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孤独の栽培人~栽培アプリで生活向上~  作者: 骨肉パワー
一章 グリーン・ライフ

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第4話「放置モード 1」

「おお…?」


(なんかまたレベルが上がったな。というかレベルって何だ?)


 大助の戸惑いを他所に画面には次々とメッセージが表示されていく。


<同時に作れる植物の数が2つに増えました。放置モードが追加されました。チュートリアルを確認しますか?>


「…放置モード?」


 わけの分からない単語のオンパレードに大助はやや混乱していた。


「……」


(今はとにかく、情報が欲しい)


 大助は迷わずチュートリアルを再生した。そして再び声が聞こえ始めた。


「放置ゲームってあるじゃない?あれって全然放置ゲームじゃないわよね」


「実際には1時間くらいの感覚で様子を見ていた方が効率が良く設定されてるとか、結局は課金が物を言う修羅のゲームというか」


「まあ開発側も収益を確保しないとサービスを継続できないわけだし、仕方がないとは思うんだけど……」


「何が言いたいかと言うと、そう!ゲームバランスの調整っていうのは想像以上に難しいのよ!!既存プレイヤーに公平感を持たせつつ新規プレイヤー獲得に向けて新要素を追加する!……そんなの出来るわけないじゃないですか!?」


(おいおいおい…)


 チュートリアルを担当する女性の本音が爆発。すると別の人物達の足音と声が聞こえ始める。


「※※。気持ちは分かるが今はそんな事を言っている場合じゃないだろう?」


「…何か甘いものでも食べた方が良い」


(……)


 そこで一時的に音声が途切れる。そして10秒程で音声の再生が再び始まった。


「…ごめんなさい。最近はその、ストレスが溜まっているというか何というか。とにかく忘れてください」


「…んごほん!!放置モードの説明だったわね。放置モードはプレイヤーに代わって「お助けモンスター」が働いてくれるモードよ。経営シミュレーションゲームとかあるでしょ?まさにあんな感じだと思っていいわ」


「初回大サービスであなたにはお助けモンスターを1体選ぶ権利が与えられているわ。…ちなみに私のオススメは栗色の可愛い……」


「んああああ!!※※!そういうのはダメだって言っただろう!?」


「…抜け駆け禁止」


 慌てるようなドタバタという音と共に音声は途切れ、画面が元に戻った。


「ふむ…」


 大助が少しだけ思考を始める。


(つまりは新しい拡張機能とでも考えればいいのか)


「まあ、なんだ。…やらない理由はないな」


 大助は栽培を一時中断して放置モードを開いた。


 画面が切り替わり、7体の色とりどりなモンスターと共にメッセージが表示される。


<お助けモンスターを1体選んでください>


「…んん。これは悩みどころだな……」


 1体だけという制限から、この選択は今後かなり重要になってくるのではないかと大助は考えていた。


(青色の…スライム?この緑のやつはゴブリンか?…この黒い靄のようなやつは何なんだ?)


 迷い楽しみながら選んでいると、とあるモンスターの画面で大助の手が止まった。


「…ふむ…中々に可愛いな」


 栗色の髪、白く長い耳、丸い尻尾。ウサギのような外見をした少女タイプのモンスターが目に留まった。長い耳は怯えたように垂れ下がり、不安そうな瞳で周辺を警戒するその姿は大助から見ても憐れみを感じさせる姿だ。


(良い目をしている。あの目をしているやつは絶望の中でもわずかな希望を持ち続けられるタイプだ。___…つまり、途中で壊れなけば強くなる可能性がある)


「いや、でもな~…んん……」


 実用性を取るか面白そうなものを取るか。大助は悩みに悩んだ。そして最終確認の意味も込めてウサギ娘をタップし、詳細を確認する。


・モブ・ラビット


食物連鎖の最下層に位置する魔物。魔力、戦闘力共に最弱クラス。


「モブ・ラビットにしますか?」


(「能力値」やら「才能」なんてものはどうでもいい。本当に重要なものは心の強さ。つまり「精神力」だ。この子からは感じるんだよ。そういう不屈の魂の可能性ってやつを。まだまだ鈍色の小さな石ころに過ぎないが、そう遠くない未来にはきっと……)


「そうだな。そうなったらとても面白い。……OKっと」


 画面が再び切り替わり、箱庭のような世界を上空から見下ろす視点へと変化する。場面が広い畑のような場所に変わった。そこにポン!という音と共にモブ・ラビットが召喚された。


<放置モードでは設定した植物をお助けモンスターが自動で育ててくれます。モブ・ラビットに指示を出しますか?>


 説明文と共に放置モードの注意事項が表示された。


・プレイヤーはメッセージをお助けモンスターに送ることができます。


・お助けモンスターの原動力は魔力です。魔力の管理には十分に注意しましょう。


「ふむ。メッセージか」


 テキスト画面を開き、物は試しとモブ・ラビットに指示を出す。


「ミントを育ててくれと。…こんな感じかな」


 メッセージを送信すると、再び画面に文字が表示された。


「モブ・ラビットがじょうろを要請しました。購入しますか?」


「ぬっ…?まあ必要経費ってやつか。購入っと」


<ショップメニューを開きます>


 画面が再び切り替わり、無人の商店のような場所に移動した。


<ショップ内のアイテムはコインで交換する事ができます。じょうろを選択し購入してください>


 指示に従いじょうろを購入する。料金は初回無料と表示されていた。そして画面が畑へと切り替わる。


<お助けモンスターにアイテムを渡したい場合はアイテムボックスを使用する事で可能です。じょうろをアイテムボックス内に移動させてください>


「ほいっと」


 アイテムボックス内にじょうろを移動させる。すると、モブ・ラビットが移動を始めた。


「どこに行くんだ?」


 しばらく行動を眺めていくと、一軒のボロ小屋へと辿り着いた。立て付けの悪い木造のドアを開き、モブ・ラビットが屋内へと入っていく。そしてガサゴソと赤色の箱を漁り始めた。


(なるほど。あの箱がアイテムボックスか)


 じょうろを手にしてモブ・ラビットが上機嫌に畑へと戻っていく。

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