新しい生活に愛が生まれた
光さんが防犯カメラ室から出て、司書室を経て、図書館内に出ていった。
すると何か妙な視線を感じて、光さんについていくと、黒いマスクとサングラスをかけた男性の方へと向かっていく。
その男はスマホを片手に、光さんが向かってくる事に動揺したのか、逃げだそうとした。
「ちょっと待ちなさい」
すると男は立ち止まった。
背中には防犯カメラに写っていた8の数字が描かれていた。
僕も心配だから光さんについていく。
「光さーん」
僕がかけていくと、光さんは待ってと言う合図か?僕をその手のひらで、止めるように手を差し伸べた。
「ねえ、あなた、私達が襲われた時の映像を撮っていたでしょ」
「ああ、撮っていたけれど」
「そのむさ苦しいマスクとサングラスを取ってくれるかしら?」
すると、男はそのマスクとサングラスを取った。
顔は整っていて、結構な美形だった。
「あなたに力を貸して欲しいんだけど」
「俺に力を、あなたに」
「あなた一年前から私の事をつけ回していたでしょ。それってストーカーよ、ここで私があなたを訴えれば、あなたは捕まるわ」
「それは困るよ」
「だったら力を貸して、私達が襲われそうになった時の動画を法廷でかたってくれないかしら?その動画が何よりも証拠になるわ。
それとその動画を私達に見せてくれないかしら?」
男はスマホを操作して、あの時菜々子さんと光さんが子女暴行を受けているシーンが映し出されていた。
「良かったら、このスマホ、私達に貸してくれないかしら?」
男はコクリと頷いた。
それは証拠になった。
数日後、いくら市議会委員の息子だからと言って、その動かぬ証拠には隠蔽の余地などない。
小柳は逮捕され、僕の前科はなくなった。
ストーカーに助けられるなんて滑稽だと思ったが、僕達は動かぬ真実を見つけだし、再び、いつもの日常を手にした。
でも僕は妹には愛されているが、父親も母親も僕の事を愛してはいなかった事に僕は落胆した。
父親は取り締まりの役員の座はなくなることもなくなり、世間も平穏な毎日に戻ったが、僕は両親に愛されていなかった事に僕は落胆していた。
そんな僕を励ましてくれたのが妹の桃子と司書のバイトをしている光さん、それと僕の恋人となっている菜々子さんと英明塾のみんなだった。
それで僕は一人暮らしを決心する事にした。
新聞配達なら学校の許可が下りれば、できると光さんに教わり、僕は新聞配達の仕事をしながら、僕は英明塾の近くのワンルームお風呂とキッチンのついた一月五万円のアパートに住むことになった。
この物件は光さんに紹介して貰った物件だ。
光さんは何でも知っている。
それにこれは余談だが、ストーカー男に光さんは、おでこにキスをしてあげたみたいだ。
それを聞いて僕はショックを受けたが僕には菜々子さんという彼女が入る。
光さんも時々遊びに来るし、桃子もたまに夕飯を作りにやってきたり、菜々子さんも遊び来てくれる。
でも菜々子さんとはまだ、一線を越えた仲ではないんだよな。
菜々子さんは頼べばしてくれる様子だが、僕は菜々子さんを僕は大事にしたい。
まだ菜々子さんと出会って一ヶ月も経っていない。
そんなまだ浅はかな縁ではまだやる気にはなれない。
きっと菜々子さんは処女なんだろうな。
菜々子さんの家の事情を聞くと、母子家庭で、そのことが原因で世間では白い目で見られて、学校でもいじめはないが同情のまなざしを受けるのが嫌になり、学校をいくのを止めて、フリースクール英明塾に通っていると言っている。
それと僕と同じように新聞配達の仕事をして高校生になったら同棲しようと約束をしてしまった。
彼女は同情やかわいそうだと思われるのが嫌みたいだ。
いつも僕の前ではつんつんしているが、笑うと最高にかわいいんだよな。
そして本場の秋である十月になった。
今、僕は新聞配達の仕事をして町をかけずり回っている。
こうして新聞配達の仕事をして生計を立てるのは結構大変だが、僕は幸せだ。
僕は相変わらず、英明に行くにはお金がかかるから、仕事が終わったら、すぐに図書館に行き、光さんの司書のバイトをしている傍らで、僕は勉強をしている。
僕はまだ、中学二年だが、高校は通信制の高校に通おうとしている。
僕が勉強をしていると、菜々子さんが来て、僕と共に勉強をする。
「菜々子さん来たんだ」
「来ちゃ悪い?」
「そんな事はないよ。菜々子さんと勉強をすると捗るんだよね」
「私も同じ、あんたと、いやアツジと勉強していると捗る」
「じゃあ、お互いに頑張ろう」
僕と菜々子さんはこの時だけ、勉強をするライバルになる。
トイレに行きたいが、菜々子さんは闇雲に頑張っている。
そんな菜々子さんに負けたくないのでトイレに行くのを我慢したが限界が来て、僕はトイレに行ってしまった。
これは今朝飲んだコーヒーの尿だ。
僕は朝起きたらコーヒーを飲む週間になっている。
それも三杯も。
さてトイレも済んだことだし、早速菜々子さんが隣で勉強しているところに向かった。
その時、光さんが子供達に紙芝居をしている姿を目撃した。
そんな光さんを見ると、輝いて見える。
何て麗しいのだろう。
子供達は光さんの紙芝居に夢中になって聞いている。
そこで菜々子さんが「何鼻の下延ばして、光さんの方を見るのよ」
「別に鼻の下何て延ばしてないよ」
「あたしの事より光さんを選んで置けば良かったなんて考えていたでしょ」
「そんな事を考えていないよ、僕は・・・」
「僕は・・・?」
「僕は菜々子さん一筋だもん」
「そんな大声で恥ずかしいでしょ」
「ところで、菜々子さんはどうしてここに?」
「あたしもトイレよ、悪いって言わせないでよ」
菜々子さんにチョップを喰らってしまった。
そういって菜々子さんはトイレに向かった。
もしかして菜々子さんもトイレを我慢していたのか?
菜々子さんは僕の恋人でもあり、ライバルでもあるんだよな。
本当におかしな関係だ。
菜々子さんは僕以外の人にそんなツンツンしたりしない。
いつも他の人に対しては、今先頃のコスモスのような綺麗な笑顔を見せてくれる。
何で僕の前ではいつもツンツンしているのだろう?
とにかく、ライバルがトイレに用を済ませて入る間に勉強を進めてしまおう。
本当に図書館では勉強が捗る。
さらに光さんがいて、それにライバル兼恋人の菜々子さんと共に勉強をしているとなお捗る。
勉強もひと段落して僕は大好きなマンガを見ることにした。
菜々子さんも同じようにマンガを読んでいる。
このドラゴン○ールの続きが気になる。
僕は夢中になって読んでいると、菜々子さんが、「ちょっとアツジ、こっちに来て」
「何だろうと思って、ついていくと、図書館の外であり、人目のつかない広間へと連れて行かれた」
「どうしたの菜々子さん。こんな人気のない場所まで僕を連れてきて」
「アツジ、目を閉じて」
僕は言われた通り、目を閉じた。
すると唇に何か生暖かい感触がして、目を開けると、菜々子さんが僕にキスをしていた。
そして菜々子さんは僕から離れた。
初めてのキスだった。
「アツジ、一度しか言わないから聞いて」
「うん」
「あたしはアツジが好きだから、光さんなんかに渡したくない」
「何を言っているの。僕も菜々子さん一筋だよ」
「本当に」
菜々子さんは寂しそうな顔をして僕を見る。
「本当だよ。男に二言はないよ」
「分かった、もしこの契約を裏切ったら、あなたを殺すからね」
菜々子さんから恐ろしい発言が飛び出した。
もし菜々子さんを裏切ったら殺すと彼女は言った。
だから僕も菜々子さんを抱きしめる。
秋の涼しいこの季節に菜々子さんと肌と肌を感じて、僕達は抱き合った。
胸の鼓動が重なりあい、僕も鼓動が破裂しそうな程、高鳴り、それは菜々子さんも同じようだ。




