重い……
日本×べべべニア戦終了後の待合室にて。
サッカーの試合は終わり、現在テレビでは別の番組をやってる模様。僕は未だ隅っこで木箱に座っている。ソファーの皆の様子は来たばっかの時とは違い…………荒れていた。
「なんであの時早乙女を下げるかなー!!」静絵さんが叫ぶ。
「……守備固めのつもりだったのだろうが、完全に裏目に出たな」蝉零さんがそれに応える。
「まぁ、過ぎた事は仕方がない。また次回に期待しよう」金剛、以外にも前向きな発言、しかし……。お前ウルサイ、と何故か蝉零さんに一撃を食らった。
ん、一番左に座る老人が席を立った、トイレかな。扉にノブに手を掛け、外に出……。
「誰じゃお前ぇぇ!!」老人が僕に気づき、叫んだ。
不意打ちだったため、いつもの如く驚いて、ぬえっ!!何て言ってしまったわけで。ソファーの三人も気付き、後ろに振り向く。……老人が僕の元に向かって歩いて来るっ!多分なんとなく……やばいっ!!
「あらぁ!けんちゃん!いつからそんなとこに居たの〜!?ほら、こっちで皆と一緒にテレビでも見ましょっ!」
「なんだね、お知り合いかね」
「うん、私の大事な大事な弟」
「そうか……ふんっ命拾いしたな小僧」老人は扉の元へと戻って行く。
どうやら静絵さんに助けられたみたいだ……。そもそもあの恐い老人、誰?!
「健太よ、あの老人は屋敷の管理人だ」
……この屋敷の?
「そうだ。それより早くこっちへ来たらどうだ、この距離だと結構話しづらいぞ」
あ、はい蝉零さん。今そっちに向かいます。
僕は木箱を手に持って……。
「そんなもの持ってどうするのけんちゃん?」
え?座るんだけど……。
「ここ、いいから。ほら、ソファーに座って」静絵さんは立ち、自分が座っていた場所をはたいて僕に座るよう促す。
うーん、どうしよ……、座っていいなら座っちゃいますか!僕は木箱を元に戻し、ソファーへ。そして元々静絵さんが座っていた場所に……。
「ん?別にこっちが空いたのだから、こっちに座ればいいではないか」
金剛、確かに。僕は右から左へと回り込む。
「けんちゃん!おじいちゃんが帰ってきたら座る場所無くて困っちゃうでしょ!こっち!!」
いやいや……、もし帰ってきたらこのシルバーシートはきちんと譲りますって。重三さんにも、老人は大切にしろ、と教わってますし。
「……ぷーっ!」何故かほほを膨らます静絵さん。
まぁ、僕は構わず座るとしますかな……。ん、金剛、何故止める?
「……なんかよく分からんが、母上も考えあってのことだろう。不機嫌にならん内、向こうに座ってあげた方が君のためだと思うが」
もう不機嫌みたいだけど。
「だったら尚更だろう。早く向こうに座ってあげてくれ」
……正直、嫌だなー……。絶対なんかするもん。
「頼む、健太君」
……仕方ない。僕はソファーを左から右へ回り込む。
「きゃー!!お姉ちゃん、最後にはけんちゃんがお姉ちゃんの元に帰って来てくれるって信じてたわ〜!!」
……あえて反応はしない。僕は黙って、やっとの思いでソファーに座る。おおっ、木箱とは違ってフカフカして気持ちいいね〜。
「ほんじゃ失礼しま〜す」
!!!
静絵さんが僕の上に座って来た!だぁーもうやっぱり!!
「健太君、すまない。母上が不機嫌になれば私がその被害にあうのだ……」
……白川さんが来るまでずっとこの状態。あ、ちなみに老人は待合室に帰ってきませんでした。
最近、朝、寒いねぇ。
……特に何もないよ。