二十二話目。“あるぅ日♪家のぉなぁか♪クマさぁん〜に♪出会ぁった♪”
眠っ!!
只今、
白川さんの後に付いて、
ご主人さまのお部屋に向かっています。
幅が狭く、
やけに急角度な階段を昇って、
上りきったその先には扉が右と左に一つ。
白川さん、右の扉をコンコンとノックする。
「みきやん入るよ〜」
「ど〜ぞ〜」
中からご主人さまのお返事が。
そういえば、ここに入るの初めてだ。
う〜〜〜ん。
少しきんちょ〜〜……!
ああっ待って!
心の準備がっ!!
白川さんの手により、扉オープンです。
………。
おお!!
ここがご主人さまのお部屋でございますか!!!
くまくまくまくまくまくまくまく。
ん?
とにかくね〜最初思ったのは、
あらゆるとこ、
いたるとこに大量なるクマが!!
つくえにも、
テーブルにも、
床に散らばっているのも、
(片付けなさいって)
あと天井にだってへばり付いてるし。
それにご主人さまもクマ。
?
何をかぶっとんすか?!!
いつの間にやら、
クマの全身気ぐるみスーツ(?)を着てた。
「きゃー!!
ちょーかわいいー!!」
えっ……?
どこが……?
何かすっごいリアルで恐いでしょ。
これ。
「でしょでしょ〜!
買っちゃた。
(狩っちゃた、の間違いでは?)
町でさ、
ウインドウショッピングしてたらね、
この子見ちゃって。
ついつい衝動買いしちゃった〜」
一体、
どれくらいの値段なんだろ?
これを衝動買いできるご主人さまって何者?
で、ご主人さま。
その格好で、
「じゃあ、
お勉強でもしましょうかね〜」
マジっすか……。
そんなゴワゴワな手でペン握れるんすか?
……さすがはご主人さま。
「ノンノンノン。
その予定はへんこー。
今日はウチのダーリンのためにね、
日本語会話レッスン!!」
あー……
やっぱりやるんだ。
んあ?
ご主人さまっ?!
何ですかその目つき!?
「へえー…ダーリンねえ……」
顔コワッ!
……続けてご主人さまが聞く。
「でも犬岸くんってさ、
喋るの無理なんじゃなかったけ?」
「んーん。
自己紹介の時、
少しだけだったけど、
一応喋ってたから。
それに一緒にテストも受けたし、
だから言葉はわかるけど、
ただ単に会話ができないだけなんじゃないかな?」
す、するどい。
そこまで見抜くとは……。
感服です。
「なるほど〜。
でもねー……。
カナりんはいいかもしんないけど、
テストだし、
私にはそんな余裕ないな〜」
僕は色んな意味で余裕ありません!
「いーのいーの。
冬休み明けなんて大したこと無し!
お願いだからダーリンのために、
力を貸して。
お願い!!」
いや、
頼んだ覚え、
一切ないし。
ご主人さまはどうぞお勉強の方を……
「仕方ない!
今日はカナりんの告白成功記念日だもんね!
御目出度いし、
彼氏くんのために一肌脱いであげますか!」
えーー……
何すか、
その理由……。
で、レッスン開始なわけ。
「‘あ’の発音の時はお口こうね!
こう!!
はい、‘あ’!!」
「あ」
「ん〜いまいち!
はいもう一度!!」
ご主人さま、
クマ近い!!!
んで恐い!!!
「ダメダメダーリン!!
はいっ!‘あ’!!!」
スパルタっす……。
もーいや……。
んで眠っ!!
……zzz。
これ読み返してみて、
不思議に思った点が一つ。
白川さん「言葉は理解できる」って何か、するど過ぎでございやすね。
健太くんの容姿、
欧州っぽいってことにしとこ〜。
な!
それだと何となく納得……
……のはず。