第3話「日常 2」
大助がベッドに横になり、スマホを手に取る。
「え~と、栽培可能な植物リストは……あった。これだな」
(やっぱ異世界の植物ってのが気になるな…)
異世界。その言葉だけでも大助の心は踊りだす。大助が渇望していた非日常、それにもう手がかかっている状態なのだから。
☆現時点で栽培可能な植物リスト☆
・ラルメン王国の雑草
・ニクク王国の雑草
・メルマ王国の雑草
「これ全部雑草って事だよな?こんなの育てて意味あるのか…?」
(ん…?草に関する詳細なんて確認できるのか)
「ふむ、とりあえず見てみるか」
大助のスマホ画面に草の詳細情報が表示される。
・ラルメン王国の雑草
ラルメン王国周辺のどこにでも生えてる草。微量の魔力を帯びている。
「……魔力だぁ?」
(まさか、これを食べれば「魔法」を使えるようになるとか…まじでそういう可能性も0じゃないっていうのが恐ろしいな)
「…ふむ。まあ、実際にはそんな簡単にはいかないだろうが、考慮しておくべき用語ではあるな」
(仮にそういう常識から外れた類の力があったとしてもだ。どう使えばいいのか分からない。…だけどまあ、面白そうだし普通に育ててみるかな)
・ニクク王国の雑草
ニクク王国周辺のどこにでも生えてる草。すり潰してお茶としても使える。
「う~ん…どんな味がするのか普通に気になるな」
(お茶も粉末タイプのやつとかは微妙に高いからな。これを育てれば家計にもプラスになる…かなぁ?)
「…結局100円とか200円の違いしかない気がするが…まあ育てて損はないだろう」
・メルマ王国の雑草
メルマ王国周辺のどこにでも生えてる草。乾燥させると軽微な幻覚作用や高揚作用などがある薬を生成できる。
「…まずいな」
幻覚に高揚作用。そこから導かれる答えなど1つしかない。
「……」
そう、日本では持っているだけでアウトな幸せの白い粉。それを大助は連想していた。
(日本ではこいつはアウトだ。…何はともあれ、この手の物には手を出さない方が無難だろ)
「ん~…中々悩ましいラインナップなんだよな~……」
大助は数分程悩む。この悩む時間すら大助にとっては幸福な時間だ。悩み楽しみながら大助は育てる草を決めた。
「よし。とりあえずこのラルメン王国の雑草を育てるか」
ラルメン王国の雑草を地面に植える。そして大助はひたすら画面をタップした。
「ふおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ただただ無心に画面を押しまくる大助。そして無事にラルメン王国の雑草が完成する。
「よし完成。これを倉庫に移してと。次はニクク王国の雑草だ」
ニクク王国の雑草を植えて、ひたすらタップをする。
「うおおおおおおおおおおおお!!」
ただただ無心にタップを繰り返す大助。
「よし完成」
完成したニクク王国の雑草を倉庫に移す。
「…ふむ」
(もう1つ植えて置くか?)
もう一度ラルメン王国の雑草を植えようかと悩んだところで、大助の動きがピタリと止まる。その視線は手元のデジタル時計へと向いていた。
「……」
(流石にもう寝ないとマズイよな…)
もうすぐ日付けが変わるという時間。睡眠不足は肉体と思考に余計なノイズを抱える要因になる。実食および検証は明日にして大助はスマホの画面を切った。電灯の明かりを消し、速やかに布団を被る。
「おやすみ~」
大助は心地のいい夢の中へと旅立っていった。
「ふいいい。…まったく、不良債権を俺に回しやがって……あんな金額じゃ割に合わねぇよ……」
時刻は昼12時。「仕事」を終えた大助が自宅へと帰ってきた。
(そろそろ潮時かもな。面倒な事になる前に安定した収入源が見つかればいいんだが)
赤黒く汚れた作業着を黒い袋へと脱ぎ捨て普段着へと着替える大助。
「さてと、腹減ったな」
冷蔵庫を開け、大量に購入してきたドレッシングをぶち込んでいく。
(今後草を食べる機会が増えそうだからな。いつまでも湯煎じゃあまりにも味気ない)
大助が購入したドレッシングは「和風醤油味」と「ゴマ味」無難な選択だ。
「よし。これで準備OKだ」
全ての準備を終えた大助がスマートフォンを手に取りソファーへと寝転ぶ。そしていつものようにアプリを起動した。
「今日中にラルメン王国の雑草を量産しておこう。本格的に晩飯として使いたい」
大助は雑草を料理に使用するプランを考えていた。本格的に副菜として料理に使用するならば数が欲しい。そこには晩飯の費用を少しでも減らしたいという切実な気持ちもあった。
「ほおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ラルメン王国の雑草をひたすら植えタップし収穫する。大助はこれを1時間繰り返し大量の雑草を獲得した。
「いいね~いいね~…」
満足気に倉庫を見ているところで画面に突然メッセージが表示された。
<おめでとうございます。栽培レベルが3に上がりました>




