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〝怪獣讃歌〟
ある日突然
怪獣がやってきて
世界を壊してくれるなら
僕は簡単に
キミに好きを伝えられるのにな
白くのぼった息が
街をさらっていく
眠気をさそう風が
キミの窓を蹴破ろうとしていた
ああ、いまこの瞬間
怪獣がやってきて
世界を壊してくれるなら
僕は簡単に
キミに好きを伝えられるのにな
キミ以外の誰に
嫌われてもいいから
キミに好きになって欲しかった
臆病な僕にとって
ユーフォーでさえ
やってこないこの世界では
たった二文字の言葉が
命よりも重いんだよ
キミが好きなのに
誰よりも好きなのに
言葉にできないもどかしさ
張り裂けそうな胸と
はっきりしない心とが
期待しているんだ
世界の滅亡を
キミ以外の誰に
嫌われてもいいから
キミに好きになって欲しかった
臆病な僕にとって
リセットできずに
続いていくこの世界では
たった二文字の言葉が
殺してしまうんだ、僕を
ある日突然
怪獣がやってきて
世界をリセットしてくれるなら
僕は今度こそ
キミに好きを伝えられるのにな




