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夢を買う男

 Aはさえない男だった。中小の会社にやっと就職したものの、そこでもぱっとしなかった。そんなAのささやかな幸せは宝くじを買って週末の不精を慰めることだった。あと、願わくば女性とお付き合いしたとも思っていた。

 そんなAに突然春がやってきた。たくさんの女性からお誘いを受けるようになったのだ。Aはその中から特に魅力的な女性を選んだ。

 Aは彼女に尋ねた。

「なんでぼくなんだい」

「そんなの決まってるわ。あなたが素敵なひとだからよ」

女性は微笑んだ。

 ところで話は変わって、Aの勤める会社の女性たちは決まった夢を見るようになった。Aが宝くじに当選し、会社を退職するという夢だ。

しかし、それはあくまで夢。夢の中での話だ。












 Aは念願叶って女性とお付き合いすることができ、満ち足りた生活を送るようになった。もう不精を慰めるために宝くじを買うこともなくなったという。

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