81. 本当の気持ち 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
私がまだ言葉を探しているうちに、真紀が先に口を開いた。
「当直明けで倒れそうだったから」
場が二秒、静まり返った。
真紀は続けた。声の調子は変わらなかった。
「通路で寝落ちされても困るし、戻ってきてベッドに登る途中で落ちられても面倒だから、中に入れた」
ジェスが目を細めた。
「……それだけ?」
「それだけ」
「あなたが先に星野のベッドで待ってたわけ?」
「あの人、まだぼうっとしてたから」真紀は無表情で言った。「私が先に入っておかなかったら、たぶんその場で人生について十分くらい考え込んでた」
Dが横で、ごく小さく、ごく性格の悪い「おー」を漏らした。
私は即座に睨んだ。
「その『おー』、いらないから」
「いや」Dは胸に手を当て、やけに学術的な顔をした。「今の九島の発言のポイントは『一緒に寝た』じゃなくて、『発想停止の時間まで計算に入れてた』ってことだと思う。この観察、深いぞ」
「黙れ」私は言った。
「私も黙りたいんだけど」ジェスが言った。「今はちょっと難しい」
彼女は私を見つめ、目がだんだん輝いてきた。
「で、昨夜は本当に、毛布かぶってただ話してただけ?」
一瞬、言葉が詰まった。
だって、本当にそうだったから。
問題は、こういう台詞を当事者本人の口から言えば言うほど、逆に怪しく見えるということだった。
咳払いを一つして、できるだけ無実に見えるよう努めた。
「……そう」
ジェスはすぐさまDを向いた。
「記録して」
「記録済み」Dは真顔で頷いた。「重要証言、『毛布かぶってただ話してただけ』」
蘭がベッドフレームにもたれ、冷たい声を飛ばした。
「公式っぽく言えば言うほど、怪しいわね」
ロイは今度こそ堪えきれず、俯いて小さく笑った。
アカリだけが、一番冷静だった。
私を見て、真紀を見て、何かの結論を出すような顔をした。
「リスク管理の観点から言えば、夜間当直後に単独で意識を失うのを避けるのは、確かに合理的」
私は目を輝かせた。
「ほら、アカリはわかってくれる——」
「ただし、集団の見え方という点では」彼女は容赦なく後半を続けた。「非常に危険」
……うん、ありがとう。まったく助けになっていない。
ジェスの笑顔が、さらに悪くなった。
「聞いた? 集団の見え方、非常に危険だって」
私は枕を抱えながら、ここで自分を窒息させて生まれ変われないかと本気で考え始めた。
そこへ、最も致命的な一刀が飛んできた。
アイダだった。
ちょうど外から戻ってきたところで、端末と引き継ぎボードを手に持っていた。部屋に入ると、まずベッドの周りの野次馬たちをぐるりと見回し、それから私と真紀のベッドの状況を一瞥した。眉一つ動かさず、ただ淡々と訊いた。
「で、開廷したの?」
ジェスがすかさず振り向いた。
「先輩、ちょうどいいところに」
「よくない」アイダはボードをテーブルに置き、軍用携行食を切り分けるような口調で言った。「これ以上十分もここでぐだぐだやってたら、朝食の時間が潰れる」
この一言は、どんな理性的説得よりも効いた。
八人部屋の全員が、雪風の朝食を逃すのは天罰に等しいと知っていたからだ。
ジェスは名残惜しそうな顔をした。
「でも、まだ訊きたいことがたくさんあるのに」
「朝食のときに続き」アイダが言った。
「もしあの二人が逃げたら?」
「食べながら尋問すればいい」Dがすかさず提案した。
「この提案、優秀ね」ジェスが真面目に頷いた。
ベッドから転がり落ちて、まずDを一人潰しておこうか本気で考えた。
みんなが散ろうとしたそのとき、真紀がふいに一言付け加えた。
「昨夜、入れたのは私」
全員の足が止まった。
彼女はベッドの縁に腰掛け、声の調子は変わらないまま、まっすぐな目だけを向けた。
「文句があるなら、私に言いなさい」
その一瞬、八人部屋が本当に静まり返った。
この一言の破壊力は、「一緒に寝ただけ」という弁解とは、まるで次元が違っていた。
横を向いて、真紀を見た。心臓が一拍、みっともなく変な跳ね方をした。
……いや、九島真紀。
あなた、こういう場面でこういうことを言うと、事態がどうなるかわかってる?
ジェスは口を開きかけたが、最初に出てきたのは追撃ではなく、間延びした一音だった。
「お〜」
その「お〜」は、とても長く、とても意地が悪く、そして殴りたくなるほど楽しそうだった。
Dはついに顔をそらした。もう人間らしい表情を保てていなかった。
結局この朝の審判は、アイダの「五分以内に部屋を出なかったら、今日の食器洗い当番に私が直接登録する」という一言で、かろうじて一時休廷となった。
終わったわけではない。
ただの休憩だ。
わかっていた。
この面子が、私を見逃すはずがない。
とりわけ、私と真紀が同じベッドから起きてきたという事実を、見逃すはずがなかった。
そして事実は、私の人間観察が、心底嫌になるほど正確だったことを証明した。
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朝食の時間、雪風の食堂はいつも通り、「艦上日常」という四文字を最も実務的な形で食卓に並べた。
今日は昨日のような初乗艦の感動フィルターはもうない。それでも、白飯がちゃんと熱く、汁物がちゃんと飲めて、魚がちゃんと焼いてあるなら、この艦の文明度が大半の軍校食堂を遥かに上回ることを、私は認める用意があった。
問題は、食べ物ではジェスの口を塞げないということだ。
八人で席に着き、私が箸をしっかり持つ前に、彼女はもう話題を卓上に出してきた。
「それで」箸を咥えながら、私と真紀を交互に見て、清々しい顔で言った。「お二人さん、昨夜はよく眠れました?」
「眠れなかった」秒で答えた。
「あら?」彼女は性格の悪い笑い方をした。「狭すぎたから? それとも、刺激的すぎたから?」
「朝っぱらから床の周りで儀式でもするみたいに囲まれたからよ」私は無表情で言った。
Dが横で頷いた。
「その言い方は公平じゃないな。俺たちのは朝のケアだ」
「現場取材って言うのよ、それ」
「それもケアの一形態だよ」
「黙れ」
ハーヴィーも今日はいて、盆を持って斜め向かいに座った。別の勤務を終えたばかりで少し眠そうだったが、一晩中艦橋で張り詰めていた私よりは、明らかに頭が完全に動いていた。
彼は汁椀を置き、私を一瞥した。
「で、昨夜は本当に真紀のベッド——」
「私のベッド」即座に訂正した。
「おお」彼は頷いた。「それはさらに面白いな」
「なんでさらに面白くなるの?」
「ホームの利があるのはそっちだからな」
その場で米粒を詰まらせた。
ロイが良心的に水杯をこちらへ少し押しやってくれた。蘭は汁を飲みながら、冷たく補足した。
「早く食べたほうがいい。ジェスならこの話題で昼まで持たせるから」
「昼なんて控えめすぎる」ジェスが言った。「この実習が終わるまで持たせるつもりよ」
「あんた、完全に他人の社会的な死の上に自分の幸せを築いてるわね」私は睨んだ。
「そうよ」彼女はあっさり認めた。「じゃなきゃ、幸せなんてどこから来るの?」
アカリは隣で、漬物を種類ごとに理路整然と分類していた。私たちのテーブルの惨状とは無縁のような顔だった。
それでも、彼女は静かに口を開いた。
「結果だけ見れば、今日のあなたの状態は、私の予想よりずっと安定してる」
「ありがとう」私は言った。「その言葉、半分は褒め言葉に聞こえる」
「残り半分は観察」彼女は言った。
「わかってる。この艦の人間、みんな観察が大好きよね」
エヴリンはアイダの隣に座り、今日はいつもより柔らかく笑っていた。
これは危険だった。
彼女がこういう笑い方をするときは、大抵、誰かが自分で落とし穴に入っていくのを見物しているときだ。
「星野さん」彼女は汁を軽くかき混ぜながら言った。「昨夜の艦橋、大変だったでしょう?」
「大変だった」即座に頷いた。
「じゃあ、真紀が一緒に戻ってきて寝てくれたのは、確かに優しいことね」
箸が震え、危うく魚の身を飛ばしそうになった。
「先輩、その言い方、絶対わざとですよね」
「そう?」彼女はまったく悪びれずに笑った。
「非常に」
アイダのほうは比較的現実的だった。私の目の下にまだ残る、寝起きで消えきっていない疲労の色を一瞥し、それから相変わらず腹立たしいほど安定した真紀を見て、淡々と結論を下した。
「少なくとも今朝は、星野が歩きながら寝落ちする心配をしなくていい」
「私、普段からそんなに脆くないでしょ?」すぐに反論した。
真紀がようやく口を開いた。
「昨日はあった」
「いつまで覚えてるつもり?」
「あなたが強がるのをやめるまで」
……くそ。
これが一番腹立たしいところだ。彼女の言い分があまりにも事実に近すぎて、反論するには先に自分の勝算を計算しなければならない。
この朝食は基本的に、「ジェスが火蓋を切り、Dが追撃し、他の面子が状況に応じて薪をくべる」という、実に息の合った連携の中で終わった。
だが不思議なことに、最初から最後まで気まずいだろうと思っていたのに、食べているうちに、ふと気づいた——八人部屋の空気が、初日とは明らかに違っていることに。
みんなが急に仲良くなったわけではない。
そんなことはあり得ない。
ジェスは相変わらず口が悪く、Dは相変わらず余計なことを言い、蘭は相変わらず冷たく、アカリは相変わらず歩く規律みたいで、ロイは相変わらず誰かが揉めそうになると本能的に緩衝材として出てきて、ハーヴィーは相変わらず一言で場を明後日の方向へ引っ張っていく危険な役回りをしている。
問題はそこじゃない。
私たちが、本当に「一緒に住んでいる人間」になり始めていたということだ。
「たまたま同じ八人部屋に詰め込まれた」のではなく、誰が一番に起きるか、誰が最後の一息で食堂に駆け込むか、誰が口が悪いか、誰かが倒れそうなとき誰が黙って手を差し伸べるか、誰が中等部生の盾に一番向いているか、誰が艦橋に立つと普段より怖いか——そういうことを、もう知っている。
そういうものが少しずつ積み上がれば、関係は変わる。
ほんの少しであっても。
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朝食後、私たちはまたそれぞれの昼間の行程に放り込まれた。通路ですれ違いざま、ジェスはわざわざ隙を突いて一言投げかけてきた。
「ねえ、星野」
「何」
彼女は新しいおもちゃを拾った顔で笑った。
「今夜、私が先にベッド温めておこうか?」
手に持っていた端末を叩きつけたくなった。
「死ね」
「わあ、反応大きい」Dが通りすがりに油を注いだ。「固定のベッドパートナーがいる人間の反応だな」
「D、あんた、いつか何かあったとき、私がまず先にあんたを確認しに行くのは、あんたが本当に黙ったかどうか確かめるためだから」
「でも、来るんだろ?」彼は自信満々だった。
「なんで?」
「あなた、根はいい人だから」
「違う」私は冷たく笑った。「あんたが最後まで生き残ったら、今日のことを一生覚えてそうだからよ」
隣で聞いていた真紀が、ごく軽く鼻を鳴らした。
短くて、関わる気がなさそうな音だった。でも今の私にはわかる。彼女は関わる気がないんじゃない。こっそり笑っているのだ。
……くそ。
彼女がこういうことをし始めた。本当に、危険だ。
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