〝愛して、なんて。〟
十五歳のわたしからすれば、愛してなんて、口にした瞬間から壊れていく関係のために生きているわたしのことが嫌になるんだろうね。
でもどうしようもないんだよ。
初恋がレモンの味だと信じているあなたと、タバコの味がする恋が最後にはならないと知ってしまったわたしでは、どうしたってわかりあえない。
ロマンティックを卒業したつもりで、オゾン層よりも強くて薄いベールで守られ続けていることにあなたが気づく頃には、もう少しだけわたしのことを理解してくれるはずで。
あなたがいまわたしに幻滅するのは、十五歳のわたしが見た憧れがハリボテだったって知って、わたしがどれだけ傷ついたかをあなたがまだ知らないから。
夜景が綺麗に見えるほど、汚くなっていく心。キラキラと眩しい世界の裏では、どうにもならない欲望がまるでハイエナのように息を潜めて、あなたが罠にかかって死んでいくのを待っている。
だから依存する。誰かに。打算でもいいから、わたしを守ってくれそうな誰かに。
愛して、なんて。口にした瞬間に壊れてしまう関係の中でしか、わたしはもうわたしを守れなくて。
だからわかってる。
十五歳のわたしからすれば、わたしは汚い大人。あなたが泣いて罵って、髪を引きちぎるくらい引っ張り続けても許せない大人だってことくらい。
そんなこと十分、わかってるんだ。




