第14話「金策 3」
「……むぅ」
市内のありふれた宝くじ売り場。そこでは煮え切らない表情を浮かべた大助の姿があった。
(色々とデータは取れたが、あまり結果はよろしくないな)
大助の着用している服の内側には未来草とポーションが仕込まれている。
(まあいい。ともかく現状をまとめておこう)
「…よっと」
店の近くに設置された白いベンチに腰掛けつつ大助が軽く頭を抱える。
(頭が痛ぇええ……確かにこれはハイリスクハイリターンってやつだな)
大助は未来草の実験を行っていた。未来草を食べると大助の感覚で30秒程先の未来が体感3秒だけ見えるのだ。
(動画を5倍速や10倍速で見ているときに近い感覚だ。非常に気持ちが悪い)
問題なのは未来が見えたその後に起きる副作用の方だ。
(明らかに情報の過負荷で脳に異常が起きてる。ポーションが無かったらマジでイッちまうレベルだな)
「……ん」
その対策としてポーションを即座に使用しダメージを回復する大助。
「ふむ…」
(ポーションは脳へのダメージにも有効だ。…これは結構重要な情報だな)
「さて、ポーションの残りが少ない。なんとか今日中には結果を出したいところだが……」
大助が宝くじ売り場でスクラッチを購入し、コインを削る準備を始める。
そして、その前に未来草を使用した。
「…むぅ?」
30秒後の大助はスクラッチカードを片手に持ちつつ惨敗していた。映像の中の大助はややオーバーアクション気味に体全体を使い×の文字を再現していた。
「あっ…そうか。最初からハズレ券とかだと意味ないなこれ」
「……」
(明らかに脳の回転が悪くなってるな。購入する数を増やすか?…いやダメだな。情報の取捨選択が追い付かなくなる)
「宝クジ関連はちょっとダメそうだな…」
30秒という制約に頭を悩ませる大助。
「ふむ…計画を練り直す必要があるか……」
「競馬とか競輪もダメだ。直ぐに結果が欲しい」
(公営競技は時間が掛かり過ぎる。競技が始まってから結果が分かっても意味がない)
必然的に様々な賭け事が選択肢から外れていく。
「短時間で稼ぐならネット関係しかないな」
ネットの証券口座には100万という金額が表示されていた。準備は既に完了している。
「……」
「FXでもBOでも何でもいい。短時間で取引できるやつに未来草を使う…ふふ。まさに「チート」だな」
(未来が見える草を使って不正に取引しました~なんて事は立証不可能だ。…とは言え、あまりやり過ぎると疑われる可能性がある。ほどほどに稼がせて貰うとしよう)
「…ぐおおおおお……」
数日後、そこには布団の中で脳の痛みに悶絶する大助の姿があった。
(これはヤバい…使い続けるとマジで頭がイッちまう)
ポーションでも直しきれない幻肢痛とも呼ぶべき現象に大助は苦しんでいた。
(未来草は封印決定だ。デメリットが大き過ぎる)
「…まあ、データは十分に取れた。…それに、思わぬ副産物も獲得できた。…このふざけた頭痛も甘んじて受け入れるさ」
大助の手にある通帳。そこに記帳された口座残額は3憶。大金が振り込まれていた。
(まさに一攫千金ってやつだ)
「さてさて…大金は新しい「トラブル」を呼び込んでくれる。ああ…実に楽しみだ……」




