表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
121/143

天使と炭酸

 まさにイメージ通り。

 天使は窓からやってきた。白い羽、ガラスのように透き通った肌に、艶めいた髪が春風に柔らかく揺れる。上下の繋がった新雪色のワンピースの裾が、彼(あるいは彼女)が動く度にふわり…とはためく。

「はじめまして。天使のあまつかと申します」凛々とした声。小さな頭を優雅にさげる。スッと顔をあげて、ひた…と僕を見据える、その瞳は気品溢れる宝石のようだ。

「早速ですが、あなたは何ができますか。それに応じて祝福いたします」

 何ができるか、だって?まさか一発芸だとか、大して美味しくもない手料理を出すわけにもいかない。なにせ相手は天使なのだ。そしてなにより、「それに応じて」祝福は変化するのだという。

 悩む僕。じっと待つ天使のあまつかさん。時計の針の音がやけに大きく聞こえる。早く、早く、早く、早く、と。



「あまつかさん」

「はい」

「何かして欲しいこととか、ありませんか?」

 天使のあまつかさんはふっと笑みをこぼした。桃色の唇に指をあて、んー…と首をかしげる。

「のどが乾いております。ジュースをいただけませんでしょうか。出来れば炭酸の」

 僕はくつくつと笑った。天使と炭酸の組み合わせは、失礼かもしれないが、異色だったからだ。

 冷蔵庫から炭酸のジュースを取りだし、ガラスのコップに注ぐ。しゅわしゅわと楽しげに泡立つ。コップを天使のあまつかさんに手渡す。

「どうぞ」

「ありがとうございます」腰に手をあて、のどをあらわにごくごくと飲み干す天使のあまつかさん。いいのみっぷりだ。

「ごちそうさまでした」

「お粗末様でした」

 こうして天使のあまつかさんは来たときと同じように窓から去っていった。

 さてどんな祝福が僕を待っているのだろう。それはきっと無くした物が思いがけず出てくるとか、自販機でもう一本当たって出てくるとかそんなものだろう。

 ガラスのコップの内側、ジュースの雫がつーっとつたっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ