表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
118/143

自分証明書

 とある町の役所。男が窓口で、役人と揉めている。

「だから、ちょっと今手元にないだけなんだよ」

役人が作り笑顔で応じる。

「自分証明書をご提示いただきませんと」

「だから、俺が俺だってことが証明できればいいだろ。生年月日でも住所でも、指紋認定でも、顔認定でも、なんでもいいから確認してくれよ」

「自分証明書のご提示を願います。規則ですので」

男は地団駄を踏んだ。俺が俺だってことを証明するのがこんなに面倒で手間のかかることだなんて!

 自分証明書を忘れた自身と、オウムのように言葉を繰り返す役人の両方への苛立ちがつのる。

 コートのポケットに手を突っ込む。

ふと、なにか固く薄いモノに手が触れた。

 取り出すと、まさに自分証明書だった。

「あったよ。ほら」

カウンターに自分証明書を置く。なんてことのない、ただのカードだ。

 果たして役人は、変わらない笑顔でそれを受け取った。

「ありがとうございます。お預かりいたします」

 生年月日より、住所より、個人情報より、指紋より、そして顔より、薄っぺらなカードの方が俺を証明してくれるってことか。

「では、○さまの自分証明書の更新を行います。5分ほどで完了いたしますので、お掛けになってお待ちください」

「あぁ、頼むよ」

 男は番号札を役人から受け取り、近くの席に腰かけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ