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"名のない英雄"  作者: 終夜 / Yosugara
【 日常 】
40/49

第40話.

 




「 光輝ー!! 」


 元気よく名前を呼ばれて振り返る。


 大袈裟すぎるくらいに大きく手を振る碧。


 そんな碧を見て自然と頬が緩む。


 僕も小さく手を振り返した。


「 今日も一緒に帰ろうぜ 」


「 うん、一緒に帰ろう 」


 そんな他愛もない約束をして、青に輝くランドセルを背負う。


 見慣れた帰り道を、ふたりで肩を並べて歩く。


「 ぉ、見てみろよ、光輝。夕日が燃えてるみたいだ 」


 そう言う碧の視線の先を見る。


「 !!、ほんとだ 」


 真っ赤な夕日。


 遠目に見える海の水平線へと沈んでいく。


 海にちりばめられた星屑が一瞬だけ輝いて─────そして、すぐに消える。


 その様子が儚くて、美しかった。


 綺麗だ、と。


 ただ、それだけを思った。


「 “ブラボー”って感じだな 」


「 …ぇ 」


 心臓がドクンッと跳ね上がる。


 茜色の夕焼けに視線を奪われていた。


 そんなときに、不意に聞こえてきた碧の言葉に反応してしまう。


「 ?、あの夕日、ブラボーって感じだなって思ってさ。どうだ、俺言葉選びの天才だろ? 」


 ニシシ、なんて笑いながら僕の方を見る碧。


 笑顔も仕草も、言葉遣いも。


 全部、昔と変わらない碧。



 けど、碧は覚えていないから。


 だからこそ、碧の言葉に胸が痛んだ。


 同時に、全く変わらない碧に安心する。



 ─────碧はやっぱり、碧だな。



 なんて思って、小さく微笑んだ。



「 …うん、碧は凄いよ 」


「 だろ? 」


 夕日が沈んで、静かに空の色が移り変わっていく。


 ふたつの空を背にして、僕は前を向いた。


 失ってしまったものは、もう戻らない。


 けど、失われなかったものが、たしかに今僕の目の前に存在している。



 くだらない会話をして、ふたりで笑いあって。


 何気ない日常が、これからさきも続いていく。


 碧といると、そんな未来が見えるんだ。


















"名のない英雄"―光を紡ぐ者―


これにて第1部完結になります。


余談ですが、今日はタコスの日だそうです。

どこかで、彼等も笑っているかもしれませんね。





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