急変!?
夜の遊具の中で僕と桃子は一緒に雨宿りをして、そこで野宿となった。
雨は冷たいけれど、まだ暖かい季節だ。
今が冷たい真冬じゃなくて良かった。
でも僕達はどこにも行くところなんてない。
桃子まで僕の味方をしてくれて、巻き込んでしまった。
遊具の中で僕と桃子は眠りに入った。
そして夜が明けた。
「桃子、帰った方が良いんじゃないか?今日も学校だろう。しかもお前は委員長で人一倍しっかりしなきゃいけないんじゃないか?」
「お兄ちゃんと一緒じゃなきゃ嫌だ。とりあえず、帰って見ようよ、お父さんもお母さんも気が変わっているかもしれないし」
「僕はいいよ。それよりも桃子は帰りなさい」
「嫌だ、お兄ちゃんと一緒じゃなきゃ嫌だ」
だだをこねるように桃子は言う。
「じゃあ、分かった、一緒に帰ろう」
桃子と共に帰ろうとすると、思い切り顔面を殴られた痛みが疼きだした。
本当に大丈夫なのだろうか、でも桃子は僕と一緒じゃなきゃってだだをこねるし・・・。
渋々だが家に帰っていった。
家の前まで到着して、中に入ろうとすると、父親に思い切り殴られた、痛みが再び疼きだした。
父親も母親も僕のことを本当に愛していないんだ。
小柳に冤罪されて、僕はどうすればいいのか分からなかった。
僕は光さんと菜々子さんを子女暴行のレッテルを貼られている。
「さあ、お兄ちゃん、桃子も一緒に帰るから、行こう」
と桃子は僕の手を取り、家の中へと連れられてしまった。
父親は会社に出かけており、母親が「何しに帰ってきたのよ、アツジ、それに桃子まで道連れにして」
「お母さん、あたしはお兄ちゃんに道連れなんてされてないよ、考えてみてよ、お兄ちゃんがあんな事をすると本気で思っているの?」
「思っているも何もないよ、どうしてアツジ、犯行を認めてしまったの?」
すると今度はあの取調室で警察官の佐原に受けた暴力の痛みが疼きだした。
「そうするしかなかったんだよ。警察官は僕が二人を子女暴行未遂で僕がやったと一点張りで暴力を加えるんだ。僕が認めるまで、その暴力は止まらなかった、あのままじゃあ殺される事になってしまっていたよ」
「殺されれば良かったじゃない。そうしなければ、お父さんは職を失う事もなかったし、世間には色々たたかれて大変なんだから。
もうこのご近所にはすむところはないわよ」
母親は泣く。
母親は言った。僕なんか殺されてしまえば良いのだと。目の前が真っ暗に染まってしまった。
そんな時妹の桃子が「そんな言い方ってひどいと思うよお母さん。お母さんは息子のお兄ちゃんよりも会社や世間の事の方が大事なの?」
「桃子は何も分かっていないからそんな事が言えるのよ!」
とお母さんは泣き出してしまった。
もう僕に居場所なんてないんだ。
そんなのを余所に、桃子は僕の手を引いて、僕の部屋まで連れて行かれた。
「お母さんはあんなだけど、私はお兄ちゃんの味方だから」
そういって、妹は僕の部屋から出ていって、学校へと出かけていった。
もしかしたら僕が子女暴行未遂の兄としてクラス中に広まって、桃子は学校でいじめられていないか心配だった。
僕は部屋の中で、震えていた。
僕の頭の中で、死ね死ね死ねと頭の中身は巡っている。
市議会委員の親父の息子だからって、そんなに偉いのかよ。
それで僕はあんな目に遭って、奴らは笑っている。
滑稽すぎて涙が止まらない。
もうどこにも出かけたくない。もう誰も信用できない。
いや、まだ光さんと菜々子さんがついている。
光さんと菜々子さんならもみ消された真相を解き明かしてくれるかもしれない。
丁度そんな時光さんと菜々子さんが僕の家に来た。
「光さん、菜々子さん、怪我は大丈夫なの?」
「大丈夫よ。それよりあんたは大丈夫なの?」
と菜々子さんは言う。
「まだ少し疼くけれど大丈夫だよ」
そこで光さんが「話は警察から聞いたよ。あなたに冤罪をかけられたみたいだね」
「情けない話だけどそうなんだ。何もかも僕のせいにされたよ」
「とりあえず図書館の防犯ビデオに真実が写って入ると思うから、それを証拠に真実を導き出しましょう」
そうだ。それだ。あの図書館に隣接する公園には防犯カメラ設置されている。
それを見れば、もみ消された真実が浮かび上がっている。
僕達は図書館に向かい、みんなそれぞれ自転車で向かった。
図書館に到着して、ここの司書のバイトをしている光さんが、上司に言って「あの、図書館の防犯カメラを見せてはくれないでしょうか?」
「どこの防犯カメラ?」
「図書館に隣接している公園の防犯カメラです」
「別に良いけれど、あなた大丈夫なの?聞けば男の子に子女暴行を受けたって聞いたけれど・・・」
「大丈夫です。それに私達は木之元君にやられたのではなく、小柳って言う市議会委員の息子にやられたんです」
「そう。じゃあ、防犯カメラが録画されている部屋へ案内するわ」
年輩の女性職員に防犯カメラが映し出されたところに案内された。
その部屋は防犯カメラの映像が映し出されていた。
「事件は二日前よね、その日のデータを見れば・・・」
光さんはそういって、二日前のデータに映し出されたカメラにセットしようとしている。
だがしかし、「おかしいわ、その日のデータだけ写ってないわ」
「誰かが改竄したのかもしれないね」
と菜々子さんは言う。
「そんな~、それじゃあ、僕が犯人のままで終わっちゃうの?」
「そんな情けない声を出さないの。あたし達はあっ君の味方だから」
菜々子さんが僕の事をフォローする。
「光さん、何度やってもダメなの?」
「・・・」
言葉をなくす光さん。
誰かが、真実を隠蔽したんだ。
図書館に隣接する公園には、確か僕達以外誰もいない。
悔しさがこみ上げて来た。
僕は光さんや菜々子さんに子女暴行などしていない。
あの市議会委員の息子で僕に学校でいじめをし、冤罪をかけられた小柳の嫌らしい笑みが思い浮かんで、つい、壁を殴ってしまった。
「あっ君、落ち着いて、まだ真実を導き出せる何かがあるかもしれないわ」
光さんが僕をなだめるように言う。
「もうこの世に真実なんてないよ」
「そんな事はないわ。何か方法はあるはずよ」
「もう良いよ。僕のせいで、それでも光さんと菜々子さんは僕の味方でしょ」
すると菜々子さんから怒りのビンタを喰らった。
「何諦めようとしているのよ。あなた男でしょ。あたしの好きなあっ君はこんな事でめげないはずよ」
「菜々子さん」
「あれ、まだ、諦めるのは早いわ」
光さんが防犯カメラを見て、僕達に言う。
「ここを見て」公園のゲートにスマホで僕達の事を録画しているのか?そのような後ろ姿が写っていた。
ほんの一瞬だが、隠蔽されたと思いきや、僕達がやられているところを楽しんで映し出しているのか分からないが、そんな後ろ姿が写っていた。
身長は僕と同じくらいの百六十八センチ、黒のチノパンに背中に8と書いてある黄色いカッターシャツを着ていた。
「光さん、この人を探せば良いんじゃないかな?」
僕が言うと光さんは「私もそう思ったわ。それに私この子のことを知っているわ」
「この人、光さんの事を知っているの?それに光さんもこの人の事も知っているの?」
「ええ、知っているわ」
なぜか光さんは良い顔をしない。
そこで菜々子さんが「もしかして、この人光さんにストーカーでもしているの?」
光さんは図星か?目を閉じて黙り込む。
光さんがストーカーにあっていたなんて、ちょっと僕も光さんの事が心配になった。
でも光さんは「私はこの人の事に声をかけてみるわ」と前向きに、外に出ていった。
「ちょっと光さん」
防犯カメラが並べられた部屋を出て、僕も光さんについていった。
図書館内に行ると、何か視線を感じた。
何だろう?誰かに見られている感じがする。




