『変幻の三枚目』【9】
ドンッ!!
No.3が――
地面を蹴る。
シオン「…………!」
未来が――
見える。
右。
左。
さらに――
右。
その先も。
絶え間なく続く――
斬撃。
シオン「…………」
全部に――
追いつこうとするから。
間に合わない。
なら――
全部を。
防ぐ必要はない。
No.3「はっ!」
右から――
一閃。
シオン「…………!」
避けない。
ザシュッ!!
シオン「ぐっ……!」
刃が――
肩を裂く。
No.3「!」
セイ「…………!」
だが――
シオンは。
止まらない。
未来に見えた――
次の一撃。
首を狙う――
左。
そこだけに。
剣を――
合わせる。
ギィン!!
No.3「…………!」
弾く。
そして――
踏み込む。
No.3「!」
ギンッ!!
再び――
双剣。
だが。
シオンは――
全てを防がない。
浅い。
これは――
受ける。
ザシュッ!!
脇腹を――
刃が掠める。
次。
致命傷。
これは――
弾く。
ギィン!!
No.3「…………」
もう一撃。
受ける。
ザシュッ!!
次は――
躱す。
No.3「…………!」
シオン「…………」
速さは――
変わっていない。
No.3の方が――
圧倒的に速い。
それでも。
シオンは――
先ほどまでのように。
押されていない。
セイ「…………」
セイ「なるほど」
全てを――
捌くことを。
やめた。
未来に見える――
無数の攻撃。
その中から。
自分を倒す――
一撃だけを。
選んでいる。
No.3「…………」
ギンッ!!
ザシュッ!!
シオン「……っ!」
血が――
飛ぶ。
それでも。
シオンは――
下がらない。
No.3「それで――」
No.3「俺の速さについてきたつもりか?」
シオン「…………」
シオン「違う」
No.3「?」
シオン「ついていく必要が――」
シオン「ないだけだ」
No.3「…………!」
シオンは――
僅かに。
身体を崩す。
No.3「…………」
右脇が――
空く。
No.3「!」
双剣の一つが――
その隙へ。
走る。
だが。
シオン「…………」
待っていた。
ギィン!!
No.3「――!」
剣が――
弾かれる。
その瞬間。
シオンが――
懐へ。
飛び込む。
No.3「――っ!」
ザシュッ!!
No.3「…………!」
胸元を――
シオンの剣が。
斬り抜ける。
鮮血が――
舞う。
No.3「…………」
シオン「…………」
互いに――
距離を取る。
No.3「…………」
胸元へ――
手を当てる。
指先に――
血。
No.3「…………」
シオン「…………」
No.3「そういうことか」
シオン「…………」
No.3「俺の速さに――」
No.3「追いついたんじゃない」
No.3「追いつく必要を――」
No.3「なくしたのか」
シオン「…………」
No.3「しかも――」
No.3「わざと隙を作って」
No.3「俺の攻撃まで誘った」
シオン「…………」
No.3「面白いな」
セイ「…………」
その時。
No.3の視線が――
シオンから。
外れる。
向いた先は――
セイ。
セイ「?」
No.3「……No.2」
セイ「…………」
No.3「お前――」
No.3「随分こいつに肩入れしてるな」
セイ「…………」
セイ「別に」
No.3「まあ――」
No.3「大体、予想はつくけどな」
セイ「?」
No.3「俺たち凶宴は――」
No.3「別に仲間でもなんでもない」
シオン「…………」
No.3「ただ――」
No.3「退屈な日常に」
No.3「刺激を求めてるだけだ」
セイ「…………」
No.3「だから――」
No.3「お前がこいつといようが」
No.3「何をしてようが――」
No.3「どうでもいい」
セイ「…………」
No.3「お前がそっちにいるなら――」
No.3「それはそれでいい」
シオン「…………」
No.3「俺も――」
No.3「面白い方を選ぶだけだ」
セイ「…………?」
No.3が――
双剣を。
構える。
だが。
その身体は――
シオンへ。
向いていない。
セイ「…………」
No.3「今は――」
No.3「こっちの方が面白そうだ」
セイ「――!」
ドンッ!!
No.3が――
地面を蹴る。
向かった先は――
シオンではない。
セイ。
シオン「――!」
セイ「…………!」
双剣を手にした――
No.3が。
凄まじい速度で――
セイへ迫る。
シオン「セイ!!」
No.3「…………」
No.3の口元が――
僅かに。
吊り上がる。
双剣が――
閃く。
ザシュッ!!
鮮血が――
山頂に。
飛び散った。




