三十五話目。“早起き、三文も得か〜?”
散歩から帰ってきました。
なんだかすんげえ疲れた。
「あのカナりんを、
あそこまで凹ますとは。
一体、
どんな人なんだろ?
ね!ゴン!」
いや、
知んねえっす。
「さ〜て。
お風呂入って寝ますか。
ゴンおやすみ〜」
<ワンっ!!>
おやすみです!!
じゃあこれで我が家に戻って、と。
寝ますか!!
……ZZZ…………。
…………ZZZ……。
………zzz………。
ZZZZZZZZZZZZ。
「健太よ。
起きてくれ」
……ふぁ…ZZZ……。
「おい、もう朝だ。
起きてくれ」
んぇ?じぇ、蝉零さん?
ぁぁ……
おあざーまぁ〜す……。
「くそっ。
あの馬鹿は、
未だ来とらんのか」
まだ日ぃ出てないし……
ちょい早過ぎたんすねー……。
「まあよい。
先、行っていいぞ。
健太一人でも行けるだろう?」
行けますけど……
いいんすか?
「構うか。
健太も、
早く準備しといた方が、
問題なくて良いだろう。
さあ、もう行け」
そう言って、
目の前で僕の姿に変身した。
「そうか。
君の姿もそのままだとまずいか。
たしか、
背中に念を、
軽く入れれば良かったんだな」
蝉零さんが軽く、
僕の背中に触れ、
あら…変わった。
「……着替えろ」
あ、はい。
そういえば昨日、
蝉零さんが帰ってから、
金剛が僕の家の床に、
扉を付けてたな。
あの中にたしか着替えもあったっけ……。
<パカッ>
おっあるある。
………。
……ほんで、
学生服に着替えて、と。
着替え完了〜。
……んじゃあ失礼します。
「ああ、
気を付けてな」
はい。
僕はこうして、
いつもより早く、
静絵さんのとこに向かう事に。
テクテク……
あの扉、
どんな仕組みなんだろ。
学生服は、
昨日静絵さんとこに置いてきたはず……。
ん〜〜〜。
まあ、どーでもいいか!
はい!
ぽぽぽん到着〜〜〜。
んー……、
どうしようかな。
静絵さん起きってかな。
ピンポン押しちゃあ悪いよな〜。
でも勝手に入るのも……。
<ガチャ>
うおっ!
危っ!
中から静絵さんが、
そろ〜りと登場。
静絵さんなぜかひそひそ声で、
「あら〜けんちゃん。
早いわね〜。
やっぱりいつもより、
気合いが違うわね。
さあ、入って。
あ、あまり大きな音立てないように」
んで、
僕の心の声までひそひそに。
なんで音立てちゃまずいんすか?
「ちょっとお客人がいてね、
まだお休み中なの。
ゆっくりさせて上げたいじゃない。
けんちゃんも協力してね」
は、はい……。
入ってって、と。
……居間には誰も居ないみたいだけど。
「学校まで時間あるし、
それまでけんちゃんもゆっくりしてってね」
はい……。
多分隣の部屋に居るんだよなー……。
気になる……。
んー……
時間になればそのうち出てくるか。
それまで僕も寝ようかな。
……ZZZ。
「あらあら。
けんちゃんも寝ちゃった。
も〜〜う、
そんなとこで寝たら風邪ひくわよ。
………。
……か〜わいい。
っていけない。
毛布毛布っ」