第8話
「放置モードでは保有しているコイン数に応じてお助けモンスターが様々なアクションを起こします。コインの残数には注意しましょう」
(このコインってのはあれか?ゲーム内独自の通貨とかそんな感じか)
アプリ画面をホームに戻し、機能の確認を始める大助。
(右上に表示されてる数字がコインの残数だな。確か植物を作るたびに増えるんだよなこれ)
「つまり、植物を育てまくってコインを稼ぎ、設備を充実させる。そういうことか」
「…お?」
コインの残数が減少する。気になった大助は再び放置モードを起動した。画面内ではモブ・ラビットが地面に座り飲み物を飲んでいた。
「なるほど。こんな感じでも使われるのか」
コインはモンスターの休憩物資などにも使われる。その事を理解した大助は満足そうに頷くとアプリを落とした。
「…そういえば腹が減ったな」
昼飯を食べていなかった事を思い出し、大助は冷蔵庫に向かう。
「今日の俺の気分的には、まあこいつかな」
中から冷凍パスタを取り出す。
「ついでにこいつの味見もしておくか」
スマホの倉庫メニューから、大量生産したラルメン王国の雑草を取り出し、冷凍パスタと共にフライパンにぶち込む。中火で加熱すること数分。部屋には香ばしい匂いが充満し始めた。
「はい完成。本当はバジルとかのが良かったんだがわざわざ買いに行くのも面倒だしな」
皿にパスタを盛りつけ、雑草の実食が始まる。
「モグモグ…」
「ん~ちと苦い。だが普通に食べられるな」
(素晴らしい。原価0で雑草食べ放題だぜ!)
「無料最高!!」
彼はそのままモグモグパクパクとパスタを食べ続け、完食した。
「…ふう。ごちそうさまでしたとな…」
「……」
「やっぱりいいね。結果が分からない目的があるってのは…」
放置モードが解禁されてから3日が経過した。そして今日も大助は雑草を育て続ける。
「ふおおおおお!!」
ただひたすらに画面をタップする大助。栽培レベルを上げるにはひたすら草を育てるしか方法はない。故に大助はただただ無心に草を育て続ける。そしてついに大助が待ち望んできたメッセージが表示された。
「おめでとうございます!。栽培レベルが4に上がりました」
「よっしゃあああ!!」
(さあさあ。今回はいったい何が起きるんだ?)
「育成可能な植物のリストが増えました」
「よし!」
(そろそろ新しい草を育てたいと思っていたんだ。こいつは嬉しいぜ)
「売買機能が追加されました」
「…売買?」
アプリのホーム画面に戻り、ショップ画面を開く。すると今まで表示されていなかった売買という文字が追加されていた。
「…ふむ」
売るメニューを開くと、倉庫に保管されているリストが表示された。
「お?育てた植物を売れるのか。これは助かる」
暇な時間を全てアプリに注ぎ込んだ結果、雑草の在庫数は恐るべき数になっていたのだ。