表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強のホラゲー配信者がゲーム世界に転生したら、全く怖くない。  作者: てんてんこ
第3章 夕陽新町

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/64

第45話 彼女は選別しました

「持って行くのは、嵩張らない、長持ちする、簡単に食べられるものがいいだろうな」


「お菓子は……うーん、期限は長いけど……」


 佳子と克也が、食糧を仕分けている。


 テーブルの上には、今3人が持っている食糧、この家で見つけた食糧、その両方が広げられていた。


「ジャガイモか……これは?」


「ええっと……茜さんが、将来的にはあったほうがいいかもって……」


「ううん……」


 ジャガイモは、とりあえず空きのあった佳子のリュックサックに詰めただけだ。


 他に有用なものがあれば、入れ替えるのもやぶさかではない。


「あー……茜さん? ジャガイモは、持っていった方がいいか?」


「……必須じゃない。……余裕があれば」


「分かった。なら、とりあえず保留だ。レトルトはいいとして、缶詰も……重いが、長持ちはするからなぁ」


 克也は、自主的にそのあたりの仕分けを手伝ってくれていた。


 正直、佳子は全くあてにできないため、これは助かる。


 自分で考えなくてもいい、というのは、こうも楽なものなのか。


「マヨネーズ……? いや、カロリー源として考えると確かに……」


「ポテトサラダが作れますね!」


「そうだな」


 2人が食糧を吟味している隣で、茜は装備を確認している。


 茜達が持っているのは、アウトドア用の調理器具一式。消耗品として、ウェットティッシュ、カセットガス缶。その他、石けん、タオル、下着、靴下。回復材である包帯、消毒液、解熱剤。さきほど手に入れた、花火一式とライター、トレッキングポール。


 これらと食糧、ペットボトルだけで、大型リュックサックはほぼ埋まっている。


 最後に、綿シュラフ。これがないと、夜に風邪を引いてしまう。


「…………」


 シュラフは最悪、1つあればいい。茜と佳子が一緒に入れるだけの大きさはあるからだ。


 だが、そこまで重いものではないため、できれば持っていきたい。


「調味料も、できればもっていきたいな。味変はストレス軽減になる」


「そうなんですねぇ」


 軍手は、細かな怪我から手を保護するのに役立つだろう。


 ゲーム内では描写は無かったが、僅かな傷でも破傷風などの危険がある。


 怪我をしないよう、できれば全身を覆いたいところだ。


 幸い、見つけた軍手は作業用のしっかりした作りのもので、使い捨ての安っぽいそれとは安心感が違う。


「そういえば、茜さんの料理ってすごい美味しいんですよ! 時間があれば、今日もつくってもらいたいなぁ」


「そうか……」


「……夜、作るから」


「わ、本当!? 楽しみだな~」


 ――佳子は、本当に明るい。言動が前向きだ。


 茜はそのことに、安堵していた。


 鞄君――克也は、仲間にしてもあまり喋らないし、ネガティブな発言が多いキャラクターだ。

 実際、ゲームキャラクターとしてはあまり人気が無かった。


 早々に退場するにもかかわらず大変な人気を誇っていた佳子とは、大きく違う。


 もちろん、あまりにも早すぎる退場ゆえに、解釈の幅が非常に広かった佳子の2次創作が盛況だった、という事情もあるのだが。


 茜は、会話を続ける2人を眺める。


 ゲーム本編では、絶対に実現しなかった組み合わせだ。


 これを眺めることができる、というだけで、茜は内心、感動していた。


 ゲームシナリオ上、絶対に実現不可能だった組み合わせが、ここに誕生しているのだ。


 『ZOMBIE - ゾンビ』最大最高のファン(自認)としては、これほど嬉しいことはない。


「……とりあえず、荷物は整理するけど。これから、移動するのか?」


 そうして仕分けをしつつ、ふと、といった様子で、克也がそう尋ねた。


「ええと……茜さん、移動するんだよね?」


「…………」


 2人に聞かれ。


 茜は、少し首を傾げて考え込んだ。


 ゲーム的には、時間に余裕があれば移動した方が良い。


 少しでも前に進んでおけば、時短に直結するからだ。


 だが、いかな茜とて、現状は正しく認識している。


 現実世界で、それほど急ぐ理由はないのだ。


 正確には、ある一定の日数を超えなければ、別に道草を食っても問題ない。


 まあ、とはいえ。


「……できれば。……ええと……。……この家は、安全なのは間違いないんですが、物資も少ないですし、あまり滞在するメリットがないですね。全員、体調も万全ですし、移動できるときに移動しておく。これが鉄則です」


「そ、そうか……」


 寡黙な少女が、急にすらすらしゃべり出す。しかも、微妙に会話になっていない。


 そんな違和感に若干引きながら、克也は頷いた。


 納得したかどうかは、まあ、どうでもいいだろう。


 茜は、別に気にしないのだから。


「茜さん、この辺を持っていこうと思うんだけどどうかな?」


「…………」


 佳子に呼ばれた茜は、ソファから立ち上がると、テーブルの上に広げられた食糧を眺めた。


 端に寄せてあるのは、開封済みであったり、賞味期限が切れているもの。


 真ん中には、ペットボトル飲料とレトルト食品、乾麺や乾物類、そして缶詰。


 反対側に、袋菓子などかさばるもの、ジャガイモなどの野菜。


 ひとまず、食べられないものは不要だ。


 真ん中のものを詰め、空きに菓子類、可能ならジャガイモも入れれば良いだろう。


「ここからここまでを佳子ちゃん、こっちは克也君で」


「ああ……」


「分かった!」


 茜の『指示』に、2人は素直に頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ