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《凶宴-CARD》  作者: shogo5


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59/118

『死を纏う四枚目』【11】



村を――

出た。



ヴァンは。



ただひたすらに――


剣を振った。





山を越え。



国を渡り。



強いと聞けば――


その者を訪ねた。



剣士。



傭兵。



騎士。



戦い。



勝ち。



また――


次の強者を探す。



その繰り返し。





そして。



ヴァンの剣は――


少しずつ。



変わっていった。





受ける必要はない。



流す必要もない。



相手が――


剣を振るうより先に。



一撃で――


終わらせる。





やがて。



ヴァンは――


村へ戻った。





師匠「…………」



ヴァン「師匠」



師匠「久しぶりだな」



ヴァン「勝負――」


ヴァン「してください」



師匠「…………」



師匠「いいだろう」





ダッ――!!



ヴァンが――


踏み込む。



以前とは――


違う。



速さ。



重さ。



そして――



迷いのない。



一撃。



ブォンッ――!!!



だが。



カッ――



ヴァン「――!」



剣を――


添えられ。



僅かに。



軌道を――


変えられる。



ブンッ――!!



ヴァンの剣が――


空を斬る。



その瞬間。



トンッ――



ヴァン「――っ」



首元に――


止められた。



師匠の剣。



ヴァン「…………」



師匠「終わりだ」



ヴァン「…………」



また――



負けた。





ヴァン「…………まだだ」



師匠「?」



ヴァン「俺の一撃が――」


ヴァン「まだ」


ヴァン「弱いだけだ」



師匠「…………」



ヴァン「次は――」


ヴァン「もっと強くなって」


ヴァン「戻ってきます」



師匠「そうか」



ヴァン「はい」





再び――



ヴァンは。



村を――


出た。





――それから。



さらに――


時が流れた。





以前より――


速く。



以前より――


重く。



以前より――


鋭く。



ヴァンの剣は。



ただ一つ。



一撃で――


相手を倒すことだけを。



追い求めていった。





ドンッ――!!!



一振り。



それだけで――



目の前の男が。



地面へ――


崩れ落ちる。



男「ま、参った……」



ヴァン「…………」





また――



一撃。





強いと――


呼ばれる者たちが。



次々と。



一振りで――


沈んでいく。





いつしか――



二撃目を。



振るうことすら――


なくなった。





ヴァン「…………」



これなら――



勝てる。





そして。



再び――


師匠のもとへ。





ヴァン「師匠」



師匠「…………」



ヴァン「勝負――」


ヴァン「してください」



師匠「いいだろう」





向かい合う――


二人。



ヴァン「…………」



今度こそ。



この一撃で――



超える。





ドンッ――!!!



大地を――


蹴る。



ヴァン「はぁっ!!」



振り抜かれる――



必殺の。



一撃。





だが――



スッ――



ヴァン「――!」



また。



同じだった。





師匠は――


受けない。



力の向きを――


僅かに変える。



ヴァンの――


全力。



そのすべてが。



師匠の横を――


通り過ぎる。





ガッ――!!



ヴァン「――っ!!」



体勢を――


崩された。



その喉元へ。



ピタッ――



再び。



師匠の剣。



ヴァン「…………」



師匠「終わりだ」



ヴァン「…………っ」





強くなった。



それは――


間違いなかった。



以前の自分とは――


比べものにならない。



なのに。





ヴァン「…………なんでだ」



師匠「…………」



ヴァン「なんで――」


ヴァン「あんたには」


ヴァン「届かない……」



師匠「…………」



師匠「ヴァン」



ヴァン「?」



師匠「お前の剣は――」


師匠「強くなった」



ヴァン「…………!」



師匠「だが――」



師匠「まだ」


師匠「足りない」



ヴァン「…………」



ヴァン「何が――」



師匠「…………」



ヴァン「俺に」


ヴァン「何が足りないんですか」



師匠「…………」



だが。



師匠は――



答えなかった。





ヴァン「…………」



なら――



もっと。



強くなればいい。



流すことすら――


できないほど。



もっと速く。



もっと重く。



もっと――



強い。



一撃を。





ヴァン「…………」



ヴァン「また――」


ヴァン「来ます」



師匠「ああ」



ヴァン「次こそ――」



ヴァン「勝ちます」



師匠「…………」



師匠「待っている」





そして――



ヴァンは。



三度。



旅へ出た。





どれほど――


経っただろう。





再び。



故郷へ――


戻ってきた。





以前より。



さらに――


強くなった。



今度こそ。



今度こそ――



あの人を。



超える。





ヴァン「…………?」



だが。



村へ入った――


ヴァンは。



違和感に――


気づく。



いつもなら。



剣を振るう音が――


聞こえてくるはずの場所。



そこが。



妙に――



静かだった。





ヴァン「…………」



歩く。



かつて――



初めて。



師匠の剣を見た。



あの場所へ。





ヴァン「…………師匠?」



返事は――



ない。





そして。



ヴァンが――


目にしたものは。





一つの――



新しい墓だった。





ヴァン「…………」





次こそ――



勝つつもりだった。



もっと強くなって。



今度こそ――



あの剣を。



超えるつもりだった。





だが。



もう――



その機会は。



永遠に――


訪れない。





ヴァン「…………」



結局。



一度も――



勝てなかった。





そして――



何が。



足りなかったのか。



その答えも――



聞けないまま。





ヴァン「…………」





再び。



ヴァンは――



旅に出た。





強者を探し。



剣を振るい。



一撃を――


磨き続ける。





ただ。



以前と違ったのは――



その先に。



帰る場所が――


なくなったこと。





そんな――



ある日。





ヴァン「…………?」



目の前に――



一通の。



手紙。





差出人は――



ない。





ヴァン「…………」



封を――


開く。





そこに。



記されていたのは――



一つの。



誘い。





《凶宴-CARD》。





そして――



その下に。



一文字。





《A》





ヴァン「…………」



手紙には――



自らの頬に。



その印を――


刻めと。



記されていた。





ヴァン「…………」



強い者を探し。



戦い。



勝つ。



ただ――


それだけの日々。





ヴァン「…………」



ヴァン「面白そうだな」





そして。



ヴァンは――



自らの頬に。



《A》の印を――



刻んだ。





この日。



ヴァンは――



《A》に。



なった。





それから――



幾度となく。



手紙は――


届いた。





そこに記されている――


仕事を。



こなす。





戦場。



街。



王国。





時には――


滅ぼし。



時には――


救う。





理由など――



どうでもよかった。





退屈でなければ――



それでいい。





そして。



いつしか――



ヴァンという名を。



呼ぶ者は――



いなくなった。





《A》。



それが――



彼の名になった。





そして――



あの日。





炎が――


空を染めていた。



崩れ落ちる――


王城。



響き渡る――


悲鳴。





アルヴェリア王国。





十三枚のカードが――



一つの国を。



滅ぼした日。





A「…………」



燃え上がる――


王都を。



歩く。



その時。





ふと――



視線を。



感じた。





A「…………?」



振り向く。





炎の向こう。



一人の――



青年。





シオン「…………」



A「…………」





ほんの――



一瞬。





二人の視線が――



交わった。





その時は――



それだけだった。





まさか。



あの青年が――



いつか。



自分の前に。



立つことになるとは。





そして――



時は流れ。





ガキィィィン――!!!





A「――っ!!」





折れた――



剣。





A「…………」





目の前に――


立つ。



あの日。



炎の向こうにいた――



青年。





シオン「…………」



A「…………」





負けた。





師匠以外に――



初めて。





あれほど――


追い求めた。



一撃。





速さ。



重さ。



鋭さ。



そのすべてを――


磨いてきた。





それでも――



届かなかった。





A「…………」





だが。



不思議だった。





師匠に――


負けた時とは。



何かが――



違った。





強さ。



それだけを――


追い続けてきた。



強い者と――


戦う。



勝つ。



もっと――


強い者を探す。





退屈なら――


斬る。



面白ければ――


戦う。





いつから――



そうなった。





A「…………」





そして――



Aは。



ある場所へ――



向かった。





かつて。



何度も――


帰ってきた。



故郷。





その――


墓地。





並んだ――



二つの墓。





A「…………」





その前に――



静かに。



立つ。





A「父さん」



A「母さん」





風が――



草木を揺らす。





A「…………」



A「久しぶり」





しばらく――



二つの墓を。



見つめる。





幼い頃。



この二人の――



分まで。



生きるために。





強くなりたいと――



そう。



願った。





A「…………」





いつから――



忘れていたんだろう。





生きるために――



強くなりたかった。





それだけだった――



はずなのに。





A「…………」



A「また来るよ」





二つの墓に――



背を向ける。





そして。



少し離れた――



もう一つの墓へ。





A「…………」





その前に――



立つ。





A「師匠」





返事は――



ない。





風が――



吹く。





A「…………」





墓を――



見つめる。





そして。





A「俺――」





A「負けたよ」

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