『死を纏う四枚目』【6】
無数の墓標。
そして――
その間を埋め尽くす。
死者の群れ。
大陸最大の墓地で――
三人の戦いが。
始まった。
ザンッ――!!
また一人。
シオンの剣に――
死者が倒れる。
その横では。
ザンッ!!
首。
ザシュッ!!
胸。
セイが――
迫る死者の。
急所だけを――
正確に。
斬り抜いていく。
一人。
また一人。
無駄な動きは――
一つもない。
そして。
ズバァァァン――!!
Aが――
剣を一振り。
ただ――
それだけで。
何体もの死者が――
まとめて。
斬り伏せられる。
シオン「…………」
次々と――
地面へ。
倒れていく。
死者たち。
シオン「…………」
ザンッ!!
さらに――
一人。
斬り伏せる。
シオン「…………」
その向こう。
No.4を見る。
No.4「…………」
何も――
変わらない。
自分の友達と呼んだ――
死者たちが。
次々と――
斬られている。
それなのに。
No.4は――
ただ。
静かに――
見ている。
シオン「お前――」
No.4「…………」
シオン「こいつらを――」
シオン「友達って」
シオン「言ったよな?」
No.4「…………」
No.4「ああ」
シオン「だったら――」
シオン「なんで」
シオン「そんな顔して見てられんだよ!!」
No.4「…………」
シオン「友達が――」
シオン「目の前で」
シオン「斬られてんだぞ!!」
シオン「それを――」
シオン「見てて」
シオン「嫌な気持ちに――」
シオン「なんねぇのかよ!!」
No.4「…………」
No.4は――
何も答えない。
ただ。
倒れた死者たちへ――
静かに。
視線を向ける。
No.4「…………」
そして――
僅かに。
手を上げる。
その瞬間。
ピタッ――
シオン「……!」
セイ「…………?」
迫っていた――
死者たちが。
一斉に――
動きを止める。
No.4「…………」
No.4「もう――」
No.4「いい」
No.4「休んでて」
死者たちは――
何も答えない。
ただ。
その言葉に――
従うように。
一人。
また一人。
武器を――
下ろしていく。
そして。
墓標の間へ――
ゆっくりと。
戻っていく。
セイ「…………」
セイ「ほんとに――」
セイ「友達なんだ」
No.4「…………」
シオン「…………」
先ほどまで。
無数の死者が――
蠢いていた墓苑に。
再び――
静寂が戻る。
だが。
No.4「…………」
その手が――
背中へ。
伸びる。
シオン「…………?」
背負っていた――
巨大な。
一つの棺桶。
ガコン――
No.4が。
ゆっくりと――
背中から外す。
ドンッ――!!
地面へ――
降ろす。
セイ「…………」
A「…………」
シオン「今度は――」
シオン「なんだよ……」
No.4「…………」
棺桶へ――
手をかける。
ギィィィィ――
ゆっくりと。
蓋が――
開いていく。
シオン「…………!」
中には。
死体も――
骨も。
何も――
入っていない。
ただ。
底すら見えない――
深い闇。
シオン「…………」
その闇の奥から。
淡い――
光。
一つの。
人の形をした――
何かが。
ゆっくりと――
浮かび上がる。
セイ「…………」
セイ「なんだ――」
セイ「あれ……」
それは――
棺桶を抜け。
墓標の奥へ――
進んでいく。
そして。
そこに横たわる――
一つの死体へ。
吸い込まれた。
ドクン――
シオン「…………!」
ドクン――
死体の指が――
動く。
ゆっくりと。
身体を――
起こす。
傷だらけの――
重い鎧。
その手には。
巨大な――
戦斧。
先ほどまでの死者とは。
明らかに――
違う。
セイ「…………」
セイ「次は――」
セイ「ちょっと強そうだな」
シオン「ああ……」
戦斧を持つ死者が。
顔を――
上げる。
次の瞬間。
ドンッ――!!
シオン「――!?」
地面を蹴り。
一気に――
間合いを詰める。
ブォン――!!
シオン「っ!!」
身体を――
捻る。
巨大な戦斧が。
眼前を――
通り抜ける。
直後。
ズガァァァン――!!!
地面が――
砕ける。
シオン「…………!」
セイ「さっきまでの奴らと――」
セイ「全然ちげぇな」
シオン「ああ……!!」
死者が――
再び。
戦斧を構える。
そして――
セイへ。
ドンッ!!
セイ「…………!」
ブォン――!!
セイが――
半歩。
身体をずらす。
戦斧を――
紙一重で。
躱す。
そのまま。
懐へ――
潜り込む。
ザンッ――!!
首。
正確な――
一閃。
だが。
死者「…………」
セイ「…………!」
止まらない。
首を斬られても――
巨大な腕が。
セイへ――
伸びる。
セイ「っ!!」
後ろへ――
飛ぶ。
セイ「急所――」
セイ「関係ねぇのかよ」
死者が――
追う。
戦斧を。
振り上げる。
その瞬間。
A「どけ」
セイ「!」
セイが――
横へ。
飛ぶ。
A「…………」
剣を――
一振り。
ズバァァァン――!!!
死者「――――」
鎧ごと。
身体が――
真っ二つに。
斬り裂かれる。
ドサッ――
セイ「…………」
セイ「やっぱ――」
セイ「お前おかしいだろ」
A「そうか?」
セイ「そうだよ」
シオン「…………」
No.4「…………」
倒れた――
強者。
No.4は。
それを――
静かに見つめる。
そして。
再び――
棺桶へ。
手を伸ばす。
シオン「…………!」
ギィィィィ――
蓋が――
再び。
開く。
だが。
今度は――
一つではない。
シオン「…………!」
一つ。
二つ。
三つ。
さらに――
次々と。
人の形をした――
淡い光が。
棺桶の闇から――
浮かび上がる。
セイ「…………」
セイ「おい――」
セイ「増えてねぇか?」
A「…………」
光は――
次々と。
棺桶を抜ける。
そして。
墓苑の奥へ――
散っていく。
一つ。
また一つ。
横たわる――
死体へ。
吸い込まれていく。
ドクン――
ドクン――
ドクン――
シオン「…………」
一人。
また一人。
死者たちが――
身体を起こす。
だが。
先ほどまでとは――
違う。
揃えられた――
鎧。
同じ紋章を刻んだ――
盾。
剣。
槍。
一人。
二人。
さらに――
その後ろから。
次々と。
騎士たちが――
立ち上がっていく。
シオン「…………」
シオン「こいつら――」
A「…………」
Aが――
騎士たちを見る。
A「昔――」
A「大陸最強と」
A「呼ばれた騎士団だ」
シオン「…………!」
セイ「大陸最強……?」
A「ああ」
セイ「…………」
セイ「お前――」
セイ「そんな奴らまで」
セイ「集めてんのかよ」
No.4「…………」
No.4「強かったから」
セイ「…………」
No.4「連れてきた」
シオン「…………」
騎士たちが――
動く。
だが。
先ほどまでの死者とは――
違う。
ザッ――!!
前へ。
盾を持つ――
騎士たち。
その後ろ。
槍。
さらに――
左右へ。
剣。
一瞬で――
陣形が。
組み上がる。
セイ「…………!」
シオン「こいつら――」
A「…………」
A「来るぞ」
次の瞬間。
ドンッ――!!!
かつて――
大陸最強と呼ばれた。
死者の騎士団が。
一斉に――
地面を蹴った。




