四十一話目。“僕、喋ってないです”
本日、三回目のテスト。
えーご。まったくわからん!!
まっさらな白紙です。
………。
西崎〜。教えて〜。
「黙ってやれ」
あいつ、文庫本読んでやがる……。
仕事しろっての!!
……あ、そういえば、ってもういいか。
そのうち正体を暴いてやるからな。
「………」
一切、反応無し。
………。
なあ〜〜僕もう書かないからよ〜終わっていい?
<ギロッ>
に、睨みやがった……。
第一、こんな広い教室に二人っきりって寂し過ぎでしょ!
……それ何、読んでんの?
「………」
別に何を読んでるかぐらい、教えてくれてもいいじゃん。
「神の閃き」
……何すか。それ?
「……黙ってやれ」
内容ぐらい教えてくれたっていいじゃんよ〜。
「…………テストに集中しろ」
はいはい。
じゃあいいですよ。
寝てますよ。
「寝るな」
ん〜だよ〜〜〜。
他のやつで最後の方、寝てるのいたっしょ〜〜。
僕だっていいじゃん。
「……今のは俺じゃない」
へ?こ、金剛!?遅い!!
「まあ、色々あってだな……」
<キーンコーンカーンコーン>
「テストを回収する」
おあっ!僕のテストをひょいと取り上げ、早々と教室を出て行った。
出ていく時、僕に一言言った。
「もう少しは埋めろ」
わかんねえもんはわかんねーの!!
<ガラッ…ピシャ>
金剛〜。
「ん。なんだ?」
あいつ何者?
「普通の滝水市民の一人だろ?違うのか?」
お前に聞いた僕が馬鹿だった。
……もう帰る準備でもするかな。
シャーペンと消しゴムを筆箱に入れ、筆箱をカバンの中へ。
帰る準備はこれでお〜け〜。
うし。じゃあ、まずは静絵さんのとこだな。
「おっもう帰るのか。
今日は何もないのだな。
てっきり、例の女の子と帰るものだと思ってたぞ」
残念だったな〜。
今日は部活だってよ〜。
僕は席を立ちあがり、教室を出ようと……。
「よっ!犬岸」
君は?!宮崎くん!?
勝手に戸が開き、その先には宮崎君の姿が。
「どうだ?今日は一緒に帰れそうか?」
帰りの誘いが来た。
まあ、断る理由もないし。
「…………ウン」
と頷いてお〜け〜しました。
「よし。今まで待ったかいがあったな」
おー、僕のために待っててくれたんですか。
ついでじゃないんだ。
てなことで帰りは宮崎くんと下校です。
何事もなく終えれそうです。
「私の出番まるでなしだな……」
……たしかに金剛、来た意味無し。