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孤独の栽培人~栽培アプリで生活向上~  作者: 骨肉パワー
一章 グリーン・ライフ

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第8話「植物 2」

 食虫植物(低級)ラビットタイプの飼育を大助が始めてから3日が経過していた。


「ふむ…」


 この3日間、大助は新たに栽培可能になった解毒草や火炎草の量産を進めていた。


(育成時間は1つ30分というところか。悪くはない効率だな)


「…と。もうこんな時間か。…そろそろ「仕事」に行かねえとな」


 テーブルの上で観察していた食虫植物(低級)ラビットタイプを窓際に移動させ、仕事先に向かう準備をする大助。


(こいつら太陽に当たるとめっちゃ嬉しそうに動くんだよな。光合成とかしてんのか?)


「日の味はどうだ?しっかりと栄養を付けて害虫を駆除してくれよ」


 いつものように食虫植物(低級)ラビットタイプに話かける大助。当然、返答など大助は期待していなかった。


「…めっちゃ美味い。…もっと食べたい」


「……」


「ん…?」


 クリクリした目のウサギもどきと大助の視線が重なる。


「……」


「…ん。…んん?……言語は同じはず。…まだ上手く喋れてない?……要検証」


「……」


(こいつ、言葉を喋ってやがる……)


 対応に悩む大助。だが今はそんな事に時間を使っている場合ではないのだ。大助はこれから仕事に向かわなければいけない。余計なトラブルを起こすわけにはいかないのだ。


「…まあいいや。それじゃあ行ってくるぜ~……」


 大助が全てをスルーして出かける仕度を始める。ウサギもどきたちはその姿を見て小さい手をブンブンと振っていた。


(知能も意外と高いな。俺の動作を見てこれから何をするのかを理解している。どうしたもんかね……)


 大助はバッグを背負い、仕事先に向かった。



「ふい~…ただいまっと……」


 薄汚れた作業着を着こんだ大助が自宅へと帰還する。


(中々に厄介な仕事だったな。というよりもだ。事前に開示されていた情報と現物の情報が乖離していた。…今後の対応次第では「依頼人」を「詰める」必要があるな)


 赤黒い染みがついたバッグをソファに放り投げ、早速食虫植物の状態を確認する。


「…む?」


(なんかモグモグしてるな…)


 部屋に帰宅した時点で、ボリボリと何かを潰す音が大助の耳に届いていたのだ。


「どうだ美味いか?」


 ウサギモドキ達の尻尾がフリフリと振られる。彼女たちは獲物を捕獲して非常にご機嫌な状態なのだ。


「いいね。これからも家の害虫退治を頼むよ」


 大助がソファーに座り、アプリを起動する。


「…ふむ」


(結構コインが貯まったな。放置モード用に何か買うか?)


 ショップ画面を開き、ナイフや簡易トラップなどを大助は購入する。それらをアイテムボックスへと移動させた。そこで大助がある違和感に気が付く。


「ん…?」


 アイテムボックスの右上に文字が表示されていたのだ。


<ドロップ品を確認してください>


「…ドロップ品?」


 大助が放置モードのアイテムボックスを確認すると、その中には見知らぬ武器や謎の大型肉などが保管されていた。


「ほう…」


(ラビが手に入れて収納したってところか?この感じだと俺が好きに取り出しできるようだが……いや、あまり干渉しない方がいいか)


 久々にラビの姿を確認しようと大助が畑を見てみると、そこには生真面目に働くラビの姿があった。装備類が以前よりもしっかりとしており、表情からも自信のようなものを感じ取れる。


 そのままのんびりとラビの働く姿を眺める大助。画面にはお助けモンスターの簡易的な情報が表示されていた。


「ふむ。種族名が変わっているな」


 大助がラビをタップし、詳細画面を開く。


・バトル・ラビット


数々の苦境を乗り越えた兎人族の戦士。魔法や剣を駆使して戦う。


「ふむ。「進化」したとかそういう感じか?」


<チュートリアルを再生しますか?>


(またいつものやつか)


 当然大助はYesを選択する。


「進化。それは人類の歴史と言っても過言じゃないわよね」


「だけど進化するのは人間だけじゃない。全ての生物は「進化」の可能性を秘めている。それはもちろんあなたのお助けモンスターも例外じゃない」


「どんなに初期の能力が低くても、全てのお助けモンスターには「進化」という可能性が残されている。それってとっても面白い話だと思わない?」


「もしもあなたが「それ」を期待して「最弱」のお助けモンスターを育てているのだとしたら…その子はきっとあなたの期待に答えてくれるんじゃないかしら」


「…話が逸れたわね。とにかくお助けモンスターは経験を積む事で成長するわ。最弱を最強にするのもよし。最強をさらに最強にするのもよし。全てはあなた次第ってわけ。それじゃこの辺で失礼しま…じゃなかった。するわね~!!」


 音声の再生が終わり画面が元に戻る。


「ふむ。進化に成長ね…」


「……」



 大助がラビの進化を確認してから1週間が経過していた。日に日に成長する食虫植物を見守り、売却用の植物を育成。そして仕事というルーティンを大助は日々こなしていた。そしてそんな日々に変化が訪れる。


「…いや、なんか成長し過ぎじゃね?」


 食虫植物の異常な成長速度に大助は驚いていた。最初の頃は鉢植え1個分の大きさだったのだ。それが今では株分けを繰り返し鉢植えが10個まで増えていた。狭いベランダは鉢植えで溢れかえっている。パンク寸前の状況だ。


(まあ地球の植物じゃねえし、こんなもんなのかなぁ?…これ以上成長するなら何か対処をしないとヤバそうだが……)


 燃えるゴミの日に植物を出す算段をしながら、大助はベッドに潜り込み眠った。


 そして異変は次の日に起きる。


「…マスター、起きて」


「…んん?」


(…なんだ?耳元で妙な声が聞こえたぞ…)


 一瞬で覚醒した大助の脳が状況の整理を始める。


(女性の声か?…目的は?…暗殺か?…不明。…初手を見送った事から殺害の意図は低いと考えられる。…まずは情報を引き出す事が優先か)

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