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離婚できないなんて…  作者: マーたん


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第一章:終わらない結婚

本作「離婚できない男」を読んでいただきありがとうございます。


この物語は、壊れているのに終わらない結婚をテーマにした作品です。

愛が冷めたあとも続く関係、そして“離れられない理由”。


誰にでも起こり得る現実を、少しだけ過激に、少しだけ深く描いていきます。


どうぞ最後までお付き合いください。

第一章:終わらない結婚


 結婚は、人生の墓場だ――なんて言葉を、昔は笑っていた。


 けれど今の俺は、その意味を痛いほど理解している。


 玄関のドアを開けた瞬間、空気が変わる。


「……遅い」


 低い声が、リビングから飛んできた。


 靴を脱ぐ手が止まる。


 時計を見ると、まだ21時を少し回った程度だ。


「仕事だよ。残業」


「嘘でしょ」


 即答だった。


 リビングに入ると、ソファに座る妻――美咲がこちらを睨んでいた。


「どうせまた、誰かと会ってたんでしょ」


「なんでそうなるんだよ」


「顔に書いてある」


 意味が分からない。


 だが、否定しても無駄だと知っている。


 この会話は、いつも同じ終わり方をする。


 疑われて、否定して、さらに疑われる。


 終わらないループ。


「もういいだろ……疲れてるんだ」


 ネクタイを外しながら言うと、美咲は鼻で笑った。


「疲れてるのはこっちよ」


「……何がだよ」


「この生活全部」


 言葉が詰まる。


 何を言っても、火に油を注ぐだけだ。


 分かっているのに、止められない。


「だったら――」


 言いかけて、やめた。


 その先は、何度も頭の中で繰り返してきた言葉。


 “じゃあ別れよう”


 でも、それは言えない。


 言えない理由がある。


 それを知っているのは、俺と美咲だけだ。


「……何?」


 美咲がじっとこちらを見る。


 言えないと分かっているのに、言葉が喉元まで出てくる。


 でも――


「……なんでもない」


 結局、飲み込んだ。


 それが、この結婚のすべてだった。


 * * *


 風呂に入りながら、俺は天井を見つめていた。


 水の音だけが響く。


(なんで、こうなった)


 昔は違った。


 笑っていたし、ちゃんと好きだった。


 少なくとも、あの頃は。


 ――結婚式の日。


 白いドレス姿の美咲は、確かに綺麗だった。


 幸せだと思った。


 これから先も、ずっと続くと信じていた。


 でも現実は違う。


 気づけば、会話は減り、疑いが増え、

 いつの間にか「一緒にいる理由」だけが残った。


 そして何より――


(離婚できない)


 その事実が、すべてを縛っていた。


 法的な問題じゃない。


 金でもない。


 もっと厄介で、もっと逃げられない理由。


 それが、俺たちを繋ぎ止めている。


 いや――


 縛りつけている。


 * * *


 風呂から上がると、リビングは静まり返っていた。


 美咲の姿はない。


 寝室のドアは閉まっている。


 いつものことだ。


 会話は、途中で終わる。


 関係も、ずっと途中のまま。


 テーブルの上に、スマホを置く。


 画面が光る。


 知らない番号からのメッセージ。


 《久しぶり。覚えてる?》


 その一文に、心臓が跳ねた。


 指が止まる。


 嫌な予感しかしない。


 でも――


 どこかで、期待している自分もいた。


 《……誰だ》


 返信してしまう。


 数秒後。


 すぐに返ってきた。


 《やっぱり忘れてるんだ》


 その後に続いた名前を見て、俺は凍りついた。


 ――あいつかよ。


 過去が、また動き出す。

第一章を読んでくださりありがとうございます。


この物語はここから、

「なぜ離婚できないのか」

「過去の人物の再登場」

「壊れた関係の行き着く先」

を軸に展開していきます。


恋愛とは違う、“逃げられない関係”の重さを描いていきますので、

続きもぜひ読んでいただけると嬉しいです。

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