三十六話目。“<Another>……ゼッタイ…コ…”
我ながら、
下らない事を考えるな……。
だが、
たまには悪くないかな……。
金剛がまだ来てないのをいい事に、
あいつの前で健太になり済ます。
そして、
調子こいたところを、
正体を明かして……。
ふふっ……
金剛の驚く顔が目に浮かぶ……。
それで、この姿のまま、
寝たふりをして、
待つことにしたのだが……。
………。
まだ来んのか。
あの馬鹿。
遅い……。
家族の者たちが、
目を覚ましてしまうぞ。
!
来たか!
「すまぬ!
遅れた!
まだ寝てるのか!!
起きろっ起きてくれ!!
急がないとまずい!!
おぉぅい!!
起きれぇ!!」
この馬鹿、
私が来なければ、
早くも健太の正体がばれるところだったぞ。
遅れた罰だ。
もっと焦らせてやる。
<……ZZZ>
「なぜ今日に限って……。
起きろっ!
いつもなら、
ファ…ファゥン…………
とか言って起き始めるだろうが!!
起きろぅ!!
頼むぅぅ!!」
ふんっ焦れ焦れ。
「こうなったら仕方がない……。
………。
……目覚めのキッスを」
な!!
ななななななんなんんなんでっ!!!!
なんでそうなるのっ!!!!
おおおおお……
起きなきゃ!!!
<ガバっ!!>
「やはり起きていたかゴン君。
いつもより寝言が無く、
やけに静かだったからな。
私を騙そうなど十年早いのだよ」
なっ!……
ばれていた!?
……いや、
今、私の事をゴン君と言ったな。
ふ、ふんっ……
何が十年早いだっ!!
いい気になりおって!!
「ほら、
ゴン君行くぞっ。
時間がないのだっ」
<バシィ!!>
な…何をする!?
「変わ…何ぃ!!?
今、
蝉零の声がしたような……。
……き、気のせいだな。
……そういえばあいつ。
あれほど偉そうに言って置きながら、
まだ来とらんのか。
ふん、
口だけか。
仕方ない、
私がゴンの代わりをす……」
「……い……いい気に、
…いい気になりおって、
この馬鹿こんごーーーー!!!!」
<ぴかーーーーん!>
「お、お前!!
蝉零っ!?」
「言わせておけば、
いい気になりおって……。
……コロス」
「な!?何故!!!
お前がさっさと正体を明かせば……」
<ガララっ>
「!!!!」「!!!!」
「ふあぁぁ……
ゴンおあよー……」
<……zzz>
「あや?
まだ寝てたか……。
じゃあ、
さっきの物音なんだったんだろ……。
……まっ、いっか」
<ガララ……ピシャッ!>
「今度……今度絶対コロス」
「は…ははは。
で、では健太君の元へ向かうかなぁ……。
しっ失礼します、
蝉零様っ!
とうっ!」
「……くそ…逃げたか」
「………………
……アイツ、
………ゼッタイ、
………………コロス……!」




