次の魔王の元へ
アレストの能力に関する話が終わった後は本来の用件である協定の話やナオからの伝言の件に関しての話に移ったんだけど、こちらはある程度の質問はあったもののあっさり終わった。まぁ協定の件は事前に書面で詳細の連絡を入れているからね。元々アレストは人間側とほぼ争ってないから、話も早い。
で、ナオの件に関しては逆に何の情報もないため、更に早くすぐ終わった。少なくともアレストの領土内では神代種族の動きは特に確認していないとのこと。一応部下を動かして情報は集めてくれるというのと、面倒な事になりそうな場合は手を貸すという話もついた。本当に話が早くて助かります。
その後はいろいろ旅先で見聞きしたものの話をして、アレストとの会談は終了となった。……アレスト、基本本拠地に引きこもっているから、そういった話すると喜ぶのよね。
「……なんかちょっと拍子抜けしたわ」
そのまま一晩アレストの元で宿を取らせてもらった翌日。
次の目的地への道中の中、シェリーがぼそっとそう口にした。
「アレストの事かしら?」
聞き返すと、コクリと頷く。
「私の事を聖騎士として知ってもまるで敵意は見せないし……聖王国があまり掴んでいない能力の情報を隠そうともしないし」
「アレストの所は立地と彼の性質もあって、過去にも聖王国と争ったことが殆どないからね。特にどうとも思ってない、が正解かしら。それに言い方を選ばなければ」
「特に脅威とも感じていない、かしら?」
「……そうね」
私の言葉を途中で遮り、シェリーがそう口にする。それを否定する言葉はない。
アレストの能力は形あるののだけではなく、魔術等にも影響する。例えばシェリーが結界を張っても一瞥されただけでその結界は消失する。人間サイドの操る魔術ではほぼ太刀打ちできないだろう。というか私の能力でも無理ゲーもいい所だ。
「彼の御仁が強い支配欲を持っていなかった事を、我々は感謝すべきなのだろうな」
アヤネの言葉は、人間サイドだけではなく私達魔族サイドに当てはまる。彼が領土欲等を持っていたら、ウチの領地とかとっくに陥落している。それだけ別格だと言える能力なのだ。別の時代なら彼が望めば世界の統一も可能だったろう。今の時代では無理だけど。
「あれで最強ではないって、怠惰の魔王はどれほどのものなの? 会うの怖いのだけど」
そう、彼の上には”怠惰"の魔王が存在しているから。というか、そういえば言ってなかったかな。
「怠惰の方は皆は会わせないわよ?」
彼女に関しては、私一人で会うつもりである。まぁ連れていくとしてヘイゼルかな? ヘイゼルなんかはあの子の場合ちょっと気にいる可能性があるからね。他の皆はアージェと一緒にお留守番してもらう予定。
普通にアレストには合わせたから、れっきり彼女──怠惰の魔王であるナーグの元へも連れていくと思っていたんだろう。アヤネやシェリーは驚いた顔をしていた。ちなみにフレアは残念そうな顔をしている。
「……そこまでヤバイ相手なの? 怠惰の魔王は」
「性格自体は別にヤバくないわよ。ただね、彼女は──非常にめんどくさがりなのよ」
「……え、もしかして怠惰の魔王の名前の由来って、性格からなの!?」
「半分くらいはそうじゃないかな?」
いや、実際は能力からついているんだと思うけどね? ただ私がこっちの世界に来る前から魔王達の二つ名はついているわけで、特に由来を調べたわけでもないから、性格からという可能性もないとはいえないのである。
「とにかくそういうわけで、あまり大勢でおしかけるわけにもいかないのよ。……フレア、そんなうるうるした目でこっち見ても駄目」
「……はぁい、お姉様」
最近この子はどんどん甘え方覚えて来たわね。まぁ私自身甘やかしている自覚はあるけど。ナーグ相手は力の制御がまだ甘いフレアやユキは特に駄目。ナーグの能力がどこまで反応するかわからないから。




