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十四話目だ。“部活中、髪結ってなかったな。どして?”

 GW最終日。いやですな〜。

 ん〜でも!皆様!

 HAVE A NICE DAY!!

 てな〜〜〜〜!!

 さあ笑え!!野郎ども!!!! 

 はい。


 八時になりました。


 一階の空き教室でお話中やん。



(一応、

 多目的室なんて名前あるけど、

 言わばこーゆー事だなだな)



 頭のてっぺん部分がつるつるの人の、

 説明っぽいのがおわる。



「まあ、

 突然の編入と言うことで、

 びっくりしましたよ」



 静絵さんはゆっくりと頭を下げ、


「すいません。


 こちらの勝手な都合で……」



「いやいや、

 そんな。


 滅相もございません」


 このじじい、

 否定している素振り見せてっけど、

 心ん中はどう思っていることやら……。


 

 ドアからノック音。


「教頭先生。そろそろ時間になります」


 向こう側から声がした。



「さあ、

 健太くん。


 行っておいで。


 担任の西崎先生が待ってますよ」



 ほあ?


 いきなり何?



「うん。


 行って」



 いや、

 まーずいよ。


 静絵さん。


 めっさ嫌な予感してんだけど……。



 僕の耳元で囁く。


「だーいじょーぶ。

 ファイト。ファイト」

「あおっ……あおっ!」


 痛いっす……。



 背中叩かれ、

 僕は渋々席を立つ。 



 振り返って、

 もう一度眼で訴えるんだけど……。



 がんばれって口パクでいった後、

 ウィンクした。



 ああ……!!


 もう!!


 いいや!!


 どうにでもなれ!!!



 僕は引き戸を開けると、


「担任の西崎です。よろしく」


 眼鏡をかけ、

 クールそうな青年がいきなり一礼した。


 ってか若っ!



 僕も合わせて礼をする。


 背高いな〜

 ちょっと見上げないと顔が見えない。


 まあ僕が小さいってのも有るんだろうけど……。



「犬岸健太君。


 君の教室に向かうとしよう。


 席付く前に簡単な自己紹介があるから、

 何を言うか考えておいてくれ」


 ……無理。


 僕のレパートリーはあのセリフしかありません……。



 この後は、無言のまま、教室へ向かった……。











 西崎先生が立ち止まる。


 どうやら着いたらしい。


 2−4か……。



「一度ここで

“あのセリフ”とやらを練習してみようか」



 はい……。


「どうも……。


 いぬぎ…ち…でふ」



 一つ、頷き。


「よし、

 悪くは無いな。


 後は私がうまくフォローするとしよう」



 ……おい!


 あんた心読んだ?!


 もしかしてあんた……?



「……行くとするか」


 引き戸を開けた……。



 人の話聞けってーーーーー!



 教室へ入っていき、

 西崎と自称する男は教壇に立ち、

 バンっと手を付き、

 こう言い放つ。  ……やけに静かだ。


「今日から皆の新しい仲間が一人増える。


 さあ入って来てくれ!」


 立ちすくんでいた僕を呼び込む。



 西崎の隣まで歩く。



 辺りがちょいざわつく。



「あ〜今日このクラスに新規参入する、

 犬岸健太くんだ。


 まだある大きな病気からの病み上がりなためうまく話す事ができないが、

 皆、

 仲良くしてやってくれ。


 じゃあ、

 最後に健太君。


 一言皆に」



 こ、ここで言うんだな?


 ……西崎が頷く。



 ………。



 よし。


「どうも、

 いぬぎすです……」

「さあ!

 みんな!

 歓迎の拍手だ!」



 うぉーーーーー!!

 という歓声と、

 けたたましい拍手の音が鳴り響く。



 ……壮大ですな。



 西崎が目を合わせず言った。


「仕込みだ」



 …………そーゆーの本人に言う?



「じゃあ!!健太君は何処に着いて貰おうかな?」


 こいつコワっ!



 西崎の言葉に、

 先頭にいるぼーず頭の元気少年が応える。


「ここっすよ!


 ここ!!


 俺の隣!!


 どーよ!!


 ナイスポジションでしょ!!」


 

 どうやら僕の座る席は生徒たちに任せていたらしい……。


 すぐそこって……。



「……まあ、

 こーなる事はわかっていた。


 仕方がない、

 席替えするか!」



 また、

 うぉーーーーー!!

 っと歓声が上がる。



 仕込み?



「否。

 ま、教師からしたらメンドイだけなのだがな」


 小声で応えた。



 そーなんだ……。










「ほら、

 君の番だ」



 くじが回ってきた。


 ん?


 一枚引けばいいの?



 ………。



 35。



「中村!


 中村はくじを引くな!


 永久特等席だろうが!」



「そんな〜……」


 ボーズ頭が項垂れた。
















 んで。


 しばらくして。


 席替え完了直前。



「皆早く!


 ホームルームが終わる!」


 西崎は何とか時間内に終わらせようと、

 全員を急かす。



 ちなみに僕は、

 通路側から二番目の列の一番後ろ。



 ん?

 どーやら終わったみたい。



「では、

 先生は行くが、

 皆!


 健太君と仲良くするんだぞ!」



「あいよ!!」「はい」「もっちりだよー!」「ミーにマカセー!」


 ありとあらゆる返事が飛び交う。





 正直、

 僕はほっとしたりするわけで……。










 











 前言撤回。


 すぐ左隣りにいる朝見た人が、

 僕を眼で殺そうとしてます。



 ……助けて下さい。










 …………そーーーーっと……


 …チラっ。


 ひっ!!?

 しまった〜〜!


 今、思い出したけど、

 テストの時って名簿番の順だよね。


 ちっくしょ〜〜!!


 やっちまったぜ!!

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