二十一話目。“恐怖の呪文”
なんかすっごいギッコンバッタン。
「大丈夫!?
今、耳使える?!」
どえりゃ〜でけ〜ボリュームで、
いきなり怒鳴ってきた。
白川さんのギガホン。
破壊力バツグンっす。
しかも耳元で聞いちゃったから威力倍増。
くぅ〜〜〜。
耳ん中がキンキンキンキンするぅ〜〜。
…てゆーかさ、
‘耳使える’って……。
白川さんっ!
どんな質問っすか!
どんな意味?!
それ!!
なんかめっっちゃ恐いわ!!
もうさっきからずっとこんな調子。
何度も怒鳴られ、
ビビりっぱなし……。
恐怖の連続。
ああ……
嫌だ……。
………。
もう時間にして、
十五分くらい捕まったままだ。
十五分だよ!
十五分!!
脅しみたいのが十五分!!
泣きそうだよ……。
でも悪には屈しない!!
どんな事が有ろうとも絶対に、
耐え抜いてみせるっ!!
生きて帰るんだーーーー!!!!
ん?!!
(バン!!)
うお?!!
(ムンズッ)
顔の両サイドから物凄い衝撃がはしった。
ツインビンタで僕の顔をサンド。
そして、
目の前にあなたのお顔が!!
痛い……。
けど、
なんかドキドキしてます僕。
はっ!?
ちっ違いますよ!
別に何とも思ってないから!!
かっ勝手に変態扱いしないように!!
「言うよ!!
聞きなさい!!
いいね!!」
目がね。
何かね。
とても。
危ない。
え〜やっぱ前言撤回で……。
早く助けれ!!
金剛〜……。
!!!
……なっ!
居ねえーよ?!
回りを見渡しても何処にもいない……。
マジっすか……。
ん?
でも犬の鳴き声が……。
まっまさか電じいに何か?!
ん〜なこたぁどーでもよか。
あのビリビリが焼こうが食われようが……
今の僕にそんな事、
心配する余裕なんてこれっぽっちも無い。
でも、ごめんね。
電じい。
うぅ……
本当に人影すらない。
誰か通れよ!!
頑張って通れよ!!
んで助けてくれ〜〜〜!!!
ハア……。
完全、二人っきりすか……。
絶体絶命のピンチ。
くっそ〜〜〜。
あの野郎。
勝手にどっか行きやがって。
あとでシメる……。
そりゃもうチビッチャウぐらいぎったんぎったんにね!!!
覚悟しとけ!!
金剛!!
まっ僕がまだ生きてたら……。
の話だけどね。
あはは……
はは……
はーはっはっはっはーーー!
………。
……しくしく。
ほんと助けて。
だぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!
痛い痛い痛いいたいいた〜〜〜〜〜〜い!!!!
サンドしている手の力がどんどん強まって……
すんげえ痛い!!
ほほの肉が歯に食い込む!
骨が曲がる!!
目ん玉飛び出る!!
次元が歪む!!!!
おしっこちびる!!!!!
あ……
ミも出そう……。
とにかく!!
きょ、このままでは僕チンのお顔がぺちゃんこに。
!そうか……。
こうやって僕を殺す気なんだな……。
………。
むごい。
むごすぎる。
終了まで数秒ってとこか……。
アア僕の人生……
終わった。
きっと彼女にとって僕の顔を潰すことは、
プチプチを潰すことと同レベルなんだ。
うっ……。
想像してしまった。
僕の顔がプチっと潰れる瞬間を……。
そう親指でプチっとね……。
きゃあああああ!!!!!
いやだーーーー!!
僕、まだ死にたくないよーーーーーー!!!!
超パニック。
死を目の前にし、
さらに止めが……。
「君の事が大好き!!
愛してる!!!」
………。
ええと、
分析しましょうか。
君ってのが僕かな?
で、大好きってのが好物かな?
つまり、
好きな食べ物は僕の肉か。
恐い、
恐すぎる。
でも“愛してる”って何ですか?
僕の辞書にはそんなもん存在しません。
予想だと多分、
呪文の類かな、と。
僕がボンッ!ってか。
なるほど爆死の方向だね。
「で!!どう!!?」
んあっ?!!
何が!!!?
爆発?!!
まだしてない!!!
じゅえ?!
ぷああああああ!!!!!!
やばい!!
ホントっ訳判らん!!
なにを聞かれたんだ?!
落ち着けえ……
冷静に…………。
なれね!!!!
無理!!!
な〜〜〜〜〜逃げたい!!!
………。
「私、言ったからね。
君の番だよ。
どうかな?
……やっぱり私みたいなの嫌かな?」
うん。
いやだ。
本当は嫌だけど……。
でも、
し、死にたくないから……。
僕は首を横に振った。
振って……
しまった……。
「じゃあ好きなんだね!!
やった!!
これで恋人同士!!」
え……何でそうなっちゃうの?
ホワ〜〜〜イ?!
「ほら早く行こっ!
みきやん待ってるよ!
ダーリンッ!」
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ〜〜〜〜!!!!
助けて神様〜〜〜〜〜!!!!
僕は無理矢理、
腕を引っ張られズルズルっと家の中へ……。
「今日お勉強の予定だったけど……
変更!!!
ダーリンが喋れるようレッスンね!
きゃーーー!!
がんばろ!!!!
いっぱいがんばろ!!!!
ね、ダーリン!!!
きゃーーーーー!!!!」
クライマックスモード突入のようです。
かなり騒がしいです。
……レッスン。
ですか……。
折角の有難いお申し出……。
お断りします!!!!!
家に上がる際、
手を放した一瞬の隙に猛ダッシュで逃げた。
ダッ…パシっ!
玄関すら出れず……。
「もしかして、
女の子の家に入るの初めて?
も〜恥ずかしがり屋さん!」
いえ、
昨日も入りました。
ただあなたが嫌なだけです。
あ〜もういっその事、
息絶えた方がマシかも……。
トコトコっとお部屋に向かう途中。
庭をちらっと見て……。
んあっ!!!
金剛と電じい何してんだよ!!!!?
「お、落ち着きたまえ電じい」
「ぶえ、ぶえ、ぶえ〜…え?」
お、止ま……
「ぶえーーーー!!!」
僕に化けた電じいの上に金剛が跨って。
暴れてるね。
……うーん。
これってさ。
ロデオ?
サイズ不一致で全然成り立ってないけど。
電じい。
仇は絶対取るよ。
僕に明日があればね。




