やっぱ、こうなるわけで
白川さんによって元の部屋へと強制連行させられた健太君。
その荒れ果てた部屋では長万部が仰向けになって寝ていた。(目は開いてる)
さあ、どうなる。
元の部屋まで無理やり戻されて、それまで散々な思いして、僕は死にかけている……。至るとこ痛くってもうしんどいっす……。
「……長万部の奴、邪魔ね」
ベットに腰掛けてる白川さん、天井から垂れ下がっている紐を掴んだ。あれ?さっきはあんな紐、あったっけ?
「……フン!」
引っ張った。
<パカ>
パカ?って聞こえた方を見ると……。青年が寝てたとこが空いてるわけで。ということは……。
落ちたぁーーーーーー!!!!うそぉ!?何でピンポイントでここだけ空くの!??すぐさま僕は穴を覗き込んだ。長万部青年は叫んだり一切せず、未だに天井を見つめたまま落ちていく。やがて深い暗闇へと姿を消した。
……あの人、本当に起きてんのかなぁ?
「あらあら、見事に落ちたわね〜〜。でもきっと心配はいらないんじゃない?」
静絵さん、何でおんのさ。下に戻ったんじゃ……。
「うん。きちんと戻ったわよ〜〜〜」
あ、じゃあまた幽霊で登場ですか。
「そーゆーことっ!!」
僕はちょい呆れた。
「ダーリン、そこ、閉まるから。離れて」
白川さんに閉まると注意され、僕はすぐ穴から離れる。白川さんは握っていた紐から手を放す。必然的にどうなるかわかるね。………………あれ、閉まるまで時間掛かるのかな。
「閉まらないわね〜」
そっすね。白川さんは手を放してから、目を瞑って、ずっと無言のままだ。さっき、閉まるって注意したじゃん。…………ん?
<タタタタタ…………ストッ。キィーー……パタンッ。…………キョロキョロ…………あっども……タタタタタ…………>
………。
「………」「………」
………………だ、誰だお前ーーーーーー!!!!
全身黒で着こなした、顔も隠しちゃってる小柄な人がいきなり出たかと思いきや、慣れた手つきで落とし穴の蓋を閉め、やることやったらすぐどっか行った。しかも何か、ども、て言ったし。僕と目、合ったっぽいし!
「…………な、なんてハイテクなのかしら」
静絵さんっ!!その驚き方は絶対間違ってる!!
「さて、これで邪魔者はいなくなったわ」
目を開け、急に喋り出す白川さん。あっ!!絶対、さっきの事、見なかった事にしてるっ!!いいのか!?それで本当にいいの!?
「これでいいのだ〜〜」
静絵さん……何その格好……。
「パパなのだ〜〜」
はちまき、はらまき、おやじシャツ、おやじタイツ。アヒル口作って……とどめにその鼻の下に何か書いとる。
あ〜……もう疲れた、ほっとこ……。
「ひどいわ!けんちゃん!!」
知らんよ……。
まあ、そうこうしてる内、白川さんまた喋るのさ。
「ダーリン、さっきのあの事……どうやらセーフだったらしいの。あごとあごが当たっただけで口じゃなかったみたい、だからさ……」
し、白川さんが立ち上がり、僕に歩み寄ってくるっ!!
この展開、さっきと一緒?!
「けんちゃんが私に冷たくするからもう戻るっ!!」
そんな姿で何言ってるんすか静絵さん!!いや戻るって……困る!!ちょっ、この状況どうにかしてさーーー!!
「知らんよ……」
いやいや……お願いしますぅぅぅ……あ!消えた!!
もう目前に白川さんが来てるぅ!!
「ダーリン、と、私、の、初めて。仕切り直そ」
もうなんか恐いぃーーーー!!!
目がさ、やばいんだよ……だあーーーくるくるくる…………。
<チュ……>
んんーーーーーーーーーー!!!!
「……はぁ……ふふっ」
口元に当たっていたやわらかな感触は離れ、白川さんが静かに微笑んだ。
なんだかさ…………えっと……悪くない……。
久々に執筆始めたばっかの頃の作品、読んでみやした。
苦悩の日々が思い出されやす……。
今と比べると、かなり雑だなーと思ったり……。
この作品はあっしの成長過程もわかる、何だかちょいとセンチな感じ。