長万部はカッサカサ
キスとは、人間が使う一種の愛情表現の一つであり、特定の相手のみに使用する。その行為を受けた者は少なからず好意がある、もしくはそれ以上か。by重三
で、その続きが、人になった以上軽々しくするな、でしたな。わかってますよ、やばいんですよ、この状況。
……だで顔近いっ!!
ああ……泣きそうっす。
あかんあかんあかんあか……<がちゃ>
突然、どでかい扉が開いた?!
「所長、時間です」
白衣の青年登場。
「ぬあ!!」
白川さん物凄のスピードで振り向いたっ!!
「く、空気読め!!ばか!!」
なんちゅう暴言!
「すいません。ノックしましたが、返事がありませんでしたので」
「ああ!!もういい!!行くわよ、行ってやるわよ!!で、何!!」
うわー……よーわからんけど、めっさ怒ってらしゃる。
白川さん、ドアへと歩いていく、一歩一歩の足音がどでかいっす。ゆ、揺れる……。
でも、あの青年は平然としてる。
「前所長からお電話です」
「ああ!パパね!…………くそ親父がっ」
今何か小声で言った、出てく時に何か似つかわしくないこと言った!
<ブアアアン!!!!>
ぬおっ、ただ扉を閉めただけなのに強風が巻き起こる。おっかねえ……。
だって青年、微動だにしないで、直立したまま風でこっちまで飛ばされたよ、ってかそれどうなってんの?不自然っしょ。
「……気分は良くなりましたか」
1,2,3と、きれいに後ろ向け右をして僕に話しかけてきた。
で、僕は、うんっとうなずいて答える。
「そうですか。では下で皆様お待ちしておりますので、もし宜しければ一緒に参りましょう」
で、僕は、またうんっとうなずいて答える。
はい、ベット出て、と……扉へ、と。
<ブアア、バコーーーン!!!!>
なあああ!!!!また開いた扉が青年を貫通したああああ!!!!ってリアクションしろお!!!!
「長万部!!パパに何告げ口してんの!!白状し、痛っああああい!!」
ぐべえああああ!!!!頭突き……ああ……星が……。
気が遠のいて、僕は倒れる、頭を押さえてしゃがみ込む白川さんに。
「ちょ、ちょっと、ダーリン、きゃあぁぁぁぁ!!!!」
白川さんの顔が近づいてくる中、左から疾風のごとく現れたのは……平手。
<バチーーーーーーーン!!!!>
当然のように僕のほほに。
完全に気が飛んでる僕は素直に吹っ飛ぶ。
青年の方へと、ね。
<ぶっちゅーーーー!!!!>
「なななななななななーーーーーーーー!!!!」
白川さんのギガホンで気がついた瞬間、超近距離で青年と目が合った。
…………口元に当たる、カッサカサな何かを感じながら。
「おおおおお長万部ぇぇぇぇえええええええ!!!!」
白川さんの怒号が響き渡る……。
肩痛ーい、腰痛ーい、眠たーい、とかとか。
まあ疲れてるんでございやすよ。
マッサージ器、買おうかな。
でもあれ、高いしなぁ、場所取るしなぁ。
悩みがおっさん……、あっしも年だねえ。