表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/143

春の蜘蛛

 蜘蛛のヨセフはじっと待っていた。ここ数日、彼が口にしたものといえば巣の糸を伝ってきた露だけ。さすがに空腹が彼の身を蝕んできた。 

 祈るような気持ちで、しかしぴくりとも動かず待ち続けた。

 ヨセフの思いが天に届いたのか、一匹の蝶がひらひらと近づいてきた。彼の張った巣にまるで、気づく風もない。

 やがてその蝶はヨセフの巣に触れた。

 気づいたときにはもう遅い、蝶がいくらもがいてもヨセフの張った巣は逃しはしない。

「ちくしょう!この脚長やろう、はなしやがれ!」

華麗な外見に反して、蝶は意外と口が悪い。

ヨセフははやる気持ちを押さえつつ、蝶のもとに駆けた。

「脚が長いのはお互い様さ。悪いが、いただくよ」

「くそ!ちかづくんじゃねえ!」

ヨセフがやれやれ、やっとご飯にありつける、と安堵の吐息を漏らしたと同時に、なにかおおきな影がぬっと現れた。








 広い草原にひらひらと一匹の蝶が待っている。その蝶に向かって幼いこどもが手を降っている。平和な春の一日。

 こどもの足元には蜘蛛が一匹。踏み潰され、もはやぴくりとも動かない。

 平和な春の一日。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ