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拝啓、終末の僕らへ  作者: 仁乃 戀
第二章
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暇潰し

 「日が傾いたら、少し涼しくなったね」

 「そうだな。 外に出ても、太陽に溶かされることはもうなさそうだ」


 目の前の天使様には相変わらず昇天させられそうだけど、と心の中で付け足す。


 買い物を終えた僕らは近くにあったカフェに入った。

 ちなみに、いつも行ってるカフェではなく、たまたま見つけたパンケーキのカフェだ。

 横浜にあることは知らなかったが、これもかなりの人気店で、名前を聞いたことのない人は少ないだろう。


 ホイップクリームが山のようにそびえ立ち、周りにはバナナが散りばめられたバナナホイップパンケーキを崩さないように食べながら、ゆっくりと時間を過ごしていた。


 「思えばあっという間だったな~。 最近暇してたからさ、今日だけなんか異世界に召喚されたみたいだよ」

 「そういえば、明梨は夏休みが始まって数日間何してたの? 友達と出掛けたりしてなかったのか?」

 「それがさ、玲みたいに部活が忙しいだのなんだのでみんな空いてないんだよね。 だから、私は早いうちに宿題進めておこうって思って、勉強してたよ」

 「料理部って活動ないの?」

 「ん~、あるっちゃあるんだけどね、活動というか、遊びみたいな?」

 「それはどういう……」

 「あはは、そんな反応になるよね。 なんか、先生も含めて合宿に行くみたいなんだけど、合宿というか旅行みたいな感じなんだよね。 バーベキューやったりとか、そういうのを色々やるみたい」

 「なんだよそのホワイト企業……」


 部活というよりかはサークルに近い何かを感じる。

 部活の合宿って、運動部だったら死ぬほど走らされたり、えげつない量練習したり…………とにかく生活の全てがトレーニング、みたいな感覚だと思っている。

 まあ、ただの偏見だけど。

 それにしても、文化部で合宿、もとい旅行に行けるなんて羨ましい限りだ。


 「その反応を見ると、優も部活はないけど旅行とかも何もない、って感じだね」

 「正解。 まあ、人と関わるのが苦手だからあんまり関わりを持たなくていい部活にしたんだし、正直文芸部を選んで良かったよ」

 「人と関わるのが苦手って言っても、私と玲は友達というか、親友でしょ?」


 どうやら、親友として認識してくれているみたいで内心かなり嬉しく思った。

 明梨じゃなかったらきっと上っ面だけで中身がない言葉だと捉えていただろう。


 「まあ、なんていうか、2人は特別話しやすいからな。 まだまだクラスには馴染めてないし、宿泊行事ではどうしたものか……」

 「優だってクラスのみんなに普通に話しかければいいのに」

 「それができたら苦労はしないんだがな……」


 もしかしたら、僕は本当は友達をあまり必要としない人間なのかもしれない。

 人間っていうのは周りに流される生き物だから、大半の人が友達作りに励んでいる中、1人だけ孤立しているというのはおかしな話だ。

 だから、表面上はそれに合わせて友達作りに努力している振りをして、心の中では1人に満足していたんだろう。

 それゆえ、僕は友達が少なくても最近は何ら気にしていない。


 そう考えると僕っていうのは本当は冷めた人間なんだな、と思う。

 社会に出てから苦労しそうだ…………。


 「交流を深めるためにも宿泊行事があるんだろうし、優もそこで友達たくさん作っちゃえばいいんだよ!」

 「そんなに簡単に行くかな? って言いたいところだけど、実際僕の塞ぎ込んでるような態度も話しかけづらかったりするのか。 なら頑張らないとな」

 「そうだよ。 私だって、優はこんなにいい人だって知ってもらいたいし。 みんな知らないだけなんだから」

 「そんなもんなのか…………?」

 「そんなもんなんです!」


 言い切って、彼女は外を眺める。

 まだ多少明るかったが、空はうっすらと橙に色付いていた。


 「そろそろ日の入か」

 「そうみたいだね。 もうそろそろ帰る?」

 「そうだね……。 明梨もここは近くないだろ?」

 「確かに、いい時間だよね。 ねえ、帰る前にあの観覧車乗ろうよ」

 「えっ?」


 突然の明梨の誘いに驚いてしまった。

 僕が誘う必要はなかったようだ。

 日の入が見れるちょうどいいタイミング。

 僕はこの時間を狙ってすぐ近くにある観覧車に乗ろうと言うつもりだったが、まさか明梨の方から誘ってくるとは……。

 ……ないとは思っていても、少し意識してしまう。


 「わかった、乗ろうか。 ちょっと混んでそうだけどね」

 「ちょっとくらい大丈夫だよ。 もう待つのには慣れたしね」


 そう言って、僕らは今日の締めに観覧車に向かうのだった。

いつも読んでくださりありがとうございます!

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