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ブラック・灰色、そしてイエロー

 染みひとつない乳白色のローブ。天を仰がんばかりに顔をそらし、ひとりの若い女性が歩み出る。

 豪奢な宮殿をバックに、彼女は大きく胸を反らし、足元で這いつくばる男を見下ろす。

 男はボロをまとい、ぜいぜいと犬のように息をつく。

「み、水を…。水をください」

「ふぅん。あげるわー」

 女は手にした金色の杯を逆さにした。こぼれた水は、からからに乾いた砂に一瞬で吸い込まれた。

 男はなりふり構わずその砂を口に掻き込む。しかし、たちまち吐き出した。

 女の甲高い笑い声が響く。

「きゃははははっ!おもしろーい。だから、大サービスよん」

 どろーり。

 女の桃色の唇から、唾液が垂れる。粘度の高いそれは、糸を引きながら砂の地面に垂れ落ち、瞬間、山をつくった。

 口まわりに砂をつけ、しかし男に選択肢はなかった。

 覆い被さるように、唾液を砂ごと口に含む。


 宮殿のテラスから、まだあどけなさの残る顔を出し、別の女が手をふる。

「なにやってるのー?はやく水浴びしよーよー」

張りのある白い手をふりふり、無邪気に笑う。

 乳白色のローブをまとった女も、手を振ってそれに応える。

 足元に転がる男を、自らの喉をかきむしって、地獄の鬼のような形相で息絶えた男には一別もくれずに。


 誰かが思った。

 思うに、この世の争いの原因の大半は男女関係のもつれじゃないかと。


 誰かが思った。

 この世に、男がいなければどれだけ平和になるだろうと。


 誰かが思った。

 いや、人類が種として存続するための「道具」としてだけ、男は存在すればいいのだと。


 誰かが思った。

 女が、女であるというその一点でもって、男より絶対的優勢になることのできる社会になればと。

 

 神様は思った。

 「人類」の過半数がそれを望むなら、それを叶えようと。

 






 人類は、男性よりも女性の方が、その数の割合はほんのちょっぴり多いのだという。

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