〝つまらないわけじゃないけれど〟
空を流れる飛行機が
雲で虹を描くように
わたしはシャーペンを踊らせて
ノートの上に夢を描いた
4月の朝
徹夜明けのわたしの身体に
春風が優しく吹き抜けていった
授業の始まりを告げる
わずらわしいチャイムの音で
目を覚ましたわたしは
机の中から教科書とノートを取り出した
眠気をいざなう先生のはなしを
真面目に聞くフリをしながら
わたしはシャーペンを踊らせて
ノートの上に夢を描いた
4月の午後
青空が照らすわたしのほおに
カーテンがひらひらと舞っていた
つまらないわけじゃないけれど
それより大事なものがあるだけ
描いた夢が踊る
ノートの上には
虹のような光が
春風のように優しく笑っていた
きれいなトランペットの旋律が
どこか物悲しく響く
だれもいない教室で
わたしはシャーペンを踊らせて
ノートの上に夢を描いた
4月の放課後
グラウンドから聞こえる
夢にはげむ声に
わたしの口元がほころんでいた
つまらないわけじゃないけれど
それより大事なものがあるだけ
描いた夢が踊る
ノートの上には
虹のような光が
春風のように優しく笑っていた
月がまどろみ始めた真夜中
窓から届くうすい星あかりの下で
わたしはシャーペンを踊らせて
ノートの上に夢を描いた
4月の夜
描いた夢が踊る
ノートの上には
虹のような光が
春風のように優しく笑っていた




