て欲しいんだよね……」

 「え……僕に?」


 まさかのお願いに動揺する。

 歌うのは嫌いじゃない。

 むしろどちらかといえは好きな方だが、カラオケ大会はまた違う話になってくる。

 目立つのは嫌いだ。

 この宿泊行事に来ているのは後半クラスだけだが、それでもかなりの人数になる。

 それで人前に立って歌うのは流石に厳しいものがある。


 「…………んー、いや、カラオケ自体は問題ないんだけど、流石に大勢の前で歌うのはちょっと……」

 「だよねぇ~~………………」


 そう言って彼女は肩を落とす。

 彼女のそういう姿を見るとちょっとばかり心が傷むが、だからといってやるというわけにもな……。


 「第一、まだやりたい人が出てくるんじゃないのか? 結論を急いだってどうしようもないと思うんだが」

 「でも、うちのクラスから出るような人居たっけ……?」

 「…………まぁ……ね……」


 言われてみれば、最初のクラスの委員決めとかを思い出してもそんな人はいなかったし、たしかこのクラスには音楽部が一人もいなかったんだよな。

 そう考えれば、他の人が立候補するようなことはほとんどないと断言できる。


 「因みに、私たちは参加するよ?」


 そう言ったのは玲だ。


 「ソフトテニス部でカラオケにはよく行くんだけど、なんかカラオケで点数が高かった人を数人出して誰が一番票をもらえるかみたいな賭けをするらしくてさ。 その中に、何故か選ばれちゃったんだよね」

 「恥ずかしながら僕もだ。 だから、仮に優が出るってなったら対決だ」


 なるほど、玲と充は歌が上手いらしい。

 なんでリア充ってやつはこんなにもハイスペックなんだろうな、本当に。

 2人が出るなら、視線は2人に向くだろうし、多少は楽になるだろうが……他のメンバーによっては俺だけ浮く可能性があるんだよな。

 歌ってる間はどうしても見られてしまうし……。


 そう考えていると頭が痛くなってきた。

 まだ時間もあるし、今じゃなくても問題はないだろう。


 「まあ、今じゃなくても大丈夫なんじゃないかな? 他の人が出てくることに期待するよ」

 「うん、確かにそうだね。 また後で先生に確認してみよっか」

 「だね」


 そういう形で話は終わり、4人で晩ご飯を食べる約束をして一度解散となった。

いつも読んでくださりありがとうございます!

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