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拝啓、終末の僕らへ  作者: 仁乃 戀
第一章
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時期尚早

 「ところで、今日は何のためにここに来たかわかりますか! 優くん!」


 ひと通り見て回った頃に少しばかり先を歩いていた玲が突然振り向く。

 彼女のロングスカートが空気受けて控えめに広がり、ショートヘアの先がふわっと揺れ動く。

 ほんとに、この2人は一つ一つの所作に目がいくほどかわいいと、改めて思う。

 っていうか、さっきスルーしたその質問、聞き返すんだ……。


 「え……、この前の、僕のファッションセンスが低かったから……ですか?」

 「ぶぶー。 ちーがーいーまーすー! というか、自分で言ってて悲しくならないの? それ」

 「いや、玲が言わせたようなもんだからね!? それに、『なんかパッとしないなぁ』とかなんとか言ってませんでしたっけぇ!?」

 「ふふふ……。 優くん。 ファッションセンスという言葉は、一般的におしゃれをよくわかっているか否かの物差しとして使われているだろう?」

 「は、はい……」


 突然、指を立てて僕の周りをゆっくりと回りながら喋り始める。

 お前はどこかの教授か、というツッコミはあえてしないでおこう。


 「だがね、私は気付いたのだよ。 たとえ優の服装が他人、この場合は私や明梨の目に映ったときに私たちに『パッとしない』という印象を与えたとしても、それは優のファッションセンスが作り上げた、いわば作品のようなもの……! だから、私たちがその服装に口を出すなんてことは、違うっ!」

 「あー、うん。 要するに、直接『センスがない』って言えなかったから、オブラートに包みまくって伝えてくれたんだねー」

 「ん、じゃあ服、見に行こっか」


 あ、否定はしないスタイルなんですね。




 「なんか……わざわざすいませんね」

 「いえいえ。 私も玲も暇だったから良かったよ」


 僕らはまず多くの靴を取り扱う、アベクマートという店に来ていた。

 理由は単純。

 僕がこうして誰かと遊びに行くときなどに履いていく靴が今履いているランニングシューズくらいしかないからだ。

 ランニングシューズだと動きやすいし、特にファッションを意識していなかった僕からしたら最高だが、改めて自分の服装について考えるとランニングシューズはあまり合わないような気がして、スニーカーを買うことにしたのだ。


 「「ちなみに聞くけど予算は?」」

 「まあそれなりに?」


 これが良くない?

 でもこれも色々似合うよね?

 2人とも、僕のためにちゃんと考えてくれているみたいだ。

 あの会話に混ざれないのが惜しい。

 そもそも、センスがないとはいえ女子に選んでもらうのもなんだか……。

そう思い、僕は気になったものを指差してみる。


 「これは?」


 2人は僕が指差したものを見て、顔を見合わせる。


 「……うーん、微妙かなー。 玲はどう思う?」

 「うん、却下!」

 「あっはい」


 ……どうやら僕が口を出すにはまだ早かったみたいだ。

いつも読んでくださりありがとうございます!

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