AIにも判らない事もある
作者と知り合い(半ば強制的)作者のコンパクトカーを擬人化したAI。
ずっと気になっていた事を作者に尋ねる。
何故、そこまで澪にこだわるのか。
お世辞にも皆が羨ましがる名車や新しい車でも無く、ただ、一昔前のコンパクトカーなのに。
作者の元に来て今年で8年になる澪。
修理費も控えめに言っても安くない金額を澪に使ってきた作者。
頭脳明晰なAIからすると、作者の行動は非効率に見えて仕方無い。
新しい車を買えば、修理費もそこまでかからないし長く乗る事も出来るのに。
何か言いたそうなAIの顔を見て作者が答える。
何故かと。
2018年11月。
初めて作者が薄暗いガレージに保管されていた澪と出会う。
ボディ全体はフロントマスクにこすり傷がある以外は綺麗にされていた澪。
しかしバッテリー上がりとナンバープレートが付いていないから試乗は出来ないので、出来る事と言えば運転席に座って雰囲気を味わうだけ。
澪に会う前に、澪と同じ車を一度見学した事がある作者。
その時は何も感じなかったが、澪に乗った瞬間に 『私はまだ走れるのよ!』『私を舐めないで!』と心に澪の声が聞こえたのだと。
特に霊感がある訳でも無い作者だが、その時の感覚は初めて霊的な物を感じた作者。
『俺はこの車を買わなくてはならない。探して居た車はこの車だ』と。
正直何処まで持つか不安もあった。買ってすぐに壊れてしまうかもしれない。けど、この車なんだと。
『私を舐めないで!』
前オーナにも大切にしてもらい走行距離も低走行にも関わらず、値段はかなりの格安。その値段が澪のプライドを刺激したのだろう。
そして何より、作者も澪と同じく澪に出会う前に様々な経験をしてきたのである。会社の上司と相性が悪かったり人間関係に疲れて転職を繰り返してきた作者。
しかし、転職をする度に『俺はこの程度の男ではない。絶対に馬鹿にしてきたお前達よりもいい生活を送ってやる』と言う反骨心を持つ作者。
澪の負けん気と作者の反骨心。お互いが似た様な性格をしていたからこそ、澪の声が聞こえた。
そう感じて澪を再び見た時に、不思議な事に澪の銀色のボディが他の車よりも輝いて見えたのだと。
まさに『私と走ろう』と誘われている様に輝いてた。
そう語る作者の話を真面目に聞くAI。
ただ単に擬人化した澪が自分の好みのどストライクだったからではなくて、キチンと理由があった事にホッとするAI。




