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8話 断罪 前編




「儂等が不在の間に好き勝手しおって…。どれだけ取り返しがつかないことを仕出かしたのか分かっているのか!!」


リリゼット達がサハーレンに着いた頃、クリスティアへの視察から帰国したガルヴァン国王夫妻が不在の間に仕出かしたエドワード達の所業を知り国王夫妻は王座の間にてエドワードとアリシアを呼び出し厳しく問いただしていた。


勿論、エドワードがしたリリゼットに対しての婚約破棄、彼女がアリシア暗殺未遂の裁判による判決を苦に自害した件についてだ。


「あぁ…あぁ…リリゼット…あんなに可愛らしくて優しかった子がもうこの世にいないなんて…」


国王の隣の椅子に座っている王妃は息子(エドワード)から婚約破棄をされただけでなく暗殺疑惑で処刑判決が下りそれを苦に自害したリリゼットの死を嘆き悲しんでいた。


「し、しかし父上…あの女はオレの愛しいアリシアを元平民だったという理由で2年ものあいだ苦しめてきたのですよ?そのような女に我が妻、次期王妃は務まりません!!」


輝くような金髪に青い瞳をした青年、この国の第一王子エドワードはフィリーズ男爵が平民の愛人に産ませた娘のアリシアを元平民だったという理由でリリゼットが虐め抜き、卒業パーティー後に婚約破棄された腹いせに暗殺者を使いアリシアを殺そうとしたのだと国王に訴えるが…。


「エドワード、儂等に無断でリリゼット嬢と婚約破棄したお前に問う。我が一族の婚約者選びにおいて必要な"条件"を忘れたわけではあるまいな?」


「け、決してそんなことは…アリシアもリリゼットと同じ光属性持ち…彼女が守護獣様とお会いすればきっと守護獣様とも心を通わせることだってできます!!」


アリシアもリリゼットと同じ光属性なのだから大丈夫だとエドワードは豪語する。


ガルヴァンを守っている守護獣は白い巨大な狼の姿をしており守護獣のお陰で王都には魔物が入ってこられず、戦で兵士が攻め入ってきても敵兵を一掃する程の力を秘めているのだといわれている。


ガルヴァンの光属性を持つ初代王妃が守護獣と心を通わせ契約したことで初代王妃が亡き後も守護獣は国を守るために留まり続けていた。


以来王位継承者、または次期王妃候補は最低でも光属性を持ち守護獣と心を通わせることが出来る者を伴侶にしなければならないという決まりができたのだ。


「馬鹿者が…!この国を守って下さっていた守護獣様…ツキシロ様は…お前達がリリゼットを死に追いやった所為でこの国を去ってしまったわい!!」


白き守護獣の真の姿を知っているのはガルヴァン国王夫妻と宰相のみだったためエドワードはこの国の守護獣の姿と名前を知らなかった。


リリゼットは気づいていないが契約している精霊獣のツキシロこそがガルヴァンの守護獣だったのだ。


現在のツキシロはガルヴァンに愛想を尽かし世間では死んだことになっているリリゼットと共に行動しているのでもうこの国にはいない。


「リリゼットは強力な癒しの力を持っているだけでなく我が国で300年ぶりにツキシロ様と契約に至った娘だったというのにお前ときたら…」


国王は怒りのあまりギリッギリリと歯ぎしりをしながら言った。


「国王陛下!確かに私の力はリリゼットに遠く及びません…。ですが守護獣様が戻って来てくだされば私は守護獣様と契約できるよう努力致します。ですからエドワード様のことはもう許してあげて下さい…」


茶髪に深緑色の瞳の愛くるしい顔をしたアリシアは涙ながら国王にエドワードのことはもう許して欲しいと言わんばかりに涙ながら訴える。


「おい小娘…儂等をそこのエドワード(バカ)と同じように"それ"が効くと思うな」


冷たい目、より一層低い声で国王はアリシアに向かい言い放つ。


「父上…?アリシアの…"それ"とはいったいなんのことを言っているのですか…?」


状況が飲み込めていないエドワードは父王に問う。


「お前が今使っている魔法、魅了(チャーム)は禁じられた魔法だ。精神魔法防御の魔道具を身につけた儂等には効かんぞ!!」


エドワードを無視して国王はアリシアに言った。


魅了(チャーム)とは他者の心を思うがままに操る魔法。


これこそが乙女ゲーム『聖天使アリシア』においてアリシア(ヒロイン)に対して攻略キャラの好感度が上がる真相だったのだ。


魅了(チャーム)は難易度が高い魔法であり、かつて存在していた大国はこの魔法で国王の心を操り王妃に上り詰めた女の所為で国政が荒れ滅んだことから残った3国の間で魅了(チャーム)は禁術に指定し使用した者は拘束、死ぬまで幽閉されることが決められている。


「この女に魔封じを施し地下へ幽閉しておけ…」


「「はっ!」」


国王の命で精神魔法防御の魔道具を身につけた兵士がアリシアに魔法を封じる手錠をかけるとアリシアは暴れ騒いだ。


「エドワード様ぁ!助けて!!」


「アリシア!!」


アリシアを助けようにもエドワードは兵士に取り押さえられなす術なくアリシアは地下牢へ連れていかれエドワードは己の無力を呪い力無くうな垂れた。


「国王陛下!アリシア暗殺未遂事件に関しての調査結果をお持ちしました!」


アリシアが地下牢へ連れていかれたと同時に紺色の髪、灰色の瞳をした青年、ディアン・アーグベルが王座の間に現れた。


ディアン・アーグベルとは彼も『聖天使アリシア』の攻略キャラの1人であり、公爵アーグベル家の次男。


彼はエドワードの幼馴染で彼に意見できる数少ない人物だ。(エドワードは彼の言うことを半分以上聞かない)


「調査結果を聞くとしよう…」


国王夫妻は静かにディアンの調査結果に耳を傾けた…。


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