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リリ、ルル

 つるりとした肌。まるで陶器のように上品であたたかみのある白さ。髪は短めで涼しげ。夏を間近に控え、リリはますますきれいになっていた。

「海にいこう」

そう言ったのはルルの方だった。でも、ルルがそう言ったのは夏の口癖みたいなもので、いわば社交辞令のつもりだった。

 都会に行ったリリは、毎年夏になるとこの田舎に帰ってきた。たくさんのお土産話を携えて。

 一方のルルは田舎に残った。小さな店を継いで、喧騒とは無縁の生活を選んだ。大型のデパートもブランドショップもない平坦で平和で、退屈な生活。そのなかでルルは自分自身が自然の中に溶けていくような感覚に溺れていった。

 そんなルルを現実に引き戻すのが、リリだった。

 リリは都会のあれこれを饒舌に語った。出会った人、モノ。全てがルルの周りにはないことずくしだった。

 リリのつけている時計はきらびやかで、ルルの安時計よりもはやい時を刻んでいるようだった。そんなわけはないのに、そんな気がした。

   

 リリとルルは海に来た。ふたりが幼い頃から何度も足を運んだ海だ。

 リリはさっそく水着に着替えた。まるで初めて来たといわんばかりに声をあげ、はしゃいでいる。友人のひいき目にみてもやっぱりリリはきれいだ。

 少し遠くで、地元の子だろう、男の子達が見えてないと思っているのか、無遠慮にリリを指差してなにか話している。内容はわからないが、どんなことを話しているのかは想像に難くない。

 気づいてないふりをしながら、リリはルルに微笑んだ。ルルもおかしいね、とそれに応じる。

 話しかけてくる勇気があるなら来てみろ。ルルは上着を脱いで海に駆け込んだ。


 海で泳いだあと、ふたりはルルの家で乾杯した。コンビニで買ったお酒とつまみがずらりと並ぶ。

 リリはお酒に強い。いくら飲んでもテンションがハイになるたけで意識ははっきりしている。

 リリが都会に行くと決まったとき、当時の同級生たちで送別会をやろうとなった。

まだ二十歳未満だったが、誰も止めようとはしなかった。

 今になって思えば、その同期のメンバーの男の子達には下心があった。当時はみんな騒ぎたいんだーなんてのんきに思ってたけど。

 だけどその男の子たちの目論みは外れた。主役のリリがまったく潰れなかったのだ。

最後にはリリただひとりを残して全滅し、わたしを含め同期メンバーの意識が戻ったときにはリリは旅立っていた。

 


「ルル、またね」


 はっと目を覚ますとそこにリリはいなかった。

 どうやらリリのお酒の強さは変わらないらしかった。

 ルルは二日酔いの痛みに耐えながら、寝起きのコーヒーを煎れた。

「せめて一杯くらい飲んでいけばよかったのに」

ルルは熱いコーヒーをすすった。

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